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魔法(1)

「卒業まで残り12日」
壁に貼ってあるプリントを見る。
このクラスで居られるのは残りわずか。
それまでに、他の人に取られなければ作戦成功。

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ハブ ア ウィル ―異能力者たち― 19.チョウフウ ⑫

「それで、何で?」
さっきみたいに上に誰かいるとか?と黎は聞く。
わたしはま、まぁと答える。
実際、わたしはヴァンピレスから逃げている最中に上から視線のようなものを感じていた。
その度に上を見ると、近くの建物の上からあの穂積らしき人影が見えていたのだ。
「知ってる人っぽいのがいたと言うか…」
わたしがそう呟くと、はぁと黎は返す。
「また知ってる奴か」
さっきもそんな事言ってたよな、と耀平はわたしの方を見る。
「結局ソイツは誰なんだよ」
耀平がそう言うのでわたしはこう答える。
「え、だから昼頃に会った穂積だよ」
わたしがそう言うと、耀平は目を丸くする。
「…マジ?」
耀平がそう聞き返すので、わたしはうんとうなずく。
「それがどうかしたの?」
わたしが尋ねると、耀平は下を向いて考え込む。
「耀平?」
わたしがどうしたのだろうと思って彼の名前を呼ぶと、耀平はゆっくりと顔を上げた。

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少年少女色彩都市 Act 12

少女が立ち去った所で、典礼の姉は叶絵に向き直った。
「ごめんなさいねあなた…戦闘に巻き込んでしまって」
本当に、ごめんなさいと典礼の姉は深々と頭を下げる。叶絵はそ、そんなに頭を下げなくてもと慌てる。
「実際わたしだってリプリゼントルの戦いが気になって飛び出してきちゃっただけだし、こうなった原因はわたしに…」
叶絵は元の姿に戻って言うが、典礼の姉はいいえ、私が悪いのと頭を下げたままだ。
「私がさっさと引退しないから…」
典礼の姉はそう謝り続けるが、その様子に痺れを切らした、いつの間にか元の姿に戻っていた典礼が姉さん!と声を上げる。典礼の姉は顔を上げた。
「早く引退してたらって、もしそうしてたらこのピンチを切り抜けられなかっただろ!」
ぼくだけじゃなくて彼女もどうなってたか分からないんだぞ!と典礼は語気を強める。
「…だから、そんなこと言うな」
姉さんが謝っているのを見てたらぼくだって嫌な気持ちになると典礼が言うと、典礼の姉は典礼…と呟いた。
「…という訳でだ」
この窮地を救ってくれてありがとう、と典礼は叶絵に向き直る。
「しかしぼくらが無理矢理君を戦わせてしまったのも事実だ」
これ以上、君も戦いたくないだろう?と典礼は続ける。
「もし君がこれ以上戦いたくないのであれば、そのガラスペンをぼくらに返して…」
「いや、いいです」
典礼が言いかけた所で叶絵は遮るように断る。
「わたし、リプリゼントルとして戦います」
叶絵は毅然とした表情で言い切った。どうして…と典礼が尋ねると、叶絵はだってと返す。
「わたしにできて他人にはできないこと、絵を描くこと以外にも見つけられたから」
叶絵は手の中のガラスペンを見つめながら続ける。
「だから、リプリゼントルとして戦いたい」
皆さんと一緒に…!と叶絵は顔を上げる。心なしかその表情は明るく見えた。
「そうかい」
それが君の意志なら、ぼくは尊重するよと典礼は笑う。
「分かったわ」
それなら私も、全力でバックアップすると典礼の姉も頷く。
「ありがとう、ございます!」
叶絵は満面の笑みを浮かべた。

〈少年少女色彩都市 おわり〉

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少年少女色彩都市・某Edit. Agitation & Direction その⑦

「ロぉーキぃー? なァーに『助けられちゃった』とか言われてンだァ?」
「助けたのはホントだよ?」
「お前、よく俺の前で言えるなァ」
「ほら、撃ち漏らしたのは2匹だけだしー」
「お前なー……」
タマモは背後に迫る2体のエベルソルを親指で指しながらロキに尋ねる。
「このサイズ2体もいたら、あんな小ッせえホール2分で全壊させられるぜ?」
「小さい大ホール……」
「別にそこは良いだろ」
溜め息を吐いてから、タマモは振り向き、2体のエベルソルに向き直った。
全長5m近くある、六足のエベルソルが鋭く尖った前肢を持ち上げ二人に狙いを定めている。
「タマモ、いつもみたいに啖呵切ってみせてよ」
「いきなり無茶言うなよ相棒。横入りの俺にゃ不相応だろ。この喧嘩はもう始まってンだ、弾丸一つで足りるだろィ」
「いぇあ」
2人の描いた光弾が、エベルソル2体に1発ずつ命中した。ダメージと反動で怪物らは仰け反りながら後退る。
「ぬぼさん、離れた!」
「叩き潰せ、姐さん!」
2人の声に応えるように、巨大な直方体のブロックが、エベルソルらを轢き潰すように通り過ぎた。

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揺らぐ

小さなさざなみ引き連れて春がやってくる

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暖かい日差しに少し冷たさの残る風が吹く日

優しく風に揺られる髪に一目惚れしたあの日からもう3年

あなたは桜の花びらと共に消え去った