表示件数
0

ハブ ア ウィル ―異能力者たち― 17.ヨウコ ③

その後、わたしは寿々谷のあちこちを回った。
”彼ら”の溜まり場であるショッピングモール内や駄菓子屋、寿々谷公園、などなど。
思いつく場所を手当たり次第に当たってみたが。結局”彼ら”はいなかった。
一応、前に行ったネロの家にも寄ってみたが、インターホンを押しても誰もいなかったみたいだし。
本当に”彼ら”はどこに行ってしまったんだろう。
わたしはそう思いながら、駄菓子屋の店先で休んでいた。
「…」
そもそも、なぜ”彼ら”は今日は姿を現さないのだろう。
ふとわたしの中にそんな疑問がよぎる。
毎週”彼ら”は寿々谷駅前に集まって、遊んで、駄弁って…
まさか先週の事が関係している?
不意にわたしの中にそんな仮説が浮かぶ。
…確かに、先週変な少女と出会って、わたしは”彼ら”に逃がされた。
その時、あの少女は”他の異能力を頂いた”と言っていた。
そしてネロは、”今度はボク達を狙おうって言うのか‼”と言っている。
「…もしかして」
わたしはある1つの可能性に気付く。

0

Metallevma:GRANDIDIERITE おまけ

「Metallevma:GRANDIDIERITE」のおまけ…というかキャラ紹介編です。

・ルビー
コランダム一族のリーダー格。
赤髪で赤い鉱石が額から生えており、設定上はサファイアとお揃いのスカジャンを着ている。
リーダーシップのあるメタルヴマだがきょうだいのサファイアには甘い。
その辺で行き倒れていたグランを拾った。
敵対的な存在は「アンタ」と呼ぶ。
ベリル一族やクリスタルとは知り合い。

・サファイア
コランダム一族の1人。
青髪で額から青い鉱石が生えており、設定上はルビーとお揃いのスカジャンを着ている。
大人しく口数が少ない。
その辺で行き倒れていたグランを見つけた。
ベリル一族やクリスタルとは知り合い。

・グランディディエライト
通称グラン。
青緑色の髪を持ち、額から青緑色の鉱石が生えている。
その辺で行き倒れていた記憶のないメタルヴマ。
しかしクリスタルの発言より記憶喪失ではなく作られたばかりでそもそも記憶がなくて当然の最新のメタルヴマだった。
どうやら未来予知能力を持つようだ。
今後についてはミクロコスモスの有力者たちによる話し合いで決めるそうな。

・エメラルド
ベリル一族のリーダー格。
緑髪に黒いロングワンピースを着ており、設定上は緑の鉱石が背中に生えている。
優雅な立ち振る舞いをする。
コランダム一族やクリスタルとは知り合い。

・ゴシェナイト
ベリル一族の1人。
銀髪で背中から透明な鉱石が生えている。
気が強いが根は真面目。
コランダム一族やクリスタルとは知り合い。

・クリスタル
ある王によって作られた“原初のメタルヴマ”。
額から透明な鉱石が生えており、白いワンピースを着ている。
気分屋で度々ミクロコスモスを引っかき回すようなことを起こしている。
今回もミクロコスモスのナワバリ争いを活発化させようとして“最新のメタルヴマ”グランディディエライトを生み出した。
コランダム一族やベリル一族とは知り合い。

