「問題はソイツが、ボク達の”記憶”そのものである異能力を奪っちまう事なんだよ」
「え…?」
その言葉に対し、わたしは唖然とする。
「記憶そのものが異能力って…」
「まぁ文字通りの意味だよ」
ここで耀平が割って入った。
「おれ達の引き継いだ異能力者としての記憶も、生まれた頃からの記憶も、”異能力”そのものなんだ」
耀平は話を続ける。
「それが根こそぎ奪われたら、おれ達は記憶も異能力もないただの人間になっちまう」
おれ達の絆も、思い出も、全部消えてなくなる、と耀平は言う。
「それは困るから、おれ達は奴を恐れてるんだ」
耀平はそう言って手に持つコップのジュースを飲む。
「…これが、寿々谷の異能力者達の恐ろしい実情だ」
それでもアンタは、ボク達と関わりたいと思う?とネロはわたしに尋ねる。
「くそっ、いつになったら夜は終わるんだ。」
壁を蹴りながら蒼衣(あおい)は吐き出すように言う。
最後の日没から実質時間約96時間。蒼衣は今の時代珍しくない異能者の1人だった。蒼衣の能力は、いや、まだ言わないでおこう。ただ異能者でありながら夜が明けるのを待つしかない、いわゆる一般人と同じなのだ。
紗衣華(さいか)、今のところ世界で最後の異能者と言われている。夜明けを取り戻そうとしている、、はずだが。「けっ、何もがいてんだ」まあ紗衣華はこういうタイプである。
「紗衣華さま、お客様です。」
「分かりました。今、行きます。」
そこで待っていたのは蒼衣だった。
「うわっ、何その汚らしい格好。」
「おい、紗衣華と言ったな。ちょっと来い。」
蒼衣が向かう先は悪喰(あくい)シティと呼ばれるスラム街だった。
蒼衣はどんどん進んでいき、1つの大きな門の前に立った。「ここだ。お前、状況は知っているか?」
「『夜明け』なんてこなくて良いじゃない。」
「やっぱり分かってねえ。」
そこから蒼衣は説明した。時々お前は馬鹿だのお嬢様の世間知らずだの混じえながら。
今「夜」が永遠のものとなっていること。「夜明け」が失われたら植物が育たず、食べものが食べられないこと。そして、「夜」が永遠のもののままだと、蒼衣-ダイトフーチャーと言われる者たち-は生を終えてしまう可能性があること。実は蒼衣は太陽が出ていないと能力を発揮できず、能力を発揮しない時間が137時間以上になると衰弱していくのだ。
「それで、ここは、、『夜明け』を永遠のものにした異能者のアジト。」
「夜明け」を永遠のものにした異能者、俺は take nights と呼んでいるが、そいつが1つの街をつくっているとは俺も驚いた。と言い、
「じゃあ行くぞ。」
「嫌だ。」
有無を言わせぬ蒼衣の態度に、いつも通りの紗衣華。
「俺が行くにはお前の能力(ちから)が必要なんだ。」
女子を落とすような決め台詞に、紗衣華はしぶしぶ歩を進めた。
「あ、ご、ごめんなさい! 急いでて……!」
ぶつかってきた奴が謝りながら助け起こそうとしてくれてるのか、片手を差し伸べてきた。よく見ると私と同い年くらいの、結構可愛い女の子だ。
「ァ、ィヤ……その、別に、好きな味の缶は後にとっといたんで……平気ッス……」
よく分からない言い訳で口ごもりながら、向こうの手は取らずに立ち上がる。
流石にこぼれたエナジードリンクでベタベタになった手で触るのは、というかそもそも知らない人の手に触れるのは気が引ける。
「ぇと、急いでるン……スよね、あの、もう、行って、ドゾ……」
「あ、はい、ごめんなさい! それじゃ、失礼します!」
彼女は時折ちらちらとこっちに目をやりながらも、走ってまた行ってしまった。
「……こんな時間に、忙しい人もいるもんだなァ……」
内容物でべたついた缶を指先で拾って、少し先の公園に設置された自販機の横のゴミ箱に突っ込む。ついでに手も洗ってから、もう1本のエナジードリンクを開栓した。
滑り台のてっぺんに腰を下ろして、よく見えない星空を眺めながら中身を一口すする。
これでカフェインとカロリー摂ったら、また徘徊に戻ろう。夜は長いんだ、できるだけ孤独に、静かに、楽しませてもらおうじゃないか。
コンビニ店員のおざなりな「ありがとうございました」を背中に受けながら、ポリ袋を片手に自動ドアをくぐる。
時刻は午前1時過ぎ。買い物の内容は、この夜を生き抜くための頼れる相棒、355ml入りのエナジードリンクが2本とプレッツェル菓子が1箱。占めて700円ほど。
煙草をやるような『本物』には近づけないから、代わりに箱を開けてプレッツェル菓子を1本咥えてかっこつけてみせ、誰もいない住宅街を、周囲を見回しながらのんびりと練り歩く。
