「それに、あなたがそんなことをしたら蛍が悲しむわ」
ピスケスのその言葉に夏緒は静かにうなだれる。
振り上げた拳も、自然と下ろされていった。
「…」
女は暫く夏緒たちに冷たい目を向けていたが、その様子を見たピスケスは組んでいた腕を解いた。
「娘さんを大事にね」
蛍のお母さん、とピスケスは微笑む。
「蛍も元気でね」
また会いましょうとピスケスは蛍に優しい目を向けた。
「うん、ばいばいみんな」
また会おうね〜と蛍は手を振る。
女はなんとも言えない表情をしていたが、やがて蛍の腕を掴むとツカツカと去っていった。
「…」
その場に残された6人の間に沈黙が流れる。
「これで、よかったのかな」
露夏が思わず呟くと、ピスケスはそうねぇとこぼす。
「他人の親子関係は私たち人工精霊がどうこうできるものじゃないわ」
魔術を使った所で、私たちの存在が危うくなるだけだしとピスケスはまた腕を組んだ。
「そりゃそうだ」
魔術は歴史的にも秘匿されるべきものだからな、とナツィは服のポケットに手を突っ込んで言う。
大地は渇き水を求めている
それを防ぐにはどうしたらよいのか
みずみずしい世の中になるために私達は何をしたらいいでしょう。
言葉の力に頼るしかない
「}$*|•_•[|$|*]•£|€~£\‼︎」
そしてイフリートはゲーリュオーンに体当たりした。
ゲーリュオーンは背後に展開したバリアに叩き付けられそのまま地面に倒れ込む。
「{>|+€|“=’;‘;>{\$€[>;*[+_$’;“;>;>‼︎」
イフリートは雄叫びを上げると再度ゲーリュオーンに向かって駆け出す。
ゲーリュオーンは起きあがってイフリートと組み合った。
「‘;’|$\€{”;+\+_‘;>,‼︎」
「“;’{=\€>;|++;”;“,‘|‼︎」
怪物たちはお互いにうめき声を上げながら押し合うが、やがてゲーリュオーンの方が押し倒された。
ゲーリュオーンはそのまま倒れ込みそうになるが、倒れ込む場所にバリアが展開してその上に身体を打ち付けられた。
「${=€“;’.‼︎」
ゲーリュオーンは起きあがろうとするが、その左右にもバリアが展開して身動きが取れなくなる。
「{>;‘|’|*‼︎」
動けないゲーリュオーンに向かって、イフリートが炎を纏わせた拳を掲げて駆けてきた。
「“|$;$$]+|‘’|+|$|$|”‼︎」
ゲーリュオーンは悲鳴を上げるが、イフリートはそのまま拳をゲーリュオーンに向かって振り下ろした。
怪物の叫び声が、無人の街中に響き渡った。
昨日企画やりたい旨を投稿しました。動く点Pです。早速レスもらったので詳細を。
指定タグとか考えてなかったですね。「交換小説」でいいかな?
企画立てたくせに世界観とかもほぼ考えてなかったです。
時代はちょっと前?かな?災害や祟りで荒れた土地の神社の神様と、巫女さんが、妖怪を祓いながら土地を建て直す話…とか考えてます。やりたいのある!とかあればレスでお願いします。
時、14時12分。場所、インバーダ対策課のメンテナンスルーム。
ダキニの『協力』のおかげで、私はあの漁村に留まれることに決まった。と言っても、外傷の治療のため、一度古巣の大都市に戻る必要はあったわけだが。
老人にしばしの別れを告げ、スーツの男の乗って来た自動車で帰還し、現在はメンテナンスを受けている。
全体的な治療を済ませ、寝台の上で安静にしていると、ダキニが軽やかな足取りで枕元にやって来た。
彼女曰く、相棒である私について、あの漁村まで来てくれるとのこと。私には恩義があるが、ダキニにとっては何の思い入れも無いはずだろう。それについて問うと、彼女は私を救った恩をあの村に覚えているのだとか。
私の愛しい荼枳尼天の異能は、『人間の守護』に主眼を置いている。あの小さな村を守るためには有用だろう。
彼女の申し出に感謝して、私はひとまず眠りに就くことにした。傷は癒えた。体力の消耗も明日まで眠れば回復するだろう。
明日目覚めたら、朝一番であの村に帰ろう。道は覚えているし、足はダキニに頼めば良い。対策課の人間に頼めば、もしかしたら車ぐらい出してもらえるかもしれない。
あの漁村でも、きっと私は戦いに身を投じることになるだろう。しかし私の心は不思議と、これまでの淡泊な義務感とは違う、奇妙で幸福な高揚感で満たされていた。
次に目覚めたのは、あの地上と地下隔離施設を繋ぐエレベータの中だった。周りを見回してみると、怪物態のデーモンが私を肩に担いでいる。
「デーモン、ありがとう」
「気にしないでよ、フェンリルの頼みだ。彼がやると君、死んじゃうからねぇ」
「……そういえばフェンリル、さっきも言ってたけどどういう能力なの?」
「あ? 俺の能力か。『行動全てが破壊に変換される』、そういう能力。手足を軽く曲げるだけでも、呼吸をするだけでも、心臓が打つそれだけでも、全部周りをぶっ壊す。耐久力も硬度も全部無視してな。そういう能力。頑張れば止めておくこともできるんだけどな」
彼が言い終わった辺りで、エレベータが地下に到着した。そこから出て、スレイプニルが向かったあの地下空洞の方を見る。2体の馬のインバーダはどちらも舌を出して地面に倒れていて、代わりに8本脚の灰色の馬が立っていた。灰色と言っても、まるで光り輝くような艶やかな毛並みで、灰というより銀って感じだ。
「よ、スレイプニル。どうだった?」
「楽しかった」
言いながら、その馬はスレイプニル(人型)に戻った。
「ベヒモス。戦いの感想は?」
「……今回は周りに普通の人も居たから、みんなを守らなきゃって思って、最初より頑張れた。……みんなを守れてよかったと思う」
「そう。それじゃ、これからも人間を守るために戦い続けたい?」
「いや」
驚くほど即答できた。
「ずっと精神擦り減りっぱなしだったし、身体痛いししんどいし、もうやりたくない。……ああ、スレイプニル」
「何?」
「私、外に出てやりたい事決まった」