以上です。
何か質問などあればレスください。

0

Metallevma:水晶玉は流星を見通す その⑫

「ふぅ……危ないところだったね、ルチル」
来たる衝撃に備え反射的に目を閉じたルチルだったが、危惧したそれが襲い掛かってくることは無かった。かけられた声に恐る恐る目を開くと、アメシストがニタリと笑いかけている顔が目に入った。
「あ……アメシスト⁉ お前、身体は……!」
「シトりんにもう少しだけ動かさせてもらってる。大丈夫、この戦いが終わったらしばらく療養するさ」
アメシストの言葉に合わせて、アメシストの手足や損傷を補い埋めるように燃えていた黄金色の炎が揺れ動く。
「ローズもこんなに小さくなっちゃってまあ……」
分裂した炎の細腕でローズの残骸を抱え込み、アメシストはそれを眺めながら呟く。
「ローズちゃんはダメージで疲れてるんだ。構わないでやってよ」
「私もルチルも同じだってのに。あいあい」
アメシストは頷き、“天鉄刀”“隕鉄刀”の両名に背を向けて駆け出した。
「アメシスト⁉ 何故逃げるんだ! あいつらに一撃返してやらなきゃ気が済まない!」
炎の腕から逃れようともがき始めるルチルを、アメシストは炎の腕を分裂させることで強引に抑え込んで走り続ける。
「馬鹿言え! 私とルチル、ついでにローズ。私ら3人、全員生き延びればそれが私らの勝利だ。傷さえ治せば何度でも挑めるんだぜ、相棒!」
「ッ……! ……悪かった、熱くなってた」
「良い子だ、ルチル」
駆けるアメシストの背後から、“隕鉄刀”カマサイトが追いかけるように突進してくる。
「逃げられると思ったか馬鹿め!」
「逃げられるさバカめ」
抉れた腹部を埋める黄金の炎に“隕鉄刀”の刃が突き刺さり、衝撃波で一瞬炎が吹き飛ばされる。
「うおっとシトりん、無事かい?」
黄金の炎が枝分かれし、小さくサムズアップを作ってみせる。
「アッハハハハ! 私も無事だ、こっちの身体は“流星刀”にやられて殆ど空っぽだからね。そして“隕鉄刀”の弱点は『ここから先』にある」
炎の脚を大きく伸ばし、アメシストは“隕鉄刀”から距離を取る。しかし、カマサイトはそれを追うことができず歯を食い縛って地面を踏みしめている。
「奴の能力は『自身の持つエネルギー全てを刃の先から対象に注ぎ込む』もの。『全て』だぜ。攻撃の直後、奴は絶対に立ち止まる。立ち向かえばまず勝てないが、『追われる側』にさえ回れれば、まず負けないんだよ」

0

くもり

絶対に忘れないから
この当たり前の景色に君を刻みたい
きゅうっと縮こまるこの心の
居場所だけここに欲しいよ

0

Trans Far East Travelogue73

幸いにも車がキャンピングカーであったため,後部座席の構造が向かい合わせのソファーになっており、背もたれにクッションを立てかけた座椅子を二脚通路との間に挟んで出来上がった簡易ベッドができた。
座椅子の1番運転席よりの部分に俺が座り,嫁を膝枕する格好で寝かせて後ろの2段ベッドから毛布を何枚か拝借し,嫁にかけてそのまま無意識のうちに手を握っていると,暫くして嫁が目を覚ました。
「これ,全部貴方がやってくれたの?」と訊くので「まぁな。でも,姉妹いたこと無いからどうやれば良いか分からなくて取り敢えずできることやっただけさ。素人対応だったし無理させてしまってすまない」と謝ると「謝るのはウチの方や。KLからタイ方面抜けた時の列車で貴方が言ってたの、ウチ覚えてるもん。『俺の憧れのドライブデートというのは,俺は免許無いけど大体の地図は頭に入ってるからパートナーが運転して俺が助手席でサポートすることさ』ってね。それなのに,貴方が大好きな地元離れることになりそうで寂しそうにしてたから,せめて船に乗るまではって思ってたんやけど,港に着く前にこんなことなって憧れの舞台を潰してしもて…でも,こんな時でもそばにいてくれる素敵な人と結ばれてウチ,本当に幸せや」と嫁が泣きながら返すので「お前ってヤツは…ペテルブルグで俺が何て言ったか忘れたのかよ」と言って頭を抱える。
すると嫁が「およそ一千日続いた飢餓地獄ではあったが最後まで陥落しなかったレニングラードの攻防戦になぞらえて『俺はどれだけ大変な状況でも,千日経とうと何万日経とうと,一生添い遂げるだけさ』って言ってたの,本気やったの?」と訊くので「当たり前だろ?そうでなくちゃ君と結婚してないし,俺の大好物も絶対あげないから」と真面目な顔して返すと嫁も本気な表情になり「新高山より高く,駿河湾より深いもの何か知ってる?」と訊くので「答えは簡単。君への愛だな。でも,それを上回るのは俺のカッコよさ」と返してその場を和ませると「今までやったら『鏡見ろ』とか『寝言は寝て言え』って思ってたけど、見直しちゃった」と笑いながら返す。
すると,他に後ろの方の仲間達から「よくもまぁ,年頃の男の子が恥ずかしいと思う身体のコンプレックスになりそうなものを全て兼ね備えた人に嫁が来たよな。大切にしてやれよ」とヤジが来てまた賑やかになる。