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視える世界を超えて エピソード9:五行 その⑤

種枚さんに言われた市民センターの集会室に入ると、既に先客が一人いた。
「あ、キノコちゃんのお気に入りだ」
「犬神ちゃん、久しぶり」
「うん久しぶりー。それ誰?」
「友人の白神さん。白神さん、この子は犬神ちゃんです。種枚さんの……友達?」
「それで良いや」
適当に答えて、犬神ちゃんは長机を並べ始めた。
「今日はキノコちゃんのお気に入りを合わせないで5人来る予定なんだって」
……そういえば、犬神ちゃんには名前が伝わっていなかったような。
「自分は千葉というんですよ、犬神ちゃん」
「へー」
聞いているのかいないのか分からない返事をしながら、犬神ちゃんは長机とパイプ椅子を並べ終えた。
そして、それとほぼ同時に、また部屋に一人入ってきた。
「……⁉」
神社で会ったあの男性だ。驚愕したような目は白神さんの方に向けられている。種枚さんにあんなことをする人だ。あの時の言い方からして、白神さんにも何かするかもしれない。一応、庇うように彼女の前に出る。
一瞬場に緊張が走ったけれど、それはすぐに、また新たに部屋に入ってきた三人組に解除された。

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どっちみち

生きてみろ。その先は生き地獄だぜ。

死んでみろ。その果は地獄逝きだぜ。

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暴精造物茶会 Act 4

キヲンはうんと答える。
「なんか面白くないっていうか」
キヲンの言葉に思わず3人は沈黙する。
「…まぁ、確かに、きーちゃんからしてみれば面白くないかもね」
ポツリと紅色の髪のコドモが呟く。
「きーちゃんはいつも“すごい人たち”と一緒にいるんだから」
紅色の髪のコドモがそう言うと、緑髪のコドモは確かにと頷く。
「“学会”幹部の使い魔とか、“黒い蝶”とか…僕たち見習い魔術師の使い魔とは比べ物にならないような人たちばっかりだもんな」
「それはそうだけど…」
水色の髪のコドモは思わず俯く。
「“クロミス”」
わたしたちはあの人たちとは違うのよ、と紅色の髪のコドモは言う。
「あの人たちとは違って、わたしたちは弱い存在なのだ…」
紅色の髪のコドモはそう言いかけるが、そうだ!と水色の髪のコドモことクロミスは手を叩いた。
「みんな、今度“学会”本部の地下を探検しようよ!」
へ?とあとの3人はポカンとする。

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「ひとりじゃないよ」

固まった笑顔をとかすような魔法、のようなひとこと。

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鉄路の魔女:Nameless Phantom その①

今日は朝から気分が良かった。こんなに意識がはっきりしているのはひと月ぶりくらいだろうか。せっかく機嫌が良かったから、私の進むべき道をのんびり散歩していただけだというのに。
「アオイ、そっち行った!」
「了解! 食ら……えっ!」
いつか何かの広告で見た海のように青いドレス姿の“鉄路の魔女”アオイちゃんが突き出してきたランスを、大きく身を屈めて回避する。回避のために咄嗟に足を止めたせいで、もう片方の“鉄路の魔女”ミドリちゃんも追いついて来て、メイスを叩きつけてくる。機械腕でそれを防ぎ、大きく跳躍して二人から距離を取る。
「もう……なんだってこんな……仲間じゃァないかァ……」
「仲間だって⁉」
「お前なんかと一緒にするなよ、“幻影”!」
2人は私に対して、随分と敵意を剥き出しにしている。たしかに人間とほとんど姿の変わらない2人と違って私の下半身は馬のそれだけれども。ケンタウロス差別だろうか。
「何言ってるのか分からないけどさァ……もっと平和にいこうよ、ね?」
2人を落ち着かせようと話しかけながら、ついでに近くを通りかかった人間の頭に腕を突っ込んで、「イマジネーション」を少しばかりいただく。瞬間、2人が目を見開いてこっちに突っ込んできた。
「おまっ、お前ぇっ!」
「今人間を……! 許さない!」
2人は何を怒っているんだろうか。人間なんて、生きていれば嫌でもものを考えるんだから、少しくらいもらったって支障は無いだろうに。
アオイちゃんのランスを片手で受け止め、ミドリちゃんの振り下ろすメイスは払うように受け流し、2人を前脚で蹴り飛ばす。

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鉄路の魔女 〈企画要項(再掲)〉

どうも、テトモンよ永遠に!です。
企画「鉄路の魔女」の開催期間が折り返し地点に達したので、要項の再掲です。
では以下再掲。

タイトルは「鉄路の魔女」。
人々の鉄道に対するイメージから生まれた少女たち「鉄路の魔女」が人間のイマジネーションを餌とする存在「幻影」と、時に人間たちを巻き込みつつ戦ったり日常を過ごしたりする物語をみんなで書いていこうという企画です。
端的に言えば「鉄道(萌え)擬人化バトルファンタジー」と言った所でしょうか(難しい)。
ルールはこの後投稿する設定と公序良俗を守ってタグ「鉄路の魔女」を付けてさえいればなんでもOK!
もちろん投稿形式・長さ・数は問いません。
開催期間は5/31(金)24:00までです(遅刻投稿も大歓迎)。

今回、この企画で企画開催は最後にしようと思ってたのですが、最近企画に使えそうな面白そうなネタを思いついたので、その内(やるとしたら8月)開催するかもしれません。
でも今回もよかったらウチの企画に参加して欲しいな!
ぼくもこれから企画参加作品を投稿する(てかまだ制作中)のでまだまだ企画参加待ってます!