認められたい 褒められたい
泣き虫少女が大暴れ
そんなあなたはいらないの
乱暴に蓋をした
これは私じゃない
言い聞かせて、何度でも
笑顔の裏には
誰もいない
「…テメェ」
ネロはふらつきながら黒鎌を出し、それを少女に向かって構える。
「今度はボク達を狙おうって言うのか‼」
ネクロマンサーはそう問いかけたが、少女はうふふふふと笑うばかりだった。
「…それなら、ボクが止めてやる‼」
ネクロマンサーはそう叫んで少女に飛びかかった。
しかし少女は恐れるそぶりを見せず白い鞭を振り回す。
「おい!」
お前今の内に…と耀平は2人が戦う隙にわたしの背中を押す。
「え、ちょっと…」
わたしは困惑したが、耀平は気にせず続ける。
「ネクロがアイツを足止めしてる内に、さっさと逃げろ!」
おれ達のことは良いから!と耀平は語気を強める。
「え、あ、うん…」
わたしは彼の有無を言わせぬ雰囲気に押されて歩き出す。
「早く‼」
「うん!」
耀平に急かされて、わたしはその場から走り出す。
なぜあの少女はわたし達に襲いかかってきたのだろう。
なぜ彼女を皆は恐れるのだろう。
そもそもあの少女は何者なんだろう。
頭の中で様々な疑問が渦巻く中、わたしは日の落ちた路地裏を駆けていった。
〈16.トウテツ おわり〉
ルッキズム反対で中身重視になってしまったら今度は学習にハンデのある人が差別される。じゃあ学習にハンデのある人差別もやめましょうってなったら今度は人格に言及することになる。うわべをなでる議論はいつまで経っても終わらない。
収入は上がらなくてもむかしみたいにレンタルビデオ、CDの購入、レコードの購入、レンタル等にかかるコストを考えたらむかしの人とリッチさはさほど変わらない。
ヨーロッパのクラシックやアメリカンロックを東洋人がいくら上手くやったって伝統芸能を海外の人が上手くやっただけってな評価しか得られない。
あなたは絶望しか持たないのですか。
絶望こそが希望なのです。
さあこんな恐ろしい子供が近所にいたかな、と思慮を巡らしましたが、そんな子供がいた覚えはありません。そこで様子を伺い続けていると、箱から離れてトカゲの木の方に接近していきます。
やっと全貌が見えました。
ローブを着ているように見えましたが、よく見ると、それは黒褐色をした長い毛でした。体毛はところどころ毛玉になって、汚れてもいるので毛が固まって、よもや毛というより棘の様相でした。腰を曲げているのでトカゲの木の半分くらいの体躯に見えますが、実際は同じ程度と見受けられます。しかも、毛の隙間からは何やら粘液が出ております。それが白い月光に照らされて、ヌラヌラ光るんでございます。毛は顔のところだけ剥げ出ていて、血が通っていないかのように青白いのです。なのに顔中には細くて若いブルーベリーのような青の血管が張り巡らされています。また、縦方向に、鼻のあたりから顎まで裂けた口には何層にもなった草食動物の歯が無造作に生えております。その歯茎は融けているようにも、爛れているようにも見えました。口以外のところは全部、大小さまざまな、向く方もさまざまな、無数の目で埋め尽くされていました。
それが、表情というのはありませんが、嬉々として煮干しのようにみすぼらしいトカゲを枝に刺しているのです。
毎日トカゲの木にトカゲが刺さっているのは、彼が毎日やってきているからだったというわけです。
あの子はすっかり納得して、満足しました。近所の怖い子供がやってきているからではなかったからです。
そして、トカゲを串刺しにした犯人が去る頃には、その子は家に戻って、ベッドに入って寝てしまいました。
「いまの日本はよいところから落ちてゆく状態なのであって、ゼロやマイナスから成長してゆく国よりはるかにましなわけなのだけれども、なぜ明るくなれないのかといえば」
ないからあるに進むより、あるからないに進んでいるから。失うことに対する恐怖は得る希望にまさる。
「CMプランは四つくらい提出するようになってて保守的なもの、ちょっとお洒落なもの、斬新なもの、もうわけのわかんないカオスなものみたいなものを出すわけですね。そのなかでわけのわかんないカオスなものを選んじゃうスポンサーがいるわけ。公営ギャンブルとかね」
「お母さん紹介しろはべつに抵抗ないだろ。お父さんを紹介しろよりは」
恋愛対象だったらどっちも抵抗ある。
「福祉が手厚いのは東京、神奈川」
金のない高齢者は田舎に住んでたら駄目だ。
「日本人だって外国で働いたら言いわけしたり、自信がなくても問題ないって言うだろうしね。自国で同じ人種に守られている状況とは違うわけですよ。日本での振る舞いだけを見て外国人はこうだというラベリングはフェアじゃない」
テレビ消してくれ。何もききたくない。
もう二時に放送は終わってるわ。ここは富山なんだから。