「ちょ、ちょっと待て!」
耀平は思わず扉の隙間に手を突っ込み、扉を閉めようとするネロを止めようとする。
「…」
「お願いだから閉めないでくれ」
な?と耀平は笑いかける。
「…」
ネロは嫌そうに目を逸らした。
「何しに来たの?」
ネロはふとポツリと尋ねる。
「…ボクを止めた割には何様のつもり?」
ネロにそう言われて、耀平はそれは…と呟く。
「…用がないなら閉めるよ」
耀平が答えあぐねていると、ネロは扉を閉めようとした。
「ちょ、ちょっと待てって」
耀平は慌てて扉を押さえつける。
「おれ達は、お前を心配してここに来たんだよ」
だから閉めんな、と耀平は扉にかける手に力を入れる。
「…」
ネロは増々嫌そうな顔をする。
あなたとの空間の
いごこちの良さに
うしろを振り返ってしまう
えんのない話だと
おもっていたのに
かけ引きに負けて
きづいたら
くるところまで来てしまって
けっていだにかける君の
こうどうに振り回されて
さみしいな
しこう停止は君のせい
すぎさる日々の
せつなさを
そらんじる
たのしかった…!!くらいなら
ちょくせつ言えるけど
つれない君に
てが
とどかなくて伸ばせなくて
なんてことない
にちじょうから
ぬけ出せない
ねる前に君の言葉
のうない反芻
はじける笑顔と
ひびの読めない君
ふり回されて
へんに意識しちゃう
ほんとうにくやしい
まいにち新しい君を
みつけては
むしょうに嬉しくて
めんどくさい女だけど
もんだいないって笑い飛ばして
やっぱり君と
ゆっくり歩く
よるの街はたのしい
わからない振りしてたけどこれ
を人はきっと恋と呼ぶ
んーっすきっ。
「ねぇねぇ知ってる?」
放課後、小学校の校門を出てすぐの道端で、学校帰りの少女達が話し合う。
「うちの学校のこんな噂」
1人がそう言うと、周りにいる少女達は何々?と顔を寄せ合う。
「夜中になるとね、校舎内に見たことない生き物が現れるんだって!」
それを聞いて、少女達は何それーとか根拠は?と話し出した少女に言う。
「根拠はないけど…でも最近遅くまで学校に残ってた先生が見たんだって」
ほんとにー?と少女達が騒ぐ中、不意に少し離れた所から声が飛んできた。
「あら、面白そうな話じゃない」
少女達が声が聞こえた方を見ると、青髪にノースリーブの白ワンピースを着た人物が立っていた。
「もっと詳しく聞かせてちょうだい」
青髪の人物は微笑みながら少女達に近付く。
少女達は怪訝そうな顔をする。
「あなた…誰?」
「誰って…ただの通りすがりのお姉さんよ」
あなたたちが面白そうな話をしているから聞いてみたのよとその人物は笑う。
「その噂話は誰から聞いたの?」
青髪の人物は少女達の目の高さにかがんで尋ねる。
少女達はどうする?と顔を見合わせたが、やがて青髪の人物の方を見るとぽつぽつと話し出した。