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ハブ ア ウィル ―異能力者たち― 17.ヨウコ ⑥

”彼ら”に今日も会おうとしたが、会えなかった事。
その原因が先週の出来事にあると考えた事。
先週出会ったあの少女に”彼ら”の異能力が奪われているかもしれない事、などなど。
とにかく今思っている事を洗いざらいわたしは話した。
「…なるほど」
そういう事ね、と稲荷さんはわたしの話を聞いて呟く。
「あの、師郎とかから何か聞いていませんか?」
同じ学校に通っているんですよね?とわたしは稲荷さんに尋ねる。
「…」
稲荷さんは暫く口をつぐんでいたが、不意に口を開いた。
「あなたは、知らない方が良いわ」
”あの子”のことは、と稲荷さんはこぼす。
「どうして?」
「どうしてって…これはわたし達異能力の問題よ」
あなたみたいな常人が関わる事じゃないわ、と稲荷さんは続ける。
「だから忘れなさい」
先週の事も、異能力の事も、そしてわたし達の事も、と稲荷さんは悲し気に笑う。

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Trans Far East Travelogue76

結局撮影が終わった後は疲れて爆睡し,午後1時頃に来たネットニュースのプロ野球トレード速報を見て驚き,知らぬ間に眠気も吹き飛んだ。
嫁は既に起きていて、俺が起きたのに気付いて「昨日はお疲れ様。疲れてない?」と気遣ってくれたので「この位平気さ。色々あったけど、生涯バッテリーなんだから支え合わないとな。そっちこそ昨日はお疲れ様。そっちこそ体は大丈夫か?」と返すと「博多着くまで船で休んでれば大丈夫よ。明日は期待してや」と言って笑う。
すると,暫くして誰かが部屋の戸をノックする音が聞こえる。
廊下に出てみると北海道唯一の支社がある釧路に転勤した筈の同期が菓子折を持って立っていたので訳を聞くと,彼の弟さんも日本海周りの別働隊の予備の運転手として件の車に乗っていたが,同期が松江で皆と会った後皆境港から船に乗ると勘違いして,仮眠していた長岡まで運転してくれたあの運転手以外の全員で大酒飲んでしまった挙句自身は1人で先に北海道へ帰ってしまい,皆は東京まで行かなくてはならないのに代行が米子までで米子から新潟県まで1人で運転させてしまった上に,長岡から土地勘のない俺の嫁に運転させてしまったことに対する謝罪と,その嫁のサポートに回った俺への感謝とのことだった。
そこで,戒律で飲酒ができない代わりに喫煙を嗜好として好む人が多いムスリムが多数派を占めるクウェート在住経験の長い彼なら喜ぶと思い,場所を喫煙ブースのある2階デッキに移して男2人色々話し込み,結局部屋に戻ったのは日没ごろとなった。
船は瀬戸内海へと入った為,韓国勤務経験者の多くは西海(黄海)や釜山周辺を思い出し,この後寄港する韓国での思い出話に花を咲かせている。

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Metallevma:ネコメとクリスの小さな宇宙~眠る雷神~ その②

クォーツ領は半径2㎞程度の凡そ円形の高い泥塀に囲まれて守られており、出入りが可能な関所は、東側の1か所にのみ存在する。
関所の門から反対側、西の辺の周囲には日本庭園のような広大な敷地が存在し、ネコメとクリスタルはその庭園に向かっていた。
「見て見てクリスチャン。見えるかい? ボクには『素敵なモノ』ってことしか見えない」
「にゃん、きれーなとこ」
「そうかい。それじゃあ突撃ィー!」
駆け出そうとするネコメの足首が何かに引っかかり、ネコメは勢いのままつんのめった。転倒し額を地面に打ち付ける直前、何者かに身体を支えられる。
「はいストップ。ここには入っちゃ駄目」
「うげぇえ? 誰?」
ネコメの見上げる先、眼球の無いネコメには見えなかったが、白拍子の水干に身を包んだメタルヴマが鋭く睨みつけていた。
「ワタシはガーデン・クォーツ。この『庭』の管理者さ。悪いがここは、ワタシ以外の者に入ってもらっちゃ困るんだ」
「なんでぇ? 庭なら見せておくれよぅ」
「そいつは駄目だね」
ガーデン・クォーツは短く断り、ネコメを立ち上がらせた。
「だからなんでなんだよぅ」
ガーデン・クォーツは指を1本ずつ立てながら理由を述べた。
「理由は3つ。一つに余所者の貴様がいるから。二つに無暗に他人に入られて、意図的にしろそうでないにしろ荒らされてはワタシが悲しいから。そして三つに……」
そこで言葉を切り、一瞬躊躇してから、再び口を開いた。
「……これは貴様をクリスちゃんの友人であり闘争に関心を示さないクリソベリル族と見込み、疑念を敢えて放棄して説明することだが」
「うん」
「この庭の存在意義がただの『庭園』ではなく、『監獄』、或いは『封印』であるからだ」

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企画案

企画案を書き込んでみます。
企画名、「続きが知りたい。」
この企画名を#で書いた人のポエム,小説の続きを書くという企画です。ポエムから小説、小説からポエムもありです。書き込むタイミングが重なって同じ人の続きを書く人がいても大丈夫です。ただ、この話の続きということで、前作の作者のラジオネーム、タイトルを#に書いてほしいです。ずっと続いている話でも短編の話でも#「続きが知りたい。」を書くとこの企画に参加できます。
つまり、話のもとネタをかく側にもなれるし、続ける側にもなれるという企画です!
期間は今年いっぱいです。今のところ。
説明が足りないところもあると思うので、レスで聞いてください。遠慮なく。
参加してくれたら嬉しいです。