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はじまり

手に入れた途端に、その脆さに怯えた。

「すき」と口にする、
その息すらも詰まるほどの沈黙に、夕日が落ちていく。

彼の手が震える。
同じ不安に襲われていると信じる、
かたく、つよく、握りしめる。

「すきだよ」もう一度吐き出す、
頼りない息が、目の前をすっと伸びていく。


どうか。
どうか、この幸せを少しでも長く。

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うるせえ!

自分の意志で進んで沈んだ地獄だ!
「お前馬鹿だろw」と嘲うだけなら喜んでその喧嘩買ってやるが……
あらゆる選択には『背景』がある。『背景』ってのは、その人間の『過去』とそこから得てきた『学び』の積み重ね、その全部だ。
この『選択』を否定すること、それだけは、これまで積み重ねてきた人生の全てを否定する、殺人にも等しい蛮行なんだよ。
それだけは許さねえ!

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緋い魔女と黒い蝶 Act 5

4人が歩き出して暫く。
彼らは今回の目的地である脱走したホムンクルスが潜んでいるらしい小屋まで辿り着いた。
「…誰もいないみたい」
グレートヒェンが古びた小屋を覗き込みながら呟く。
「そりゃそうさ」
僕たち人間に隠れているのがバレてるみたいだから、とヨハンは小屋に寄りかかりながら言う。
「そう言えば、“メフィ”は?」
グレートヒェンがふと思い出したように尋ねると、ヨハンはあーアイツ?と彼女に目を向ける。
「周りを探してるよ」
まだ奴らが近くに潜んでるかもしれないからな、とヨハンは笑う。
「…お前らメフィストフェレスのこと“メフィ”って呼んでるのかよ」
不意にナツィがそうこぼす。
「おや、悪い?」
ヨハンがそう聞くと、ナツィは別にとそっぽを向く。
「…あ、君自分のきょうだいのことそんな風に呼ばれたくないタチ?」
「そう言うのじゃねぇし!」
ヨハンにいじられてナツィは語気を強める。

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Trans Far East Travelogue57

紬の和服で有名な結城、交通の要衝・下館を過ぎると乗り換え駅の友部が近付いてくるが、途中単線区間のため行き違いの電車が遅れている影響でこちらも友部に5分遅れで到着した。
特急券を購入し,上りホームにやって来た勝田発の特急ときわ80号品川行きに乗り込む。
「暗くて何も見えんね」という嫁の一言に「昼間なら,綺麗な景色が見えんだけどな…実はこの区間ってのどかな田園風景の中に映る四季折々の姿が綺麗だからクセになるんだ。」と言って過去の大回りの車窓の写真を見せると「関東って滅多に来る機会ないけど、何度も来ればここまで綺麗な風景見れるのね」と返す嫁に呆れながらも「まぁ、大回りの制度を利用して四季折々の景色を堪能できるのは事実上近畿と関東しかないけど,こんな綺麗な風景は関東出身のイケメン男子に与えられた特権ってヤツかな。でもまあ,いつぞやの大災害の後に家族でとった行動が原因で地元じゃ村八分みたいになったから,それ以前から付き合いのあった相手か俺の過去を知らない人以外友達がいなかったし、まともな恋愛もしたことなくて,鉄道が幼馴染であり恋人であり,相思相愛の仲みたいなもんだがな」と言って笑うと「私は?」と寂しげに呟く嫁に「前世からの縁なんだから良いだろ」と返すと嫁は無言のまま頬をすり寄せてくる。
窓の外を見ると歩き慣れた我孫子駅のホームが見えている。「そろそろ降りないといけないから支度するぞ?続きは家でやろうな」と言って嫁を納得させて柏で下車してすぐに来た快速上野行きに乗り換える。
松戸を過ぎると江戸川を渡って東京都に入り、そこから先は中川、荒川と渡って北千住の3番線ホームに滑り込む。
10代になって初めて知った後に虜になり,青春の象徴となっている思い出の駅メロと言っても過言では無い常磐3-1番は国鉄車両の代から始まって平成を越えて令和の今もなお走り続ける北関東のエーススプリンター,E531系一強の代になった今でも鉄道ファンを喜ばせる下町の象徴となって鳴り続けている。

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Shout.【企画要項】

皆さんこんにちは、藍色のそらりんごです。
突然ですが企画思いついたんで聞いてください!(初めて企画主催します)

タイトルは『Shout.』
日本語だと『叫べ。』です。
数年前までSCHOOL OF LOCK!の開校の挨拶(?)で「叫べー!」ってのがあったと思うんですが、あれを参考にしてみました。

条件は至って簡単。
貴方が今、思いっきり叫びたいことをポエムにして投稿してください。
公序良俗を守ってさえ頂ければ、何を、どれだけ叫んでも大丈夫!
ぜひ貴方の声を、想いを聞かせてください。

開催期間は9月いっぱいとします。
(盛り上がりによっては10月まで延ばすかも!)
先程も述べましたが、テーマ(叫びたいこと)や投稿回数は問いません。
投稿作品のタグには「Shout.」をつけて投稿してください。
質問などはレスから!
皆さんの参加、お待ちしています!!

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6/12

夏の空気を吸い込んで
秋になりかけの空を観る
流れる車窓の向こう側
なんだか妙に色が薄れる
人付き合いの方法も
愛想笑いのやり方も
夏と一緒に去ってって
湿った空気がただ残る
だから私は
今日もひっそり
箱庭の隅で息をする

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Metallevma 〈企画要項〉(再掲)

(月が変わると前の月の書き込みがバックナンバーなどでしか見られなくなるため、先月投稿したものを見てなかった人用の再掲です。それではどうぞ。)

どうも、テトモンよ永遠に!です。
突然ですが企画です。
タイトルは「Metallevma」。
鉱物を核に生まれたヒト型の存在“メタルヴマ”の物語を皆で描いていく企画です。
まずはとりあえず設定です。

・メタルヴマ Metallevma
鉱石を核に生み出されたヒト型の“何か”。
身体のどこかから核と同じ鉱石が生えている。
核になっている鉱石の名前を名乗っている。
核になった石の石言葉や性質にちなんだ特殊能力を持つ。
核の鉱石が健在な限り死ぬことはないし、食事の必要はない(食事は嗜好品程度と捉える者が多い)。
性別はないが、同じ鉱物種を核とする者をきょうだいや家族、一族として認識する。
おしゃれ好きな者が多く、皆個性豊かな格好をしている。
その昔、ある王が自らのしもべとして生み出したのが始まり。
そうして生み出された原初のメタルヴマが自らの同族を生み出していったことで数を増やしていった。
しかし数が増える内に人間に歯向かうようになり、やがて人間の住む世界から追放されてしまった。
現在は人間の住む世界のすぐ傍にある世界“ミクロコスモス”で暮らしている。

・ミクロコスモス Microkosmos
メタルヴマ達が住む小さな異世界。
人間達の住む世界から様々なモノが流れ着く。
住民であるメタルヴマ達は一族ごとの派閥に分かれて激しいナワバリ争いを続けている。
現在はメタルヴマ達が人間の住む世界を真似て人間世界顔負けの都市が造られている。

開催期間はとりあえず9月が終わるまでで、形式・投稿回数は特に問いません(あ、公序良俗は守ってね!)。
投稿作品にはタグ「Metallevma」(スペルミス注意)を付けて投稿してください。
難しめの企画ですが、企画趣旨に大体合っていればOKですのであまり気負わずにご参加ください。
質問などはレスからお願いします。
皆さんの参加お待ちしております‼︎