午前8時5分、予定通り品川に到着した
腕時計を見て「あと5分か…切符急いで買えば間に合うな」と呟くと「任せといて」と言って嫁が京急線改札口へ先に向かうのを見て少し呆れながらも遅れてついて行くと「ご所望の切符、私の奢りね」と言ってお目当ての切符を買っていてくれた
「2100か…先頭はキツイかなぁ」と呟くと「2100形ってどうして分かるの?」と嫁が訊くので「アナウンスで2つドアの当駅始発って言ってるだろ?京急って地下鉄やその先の京成にも乗り入れているけど、2100形は車両が直通に対応してない関係から、下り電車は隣の泉岳寺か品川始発の2択さ」と説明すると、お目当ての快特京急久里浜行きが入線してきた
「青いけど、アレも2100形なの?」と嫁が訊くので「男の子の夢と希望を詰め込んだ青い車両のブルースカイトレイン、通称ブルスカだね。横の窓の形からして、2100で間違いないよ」と少し興奮気味に返すと「貴方ってやっぱり電車好きなんだね」と言って嫁は笑ってる
「夢みたいだな…大好きな人と結ばれて、思い出と子供の頃からの夢が溢れる大好きな車両に乗ってまた思い出の1ページが上書きされるんだから」と呟き、乗り込むと数少ない運転席後ろのボックス席が2人分、それも右側だけが空いてるので2人でそこに座るともう興奮して心臓がバクバク鳴って前面展望どころでは無い
ふと我に返ると、もう気付いたらお気に入りの場所、八ツ山橋を過ぎていた
「よく分からない車両いたから撮ってみたよ」と言う嫁が差し出す写真を見て思わず「嘘だろ」と呟く
新幹線側には滅多にお目にかかれない観測車であり、レア車両として有名なドクターイエロー、そしてなんと在来線側には滅多にお目にかかれない上、お召し列車として利用されたことでお馴染みのE-655系の「和(なごみ)」の並走だったのだ思わず、「子供時代の俺が見てたら卒倒しそうだな」と呟くと嫁が「なんで?」と訊いてきた
「まず、こんなに可愛い嫁さんと一緒でしょ?それから、今乗ってるブルスカ含めて子供の頃から憧れてた車両のオールスターだからね。子供の頃には考えられない、夢のようなシチュエーションさ」と笑って返すと「私にとっても夢みたい」と言って嫁もうっとりしてる
もう間も無く、鮫洲を通過するようだ
「笑うんじゃねぇ」
ナツィは嫌そうな顔をした。
…と、不意に寧依が呟く。
「…ねぇ、わたしって来た意味あったの?」
みんなはぱっと彼女の方を振り向く。
「急に呼び出されたと思ったら、ナツィを探しに行くって…」
結局わたしがいた意味ってあったのかな、と寧依は首を傾げる。
「そりゃああったわよ」
ポツリとピスケスがこぼす。
「アイツを攫った人が私たちに手を出してこないように、誰かの主人がいた方が安心でしょう?」
それで1番暇そうで動けそうな貴女を呼ぶことにしたの、とピスケスは微笑む。
「はぁ…」
寧依は呆れたようにため息をついた。
「ボクは寧依が来てくれて嬉しいよ?」
寧依の様子を見て、キヲンは彼女にくっ付く。
「さすがはボクの“マスター”!」
キヲンはそう言って笑った。
他の皆はその様子を静かに見ていたが、暫くしてピスケスがこう言った。
「さて、話も済んだことだし」
戻るわよ、とピスケスは皆に呼びかける。
皆はそうだなとかそうだねと言って歩き出した。
〈籠蝶造物茶会 おわり〉
彼氏と別れたんだって
そうやって適当に次を決めるくらいなら
私にしとけばいいのに
武器を持とうと思った。
武器が欲しいと願った。
勉強は、私の武器ではなかった。
絵画は、私の武器ではなかった。
音楽は、私の武器ではなかった。
文章は、私の武器ではなかった。
どんなに探しても、試しても、私以上の人がいる。
それは当たり前で、比べる必要なんかないけど
やっぱり比べてしまう。
もうこれは、生み出すしかないなと思う。
極論である。ポジティブシンキングにも程がある。
でも、もうこれしかない。
誰にもない、私しか持っていない武器を
私は生み出してみせようと覚悟を決めて。
その武器は、傷つけるためなんかじゃなくて
私自身を、貴方を、守ることができるように。
今回のが異能モノの連載は初でした。
正直に言うと今まで異能モノの設定なんて考えたこともなくて、企画で見つけた時はやってみようかなくらいの軽い気持ちでした。
書くにあたって僕は普段
こういうシーンが欲しいとか、こんなセリフがあったら面白いとか
そういうのをまずあげてから補完するように設定を作ったり世界観を構成します。
今回も同じように作り始めました。
異能で最初に思いついたのが「時を止める」
仮面ライダージオウのタイムジャッカーです。
そこから取ってタイトルにしました。
そしてどうしたら異能者同士が戦うか
そこでブルーロックの設定を持ち込み、サバイバルにしてみました。なるべく自然と戦わなきゃいけないようになったかな…
あとはもう毎日少しずつ書きました。
相棒の術を主人公が喰らうのはお決まりの展開で書いてみたかったのですが、そうすると最終戦をどうしようか…
長くなりそうだったので、まるでアニメの第1シーズンのように最初にあったラスボスへの道が始まるみたいな終わり方にするに落ち着きました。
この終わり方はよかったでしょうか?
