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ハブ ア ウィル ―異能力者たち― 19.チョウフウ ②

背中の真ん中辺りで切り揃られた長髪に、銀縁の丸メガネをかけた少女。
背丈はわたしより少し高い位で、彼女が羽織る鮮やかな紫色のスカジャンには蝶の刺繍が入っている。
この寿々谷において目立つその姿は、わたしの目を強く引き付けた。
「…え、誰」
「誰だって良いじゃない」
少女はそうわたしの言葉に答えると、わたしの隣へやって来て屋上の柵に寄りかかった。
「…それにしてもあなた、名前は?」
不意に少女がわたしの方を見て尋ねる。
急な事過ぎてわたしはへ?と答えることしかできなかった。
「あたしは蝶野 穂積(ちょうの ほづみ)」
ただの通りすがりよ、と少女は言って笑う。
「あなたは?」
穂積と名乗った少女がそう聞くので、わたしは恐る恐る不見崎 清花ですと名乗った。
「…そう、サヤカ」
良い名前じゃない、と穂積は微笑む。
「あたしの名前なんかよりずっと華があるわね」
ふふふと彼女は空を見上げつつ言った。

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暇ですね

大学の春休みに入ってから早2週間、身内に受験生がいることもありバイトもできず家に篭り続けるだけの日々…
そういう訳で、暇だから「創作のお題」募集します。
ぼくは基本的に物語ぐらいしか書けない者なのでその辺は悪しからずなのですが、なんでもいいのでお題をください。
書いたものはここに投稿するんで。
あ、「こういうお話を書いてほしい」「以前/今書いていた/いるあの話の世界観でこういうの書いてほしい」でもOKです。
なんでもいいのでお願いします(そろそろ絵を描くのにも飽きたので…)。

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龍神

私は龍神に祈りました『雨を・・・恵みの雨を降らせてください』と

誰しもが晴れを望んでいる

しかし大地が潤う為に、生きていく為には龍神の力が必要なのです

天に祈ります

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ぽつり。

身近なものは手放すくせに、
手が届かないものほど欲しがって
傷ついてもそれは名誉だと胸をはる

高嶺の花を手に入れたいと望むことを夢と呼ぶ
足元の花は気づかずに踏み潰しているくせに。

1

少年少女色彩都市 act 5

肉塊がその身体を地上の2人に叩きつける。しかし、それは少年がガラスペンで描いた障壁に防がれた。
「っ……やっぱり、結構重いな」
障壁には深く放射状の罅が入っており、一撃を防ぐのが限界であることは明白だった。
「君、早く逃げるんだ。防ぐだけなら何とかできるから」
少年に促されるが、叶絵は怪物の襲撃のショックからか座り込んだまま動かない。
「ああもう、早く逃げるんだよ!」
少年に手を引かれて漸く正気に戻り、肉塊が次の攻撃を放つ直前で、2人は怪物の真下から脱出した。直後、少年の生成していた障壁が粉砕され、肉塊が頭部を地面に叩きつける。
「危なかった……。良いかい、君。今すぐここから逃げて、家に帰るんだ」
「え、いやでも……」
「エベルソルの前で民間人連れて何やってるの?」
2人の会話に、突如薄紫のワンピースの少女が割り込んできた。
「⁉ な、何故ここに……⁉」
少年のことは無視して、少女は叶絵に軽く片手を挙げて挨拶した。
「しかし君、日に2度もエベルソルに遭遇するなんて一周回って逆にラッキーなんじゃない? 今すぐコンビニに行って一番くじ引くのをお勧めするよー。今ねぇ、私の好きなアニメの一番くじやってるんだー」
肉塊のようなエベルソルが近付いてくるのを、少女は片手に引きずっていたヘドロの塊のようなエベルソルを投げつけて牽制する。
「ねえ君、私の助け、あった方が良い?」
少女が少年に尋ねる。
「え、あ、ああ、できればお願いしたいけど……」
「そんな答え方できる余裕があるなら、まだ余裕そうだね」
「えっ」
少女はヘドロ塊のエベルソルを再び拾い、肉塊エベルソルの脇を通り抜けた。
「ぐっどらっく、若きリプリゼントル。本当に駄目そうだったら助けてやるから、せめて私がこいつを片付けるまでは頑張るんだよ」

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コート

電車に乗って なつかしい街へ
ぎんなんの道 白く塗られて
強がってるうちに遠くへ
運ばれてしまう 厚い雲のよう

君がネイルを塗ってた夜に
僕はベットであくびこらえてた

除光液のピーチのフレーバー
僕のシャツにも染みてしまう
友達は僕を女のような匂いがする
かわいいやつだと笑ってる

君の髪の毛 かわかす時の
暖かい匂いが好きだよ
春のコインランドリーのまどろみみたいで
僕は笑っちゃう

君がネイルを塗ってた夜に
僕はベットであくびこらえてた
君がコートを着込んだ朝に
僕はあくびで涙かくしてた