まだまだ夜はこれからだってのに、周りの窓から漏れる光は1つも無くて、寂しさと街を独り占めしているような不思議な優越感が複雑に入り交じって、胸の奥から自然と溢れ出す感情に正気を失いそうになる。
この通りに入ってから4つ目の十字路をスルーしてから、今日は次に通りかかった十字路は左に曲がってみようと決める。
昼間のうちに外に出るのは怖いけど……いや夜は夜でヤバい人とか暗いのとか怖いんだけど、人目が無いこのくらいの時間の方がずっと出歩きやすい。学校に行けない分、このくらいの運動はしなくっちゃね。
そんなことをぼんやり考えながら、エナジードリンクの1本目を開栓しつつ十字路を左折すると、そっちの道から飛び出してきた誰かと勢いよくぶつかってしまった。おかげでまだ口も付けてないエナジードリンクは全部、アスファルトの上にこぼれてしまった。
どうも、テトモンよ永遠に!です。
開催期間はとりあえず9月いっぱいまでと言ったので、企画「Metallevma」のあとがきです。
「Metallevma」は今までのぼくの企画と同じで、ぼくの空想から生まれた企画です。
元々宝石をモチーフにした空想は昔からよくやっていたのですが、高校に上がる頃にはそこまでやらなくなっていました。
でも大学に上がってふと、「また宝石モチーフで空想したいな」と思って色々ひねっていたら思いついたのがこの企画の元になった物語でした。
ちなみにメタルヴマたちが暮らす「ミクロコスモス」はかの有名な東方projectの「幻想郷」が元ネタになっております(笑)
他にも様々な勢力がいるという点も「幻想郷」を意識していますね。
さて、今回はこれくらいにしておこうと思います。
実はこの企画が終わったらもうこの手の企画を開催するのはやめようかな、と思ってたのですが…
ある人から「また企画を参加した時は参加できたらな…」というレスをもらったので、考えてみようと思います。
ネタはあるんだけどねぇ、それをアウトプットする労力があるかどうか…(笑)
まぁその内やるかもしれないってことなので、気になる方は待っててください。
ではこの辺で。
遅刻投稿も待ってるよ!
あとぼくが描く小説シリーズもお楽しみに!
テトモンよ永遠に!でした〜
嫁が爆睡してるので「まだ飲み足んねえけど、お開きにすっか」と呟いて俺の自腹で会計済ませると仲間達が「俺達で荷物は持つからお前は嫁さん背負いなよ」と言ってくれたので好意に甘えることにして荷物を渡す。
試合の八回から合流した兄貴が「肩に青痣できてるぞ。肩どこかに強打したのか?」と訊いてきたのに気付いて急に酔いが覚めたらしい嫁が「青痣?大丈夫?怪我したん?」と心配そうに訊いてくれるが、本当に心当たりが無いので試しに「その肩の痣の所,耳当てる感じで顔を乗せて体重かけて貰って良い?」と嫁にお願いして顔を乗っけて貰うと見事に痣の大きさが嫁の顔の大きさと一致した。
それを見て俺が頭を抱えて「マジでどれだけ重けりゃ青痣になるんだよ…普通赤く跡ができる程度だろ」と呟いたのを聞いて嫁が「もしかしてウチ,デブやけん嫌われてしもうたと?折角ばり好きな貴方と結婚できて幸せになったばっかりなんに愛想つかれて離婚なんて悲しかとはイヤばい。」と上目遣いで言うので嫁を安心させようと俺も福岡の方言使って「腹かいとらんけん,よう聞いて。俺は君やけんばり好きやし,君やけん結婚したんや。それに,君は俺の嫁やけん体重が重かくらいでは愛想尽かすことは無か。俺が愛想尽かすんは君が俺や東京のこと悪う言う時くらいや。お互い愛し合っとーけんこそ,お互いん心も体も傷付けん事出来ると嬉しかけん,肩を枕にするんやなくて肩にしてや。」と答えると「優しかね。ウチ、貴方が旦那さんでいてくれるお陰でいつも幸せや」と言ってくれたので「こげんイケメンな俺ば好きになってくれたとが世界一笑顔が愛らしゅうて美しか君が嫁やけん,君の笑顔見たかだけや。君の体重,俺の体感じゃ100キロ超えて重かばってん、それも君の魅力や」と笑って返すと嫁が頬を膨らませて「そげん重う無か」と言っているが続けて顔を赤らめて「貴方は文字通りウチの全てば受け入れて魅力だって言うてくれるけんバリ好き。そげな優しか男ん人と結婚したかて思うとっただけに,貴方と結婚できたんな幸せやね。貴方みたいな男は浮気せんけんそれも魅力。」と言って抱き付くので「俺の嫁,めんこいな」と呟くと仲間達は「でも,旦那はみったぐね」と茶化すので「じゃあ,俺達の結婚式呼ばねえぞ?」と冗談めかして返すと皆もつられて笑い出す。
嫁が突然「筥崎宮の方や」と言って指を指す方を見ると空が白み出している。