作品への感想も含め、ぜひレス待ってます
さっきまでよりも強く地面を蹴り出す。
術痕は見えない。
今なら…
そう思った瞬間だった。
『始め』
…え?
聞き覚えのある無機質な声、
その声に気をとられると
視界は途端にたくさんの人間で覆い尽くされた。
術痕が見えないじゃない、あいつははじめから時を止めていた…その術痕すらないのはかえって問題だろ…
「オラァ!俺の術にひれ伏せ!」
ちっ…智也と息を合わせるどころじゃなくなった…まずはこいつらをかわさないと…
無数の術痕が見えた。
サバイバルというよりダンジョンだな…
「まずはこいつらでもう少し腕を上げてこい」
行き交う無数の人の中からやつの声が聞こえた…
「やってやるよ…必ずお前を殺してやる!」
fin
場所によっては鉄道大国である日本の心臓部、関東と言えど電車の本数が少ない関係で、明日の目的地を早く決めないと困るので嫁に訊いたら、「貴方の思い出の場所が良い」と言うので、電車のダイヤと相談して神奈川県方面へ行くことにしたが、時刻表を見て思わず「勘弁してくれよ」と叫んでしまう
ターミナル駅が身近な場所にある俺にとって、鉄道の利便性はどうしても目的地までの速達性とイコールになるので、ダイヤ改正で優等種別が途中駅にもガンガン止まるようになった小田急や東急線、JRは不便極まりないため湘南方面は論外だ
しかし、京急も日中最速達の「グリラピ」こと快特が思いっきり減便されている上に快特のほとんどが途中の久里浜止まりで、しかも久里浜での乗り継ぎも不便になっていて、終点までは特急ばかりであることに頭を抱えていると、路線図を見ていた嫁が「横須賀中央で降りて三笠見て、特急までの時間稼ぎすれば?」と提案してくれた
最悪、横須賀中央から各駅停車に乗る羽目になっても少し先にある堀之内という駅で乗り換えれば、特急で三崎口を目指せることは時刻表も過去の経験も示しているため嫁の提案を承諾し、お得な切符の使用を前提としてプランを練るが、ここで思わぬ障壁が立ちはだかる
特典付きか否かを問わず、切符がどれも以前よりも値上げしているのだから無理もない
思わずため息混じりに「俺の財布も京急か」と呟くと、嫁が「京急電車のメインカラーは赤、ナンバリングのイニシャルはKK…金欠(Kin Ketsu)のKKで赤字…つまり、財布も京急だとお金が無いってこと?」と訊くので「バレちゃったか…東京モンは金持ちだと思われてるから見栄張ろうとしてたんだけどなぁ…バレたモンは仕方ないか」と笑って返す
すると、嫁が「マレーから殆ど貴方の奢りだったよね…そりゃ金欠にもなるよ」と言って笑ってるので「君の前ではカッコいい男でいたいからな」と笑って返し、気付いた時には日付も変わってたので起床事故を起こさないようにする為にも消灯する
「ライアンの隣にはつば九郎」と言って嫁がいきなり俺の布団に入って来たのでお互いに抱き合うように寝るとなぜか予想以上にグッスリ眠れて予定通りに起きられた
さぁ行こう、俺の青春の集大成とも言える場所へ!
