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CHILDish Monstrum:CRALADOLE Act 7

「2人共下がってろ!」
ここはおいらがなんとか…とイフリートがデルピュネーとビィの前に出た所で、上から誰かが槍と長剣を持って飛び込んで来た。
「⁈」
飛び込んで来た人物は右手に持つ槍でインバーダを串刺しにする。
インバーダは悲鳴を上げて動きを止めた。
「…」
3人は呆然とその様子を見ていたが、飛び込んで来た人物が立ち上がった所でハッと我に返った。
「ゲーリュオーン」
イフリートにそう呼ばれて、ゲーリュオーンは左手に持った剣を3人の前に向かって投げた。
「油断は禁物だと言っただろ」
イフリート、とゲーリュオーンはインバーダの亡骸から飛び降りつつ呟く。
「…」
イフリートはぐうの音も出ず黙り込む。
「デルピュネー、ビーシー」
リバ通りに指揮車が到着したから、そこで武器を回収して小型種の掃討を頼む、とデルピュネーとビィことビーシーに指示しつつ、耳に付けるタイプの通信機を渡す。
「分かったわ」
「はい!」
2人は通信機を受け取りそれぞれ返事をすると、その場を後にした。
「イフリート、お前は自分と一緒に前線へ…」
「嫌だね」
ゲーリュオーンの指示を遮るように、イフリートは口答えする。

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CHILDish Monstrum:カミグライ・レジスタンス その⑥

迷路のように入り組んだ廊下を進む。いくつかの独房はフェンリルの仕業か、扉が破壊されていて、残りの扉は普通に開いている。そして、中には誰も居なかった。
「これ、何がどうなってるんですか?」
スレイプニルに尋ねる。
「フェンリルが言ってた通り。外に出られるからみんな喜んで外に暴れに出てるの。ここにいる奴って、結構好戦的なのも多いから」
「へえ……」
「あと、敬語じゃなくて良いよ。ちょっと無理してるでしょ。フェンリルもデーモンも別に気にしないから」
「え⁉ あ、うん、ありがとう……」
しばらく歩き続けるうちに、大きな金属製のスライド扉の前でフェンリルが立ち止まった。
「このエレベータで地上まで出られるんだぜ。大体2分くらいかかるけど」
フェンリルが壁のボタンを押すと、すぐに扉が開いた。そしてエレベータの中には2つの影があった。
「……おいおいマジかよ。警備はどうなってんだ警備は。インバーダにここまで入られてるのは結構詰んでるだろ」
フェンリルが苦笑いしながらこぼした。
エレベータの中にいたのは、頭蓋骨の露出した馬のような姿をした2体のインバーダ。1体は痩せ型だけど体高のある栗毛、もう1体はそれより小柄だけど筋肉がしっかり付いた真っ黒なの。
何となくスレイプニルの顔を見上げると、目をかっと見開いて舌なめずりをしていた。
「……フェンリル」
「ああ、行ってこい」
「ありがと」
「ベヒモス、伏せて」
デーモンに頭を押さえられてうつ伏せに倒れる。直後、すごい破壊音が響いて横の壁が粉砕して、広大な空洞ができた。音の聞こえ方からして、今の一撃でできた穴なんだろう。
「おいで、お馬さん達。速いんでしょ?」
スレイプニルが顎でそちらを指し示すと、2体のインバーダは大人しく空洞の方に向かって歩いて行った。
「よっしゃ、行こうぜ」
いつの間にかエレベータに乗り込んでいたフェンリルに言われて、私たちもエレベータに駆け込んだ。

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企画:ピッタリ十数字 レギュレーション補足

こんばんは、ナニガシさんです。
先日ナニガシさんが立ち上げたポエム企画「ピッタリ数十字」ですが、参加作品を書いている最中に、レギュレーションに穴を見つけたので、埋めていこうと思います。
まずはレギュレーションの振り返り。

・本文の文字数が「10字」「13字」「15字」「19字」のいずれかのポエムを制作し、投稿する。
・参加投稿には、指定タグとして「ピッタリ〇字」を付ける事。
※「〇」の部分には選択した文字数を入れてください。
・期間は2月中。それより前の投稿は指定タグが「ピッタリ〇字習作」に、3月以降の投稿は指定タグが「ピッタリ〇字遅刻組」になります。
・英数字や記号は、半角全角に拘らず全て1文字としてカウントする。
・句読点、「!」、「?」も全部1字カウント。なので「⁉」は2字だし「!!!」なら3字になります。使い方には気を付けて。

ここに1つだけ追加させてください。それがこちら。

・空白(スペース)や改行は文字数にカウントしない。

例を示すなら「カエル」も「カ エ ル」も「カ エ ル」も全部3文字としてカウントされます。
「 カ
 エル」 ←これも3文字。

本番前に気付けて良かった。新ルールも上手く使って、ポエム掲示板を盛り上げていきましょう。

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視える世界を越えて エピソード5:犬神 その④

少女が種枚さんから離れて、かなりの距離を取ってこちらに向き直った。
「……おい君、5歩以上下がった方が良い」
ビーチサンダルを脱ぎ捨てながら種枚さんが私に言ってきた。それに従って、念のため10歩ほど下がる。
直後、地面に巨大な穴が開き、種枚さんと少女は穴の底に落下していった。
「ありゃ、遅刻しちまったか」
聞き覚えのあるその声に振り返ると、鎌鼬くんが自分の背後から穴の底を覗き込んでいた。
「あ、どもッス」
「鎌鼬くん、ひさしぶり」
「ッス」
「この穴、何が起きて……?」
「あの子、師匠は犬神ちゃんって呼んでるんですけどね。あの子は所謂『犬神憑き』の家系の出なんですよ」
「……それが、この穴とどう関係が?」
「それは俺にも分からないけど、どうもあの子は『土砂や岩石を操る』力を持ってるみたいなんですよ」
「な、なるほど……」
再び穴の底に目をやる。しかし、二人の姿は見えなかった。2人の上方に、それまで穴のあった場所を埋めていた土砂が塊状に集まって浮かんでいたためだ。
「あ、もうちょい離れた方が良いですよ」
「えっ」
鎌鼬くんに引きずられるように下がって数秒後、穴から途轍もない破壊音と振動、土煙が上がってきた。

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迷兎造物茶会 Act 7

「確かに、これくらいの子が1人で公園にいるのは大変ね」
ピスケスもポツリとこぼす。
「そうなの?」
ボクよく分かんない、とキヲンは立ち上がりながら言う。
「母さんがどこへ行ったか分かるか?」
露夏が聞くと、蛍は…分かんないと答える。
「でも大丈夫!」
ママが急にいなくなることはよくあるし!と蛍は明るく言う。
「あたし、寂しくないよ!」
蛍はそう言ったが、露夏は心配そうな顔をした。
「…おれは、大丈夫じゃないと思うぞ」
露夏はポツリと呟く。
「蛍の母さんが心配してるかもしれないし」
露夏は蛍の肩に手を置きながら言う。
「だから、探そう」
おれ達が手伝うからさ、と露夏は笑いかける。
「本当?」
蛍が首を傾げると、露夏はうんと頷く。
「一緒に探そう!」
みんなもそれでいいよな、と露夏は顔を上げる。