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ハブ ア ウィル ―異能力者たち― 19.チョウフウ ⑥

「…」
あの子は何なのだろう、とわたしは思わず考え込む。
彼女は”ただの通りすがり”を名乗っていたが、普通通りがけの人に話しかけるだろうか。
そもそもの話、彼女は本当に”通りすがり”なのだろうか。
…実際、ミツルのように”通りすがり”と言いつつ意図的にわたしに絡んできた人もいるし。
彼女もまた、何か理由があってわたしに絡んできた可能性も否めない。
それに彼女もミツルと同じく異能力者かも…
「おい」
そこまで考えた所で不意にネロに話しかけられ、わたしはハッと顔を上げる。
「どうしたんだよ、そんな難しい顔して」
考え事か?とネロは不思議そうにこちらを見る。
「あ、あ、うーん」
そうだね、考え事、とわたしは慌てて答える。
ネロはふーんと答えたが、すぐに前を向いてこう言った。
「…黎が気にしてたぞ」
「え?」
わたしが思わず黎の方を見ると、黎は恥ずかしげに師郎の陰に隠れる。

1

迷い

何の迷いもなく
手を差しのべる

私にはできない

一度迷った優しさ
優しさと呼んでいいのか

どんな手でも差し伸べた優しさ
きっと変わらない

そう思いたいだけ

0

クリームベル

高く降り注ぐ
気高き曲
それは暖かい音楽だった 優しい歌声だった

人と人を繋ぐヒカリ

それが閃光ライオット

0

肌が

夏は暖かい気候が続き
冬は寒い気候が続く

肌が追い付かない
かゆみがあるのは

手入れをしてないから

3

ちょっとお話

こんにちは、動く点Pです。
ちょっと前置きはさみますね。今、交換で小説書いてるのはご存知かと思うんですが、ちょっとやらかしましてすみません。肉塊まだ生きてるよ大丈夫。まだいけるぞ頑張れ。

本題です。新しく話書こうと思ってます。
主人公は狼と兎で決定なんですが、ざっくりした物語案が2個あるんです。
一個目は恋愛系。狼が怪我した兎を助けて、一緒にその兎の家族を探しにいく話。
二個目はホラー系。狼と兎が協力して、謎の施設から出る話。
二個目ふわっふわですけど…まあ頑張ります。
一個目が良いかな〜って感じだったらいいね
二個目が良いかな〜って感じだったら頑張れを押してもらえるとありがたいです。多い方を採用するかな。

あ、あとついでに、「〇〇話ぴったりで終わる話」みたいなコンセプトで企画も考えてはいます。考えてるだけね。

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fate destroyer

6襲撃

先生の言葉が遺言になった理由。
その話をされた翌日、外部からの襲撃に遭ったからだ。
俺は他の人々と一緒に戦闘へ出ていたのだが、先生は子供たちを逃すために単独行動をしていた。
その時に、子供たちを庇って亡くなったと聞いてる。
聞いてる、と言うのは、実際に見た訳ではなかったからだ。
自分の事なんだろ、と言われるが、わからないものはわからない。
ここまでの俺の人生は、なんだか他人事のような気がしていた。

2

少年少女色彩都市・某Edit. Agitation & Direction その③

タマモの放つ弾幕が、正面から広範にエベルソルを捉え、回避しようと更に広がろうとする群れを、ロキの変化光弾が横からちくちくと突き、少しずつ一塊にまとめていく。
「……流石に180ぽっちじゃ対応されてくるな。200くらいに上げて良いか?」
「好きにして良いよ。私がタマモに合わせられないと思う?」
「あー……そうだな、信頼が足りなかった。じゃ、202くらいで」
タマモの放つ弾幕の間隔が更に早まる。それまで弾速に慣れて防御行動を取るようになっていたエベルソルらは、突然のリズムの変化に対応できず、再び被弾し始めた。
「…………ところで」
「何?」
「ここでタマモノマエの豆知識たーいむ」
「わーぱちぱちぱち」
「今、裏で聞こえてるこの破壊音ですが」
タマモの言葉の直後、ホールの裏から重量物が落下する重低音が響いた。
「ああ、【モデラー】ぬぼ子さんの」
「そうそうあの人。あの人がこの間出した動画見たか?」
「まだ見てなーい」
「そっかァ……あいやそれはどうでも良いんだが。あの人、攻撃のタイミングを中の演奏と合わせてるらしいぜ。何か、デカい打楽器と合わせてるんだと」
「ティンパニ?」
「いや俺あんま楽器とか知らねーし……」
「……器用だねぇ」
再び、落下音が聞こえてくる。音楽と異なるとはいえ芸術の才を持つ二人だったためか、その音を聞いた瞬間、同時に同じことを考えた。
((今、ズレたな))
「……ねぇ、タマモ?」
「分かってる。『頼む』なよ? 俺らはそういうのじゃねえだろ」
「うん。じゃあちょっと行ってくるから」
「うい任せろ。お前が帰ってくるまでくらいはもたせてやるよ」
「全部倒しても良いよ」

3

少年少女色彩都市 Act 9

少女がヘドロのエベルソルを倒した頃、叶絵は倒れた肉塊エベルソルを前に少年と話していた。
「…えーと、つまり、リプリゼントルの力で作り出した特別なバイオリンを奏でることで、エベルソルに作用する特別な音波を出して倒した、と」
叶絵がそう言うと、少年はまぁそんな所と返す。
「どんな形であれ、エベルソルはリプリゼントルの“創造力”に弱いからね」
“創造力”で作り出したもので“創造力”を叩き込めば自然とエベルソルは倒れる、と少年は続ける。
「それにこのぼく、和湯 典礼(わゆ てんれい)のようなレベルになれば…」
少年がそう言いかけた所で、不意に彼は言葉を止める。何か気配を感じたのか少年は後ろを振り向いた。叶絵もつられて少年が見た方を見る。
見ると少年が先程倒したエベルソルの表皮に裂け目が入り、中から白い無数の脚を持つ蛾のような何かが姿を現した。
「なっ…!」
第二形態、だと…⁈と少年こと典礼は動揺する。蛾のようなエベルソルは翅を広げると口から火球を叶絵たちに吐き出した。
「⁈」
想定外の事態に2人は動けず、このままエベルソルの攻撃を喰らうかに思えた。しかし、2人の後ろから誰かが走ってくる音が聞こえたかと思うと、叶絵と典礼は後ろから押し倒されるように伏せさせられた。
「!」
無理やり伏せられた叶絵が顔を上げると、黒い背広姿の若い女が叶絵と典礼に覆い被さっていた。
「…あなたは」
叶絵は思わずそう呟くが、典礼は自分を突き倒した女を見て目を丸くする。
「姉さん⁈」