「そうそう、せっかくだからこれも言っておこうか。お前が探すべきは『雪』と『竜巻』だ」
別れる直前、あの女王さまは俺に向けてそう言ってきたんだ。
『竜巻』というのはまだ分かる。砂嵐みたいなやつが発生してるってんなら極めて自然だ。しかし、『雪』ってのはどういうことだ? こんな暑さの中じゃ、降って来る間に溶けて、せいぜいが雨になっちまうだけだろうに。
考えながら歩いていると、不意に鼻先に何かが落ちてきた。指でそれを触ってみると、小さな結晶のようだ。
(……まさか、このクソ暑い砂漠の中で、本当に雪が降るとは……)
一度変化を解き、人間の身体で雪の冷たさを楽しむ。石竜の皮膚で防いでいたとはいえこれまでひたすらに暑いだけだったから助かる。
しばらく身体を冷やして、再び怪獣化する。今度の変化はさっきより獣寄りに、やや小柄な2m半程度の背丈に薄灰色の毛皮と狼のような頭部、体長とほぼ同じ程度に長い尾を具えた、自分の中で『人狼』と呼んでいる姿だ。
その姿で雪の降る中をしばらく歩いていると、すぐに『竜巻』の方も見つかった。空高くまで伸びる、轟音を立てる砂の柱。これは紛うこと無き砂の竜巻だ。
「わん」
不意に足下に犬の鳴き声が聞こえた。そっちを見てみると、なかなかワイルドな雰囲気の大型犬がこっちを見上げていた。
「……いや待て犬は普通あんな露骨に『わん』とは言わねえな? お前異能者だろ」
犬を指差して言ってやる。犬は頷いて応えた。
「あと、おおかみ」
犬もとい狼が普通に話しかけてきた。
「そうかい」
「あれ、どうにかして」
「あの砂嵐をか」
「そう。あの中に砂漠の異能者がいる」
「そうかい。まあこっちも一応頼まれてここまで来てるからな」
「ん。それじゃ」
それだけ言うと、狼はどこかへ走り去ってしまった。
私は2度ほど運命を決める作業を
誰かがくだしているところを
見たことがあります(お告げ&夢&あの世で)
過酷な人生な方や、順風満帆な人生を歩む方、医者になられる方、普通な人生を歩む方、有名人の人生を歩む方・・・
いろんな運命がありますが、なかでも医者になられる方は複雑な選択をなさって運命を決める作業を受け入れている場合があるようです。
私はまだ産まれてくる前、あの世にいるときに運命を決める作業で『こんなに複雑にクネクネした道を選んだら医者になっちゃうよ』と言われ『では、どの道を選んだら私らしい運命を作ることが出来ますか?』と聞いたのはいいのですが・・・実は覚えているのはここまででしてm(_ _)m
*私事ですが私の前世の職業は軍人です。きっと前世は複雑な、そして素晴らしい決断をなさったのだろうと思いました
ようやく昨日が解けた
ずっと昨年のことを思い出していた
君は笑っていた 続くと思ってた
信じて疑わなかった それも愛だった
鼓動が早まるのは左の熱のせいだった
今の孤独は左の疎のせいだろうか
友達と話すときも 授業を受けるときも
昨日は心のどこかにあの笑顔があった
まっすぐで眩しかった 目に焼きつけた
幸せが溢れていた それが恋だった
昨日は雪が降った
それでも昨年のことを思い出していた
晴れていた 通学路は短かった
私も笑っていた そして見つめ合った
照れた 右手にはプレゼントがあった
心の歩幅がずれていることに気づかずに。
そんなものだった。
悔いることはしないけれど
まだまだ見つめていたい と思った
捨てられない 忘れたくない
昨日の雪は昨年の後悔に見えた
ラジオから鳴る深夜0時の音色。
小さくて可愛い机を出して、
小さくて可愛い椅子で机を囲むように座って
小さくて可愛いカップにココアを注いで
小さくて可愛い友達とのお茶会を始める。
瞳がボタンのもこもこの彼は
みんなのココアにマシュマロをのせて
ふふふ、と鈴のように笑っている。
「今日も1日おつかれさまぁ」と
間延びした声で話すうさ耳の彼女は
にこにこ、と自慢のしっぽを揺らして笑う。
3人だけの秘密のお茶会。
夢への入り口、明日への扉。
マシュマロ入りのココアを飲んだら
朝はもうすぐ、訪れる。