ネロを追いかけ始めて暫く。
わたし達はいつの間にかショッピングモールの裏手に来ていた。
「何でこんな所に…」
わたしが思わず呟くと、まぁよくある事さ、と師郎は返す。
「ホントどこ行ったんだよアイツ…」
コマイヌはぶつぶつそんな事を呟きながら歩いている。
…と、建物の角にさしかかった所で、コマイヌが足を止めた。
「?」
どうしたの?とわたしが言おうとした時、ある光景が目に入ってきた。
「…ネロ?」
わたし達から十数メートル離れた所で、ネロとどこかで見た背の高い少女が対峙している。
「何でいつもアンタはボクの邪魔ばかりするんだよ」
ネロは怒りを含んだ声で少女に言う。
「別に、悪意があってやったワケじゃないのよ?」
少女は腕を組みながら答える。
「ただあなたが少し目障りだったから…」
「…何だよ、ソレ」
ネロは静かに呟き、顔を上げる。
午後5時,多摩川の駅に着いて女性陣と合流した
その後は兄貴が提案したように河原に行くと兄貴の言う通り,ちょうど沈みゆく太陽が輝いている
それを見て思わず「昔っから代々木のドコモタワーとかその他新宿の高層ビル群をバックに沈む夕陽を毎日のように観て来たけど,コイツは凄え。今までとは格が違う」と呟くと嫁が「そろそろ2人きりにしてあげない?」と訊いてくるので「そうだな。新幹線の写真でも撮るか」と返して歩き橋を潜り始めてすぐに頭上から轟音が響き,早く鳴り止んだ
橋の下を抜けて見上げると新幹線が新横浜方面に抜けているのを見て嫁が「あの新幹線,幕が黄色なのは見えたけど、行先表示は2文字でもよく見えないね」と言うので時刻から逆算してその列車が「のぞみ51号博多行き」だと気付き咄嗟にその新幹線に向けて「昔の俺みたいに関門海峡越えて離れた場所にいる人に恋した若者の夢を乗せてくれ!俺の希望は叶ったから次は他の人の望み叶えてくれ」と叫ぶと嫁が「あの列車,博多行きなのね」と言うので「君に会えなくて辛かったあの頃のように応援歌替え歌するか」と返して「想〜い届け!海越え君想う〜(実れ!)関門〜越えて想いは博多の君へ〜続く行け〜Mein liebe!あの娘に届いた〜♪」と歌うと嫁は「海越え〜貴方の為にやって来た〜♪」と外国人選手汎用応援歌の替え歌を歌っているので俺が「We are」とコールし2人で「married」と叫び,次に嫁が「I love」とコールしお互いの名前を呼び合い、そっと唇が触れ合った後に笑い出す
もう一組のカップルがそんな俺達を土手の上から見守っていた
その時だった。
ふわっ、と、貴方の香りが、私の鼻をかすめた。
優しい、花の香り。
すると、貴方の右手人差し指が、頬に触れた。
それは、桜の花びらだった。
花びらに、涙が染み込んでいく。
『もう、泣かないで』
貴方がそう、囁いているようだった。
「………!」
私は目を見開いて、桜が舞う空を見上げた。
雲一つない、真っ青な空を、私は仰ぐ。
空の中で、貴方の笑顔が見えた気がした。
まるで、私の背中を押してくれたみたいに。
………そうだ。私も、進まなきゃ。
この卒業という、大きな節目で、私に変わってほしいんだ、貴方は。
私は、桜の木にさよならを告げて、前を向いた。
「あっ、あの、、、、有村さんっ!」
ふと、誰かが私の名前を呼ぶ。
右を向くと、そこには貴方によく似た笑顔の男子生徒がいた。
....私も、変われるなら。
今を、どう生きるのだろう。
「どうしたの?」
私はそう言って、貴方に見せた、あの笑顔で応えた。
窓の外では、桜が空高く、舞い上がっていた。
fin
優しくて、温かくて、大好きだった、貴方の声が。
思い出せば、思い出すほど、涙が溢れて止まらない。
「……なんで」
なんで、消えてしまったの?
私は、、、、私は、貴方に消えてほしくなかった。
ずっと、一緒にいられると思っていたのに。
ずっと、一緒にいたかったのに。
「.......なんで、、、なんでっ!」
桜に問いかけても、何も答えない代わりに、花びらを散らせるだけ。
すると、私の頬に、何かが触れた。
その触れ心地は、貴方の右手人差し指に似ていた。
桜の花びらだった。
『当たり前なんて、ないんだよ。
だから、今を楽しんで!』
貴方が私にくれた、最期の言葉が、聞こえた気がした。
……あぁ、そうか。
あの笑顔が、儚かったから。
だから、私は貴方のことが好きになったんだ。
貴方の笑顔が、私の頭の中を駆け回る。
どうして人は、失ってから物の大切さに気づくのだろう。
私も、貴方を失ってから、貴方の大切さに気づいた。
それじゃあ、遅すぎたのに。
私が願うのは、ただ、
……ただ、貴方に、、、、
『貴方に、会いたい』
p
楽譜の中にぽつんと書かれた「p」は、どこか孤独で弱々しい輝きを放っていたが、それはやがて君の音によって堂々たる孤立へと踏み出していった。
「ここってなんでpなんやろう
なんか中途半端じゃない?」
『……』
「あ、ごめんごめん、練習続けて、どぞ」
ちらと時計を見る。練習終了まであと2分。
ゆっくり片付けを始めるかどうするか、悩ましい時間帯に時計を見てしまった自分を悔やむ。
『相対的なp』
幻聴かと思って君の方を向く。君はつんとすました顔で、再び楽器を構えて吹き始める。
「え、小さい」
君の吹いたpは、私の想像よりも遥かに小さかった。
でも、私の理想よりも遥かに曲に合っていた。
『だから、相対的な、p』
「前後よりも小さくするってこと?」
君は小さく頷いた気がした。
そういうことか、と私も楽器を構える。
練習終了のチャイムに溶け込むように、これまでで一番繊細なpが教室を泳ぐ。
ねえ、泣かないでよ。
ずっと我慢してたのに、最後の最後でもらい泣きしちゃったじゃない。
ねえ、「ばいばい」なんて云わないでよ。
また近いうちに会えるのに、まるで一生のお別れみたいじゃない。
そんな我儘は胸に秘めて
至って笑顔で「また会おう」。
じゃないと心配しちゃうでしょう?
それは絶対嫌だから。
君が、貴方が好きだと言ってくれたその笑顔で「またね」を云うの。
花曇りの空の下、いつかの出会いに感謝して
生温いJUICEで乾杯しよう
みんなの未来を、輝かしい未来を心から願って
手を振って、写真を撮って、ハグをしよう。
それじゃあまたね、
「卒業おめでとう」!!
恋って響きが好きだ。
小難しく言うなら、恋っていう概念が好きだ。
永遠のように思うことが
簡単に壊れてしまう世の中だから。
何かに恋するように
誰かに恋するように
それは恋だよって
キラキラ、永遠を願っている。