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Flowering Dolly;STRONGYLODON Act 10

「ご機嫌はいかがかい」
僕はまぁまぁなんだけど、と少女は首を傾げる。ビーストは唸り声を上げるが、少女はこう言った。
「…残念だけど君にはここで退場してもらおうか」
青緑色の髪の少女はそう言うと、ビーストの目の前から消えた。ビーストは目の前の少女がどこへ行ったのか困惑するが、突然背後に気配を感じた。ビーストが身をよじって後ろを見ると、翡翠色の長剣を持った少女が斬りかかってきていた。
「“{”{$‼︎」
ビーストは咄嗟に光壁を張って少女の攻撃を弾く。しかし少女は即座に姿を消して今度はビーストの頭部の右側に現れた。
ビーストはそちらに顔を向けて火球を吐くが相手は手に持つ長剣で火球を弾く。そしてまた瞬間移動してビーストの右目に長剣を突き立てた。
「€|${‘|*$]$\>\^]$\‼︎」
ビーストの右目からはドス黒い血が溢れ、ビーストは悲鳴を上げた。そのまま少女は瞬間移動し今度は左目に長剣を突き立てる。先程以上にビーストは絶叫し、その場でじたばたと暴れた。
「君には街を破壊したお仕置きが必要だね」
不意にビーストの目の前で少女の声が聞こえる。ビーストは火球を吐こうとするが、青緑色の髪の少女はすぐに高く飛び上がった。
そして少女は数十メートルの高所から長剣を構え、ビーストの目の前に来た所で長剣を振り下ろした。
ビーストの脳天は斬り裂かれ、ビーストはその場に崩れ落ちた。

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五行怪異世巡『霊障遣い』 その①

ある新月の夜の事。普段通り怪異狩りの武者修行に駆け回っていた青葉は、ひと気の無い通りを歩く一つの人影を見た。
(ん、あれはたしか……)
その人影に駆け寄り、声を掛ける。
「潜龍さん。こんばんは」
「む……岩戸の」
狩衣姿の平坂に会釈を返される。
「お前、こんな遅くに何をしているんだ。子供は寝ているべき時間だろう」
「武者修行です。潜龍さんこそ、どうしたんですか? 正装までして……」
「……まあ、こちらにも事情や用事はあるのだ。お前はさっさと帰れ」
「……何か、怪異絡みですか? 何だったら、私も協力しますよ」
「それは駄目だ」
ぴしゃりと言い放たれ、青葉は目を丸くした。
「……その言い方。何か危険なモノがいるんですね?」
「……そういうことだ。だからお前はさっさと帰れ。力の無い奴がいても足手まといになるだけだ」
やや冷たく言われ、青葉は一瞬言葉に詰まったものの、一度大きく息を吐き出し、踵を返した。
「分かりました。今日はもう帰って寝ます。……潜龍さん」
「何だ」
「岩戸家に話はつけてありますか? 姉さまならきっと力になってくれますよ」
「……考えておこう」

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永遠

無駄だったのだろうか。
何も無い海を見つめて唇を噛み締める。

ああ、私だけ置き去りだ。

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魔狩造物茶会 Act 8

「大丈夫よ」
かすみの様子を見てピスケスは微笑みながらその手を取る。
「私や露夏がなんとかするわ」
「えっおれも⁈」
ピスケスがそう言うと露夏は自身を指さし驚く。
「そうよ」
お前は私の狗なんだしとピスケスは笑う。
「とにかく私たちがなんとかするわ」
だから安心なさいとピスケスは優しく言う。
かすみはうん…と頷いた。
「じゃあ、行くわよ露夏」
ピスケスはそう言うとかすみとキヲンの横を通り過ぎていく。
露夏はちょっ待てよとピスケスのあとを追う。
かすみとキヲンは2人の様子を見ていたが、不意にかすみがねぇ!とピスケスと露夏を呼び止めた。

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Flowering Dolly:釣り人の日常 その②

「全然釣れないのも、ビーストの影響ですかねぇ?」
少女の方を見ると、ニタニタと意地の悪そうな表情でこちらを見上げている。
「何だお前」
「釣り人です」
「なら釣りしてろ」
「でも魚いないし……」
「それはそうだけども……」
取り敢えずウミヘビの方には注意を向けつつも、釣りを再開した。30分ほど、隣にすり寄ろうとしてくる少女を片手で牽制しながら釣り糸を垂らしていると、沖合の巨大ウミヘビが急に仰け反った。
「お、ようやくドーリィが来たな……」
「来ましたねぇ。今回も追い払うだけになるんですかねぇ」
「あのウミヘビ、無駄にタフだからな……。頑張ってほしいけどなぁ……」
「あの子のお陰で上陸してまで大暴れしたりはしないですから、それだけでも十分助かりますよね。まあアレのせいでこの町の漁業関係者は大体職を失っちゃいましたけど。海に出たら沈められちゃう」
「こうして堤防釣りしてる分には平気だから良いんだけど……いや全然良くねーか」
「んひひ…………あっ」
少女の声に海面を見ると、彼女の竿から伸びる糸が引かれている。
「かかったけど……雑魚ですねぇ……」
そう言いながら、少女はしばらく釣竿を上下させていたが、急に糸が引かれなくなった。
「逃げられちゃいました」
「そうか」
ウミヘビの方から爆発音が響いてきた。
「やったか?」
「やってないんじゃないですかね」
そっちを見てみると、巨大ウミヘビはまだ生きているようだった。
「ほらぁ」
「マジか……」

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旅程

さいわいとか あいとか やさしさとか

どこにもないものを さがしにいこうよ
どこにもなくたって どこにもなかったねって
わらうふたりが さいごにいれば
もうそれでいいよな

そういうのをきっと
さいわいとか あいとか やさしさとか
そうよぶんだ

じんせいとは たぶん
あいらぶゆーにたどりつくまでのかていなんだ

げらげらわらって どこまでもいこうぜ
きみとぼくのあしあとで
せかいをうめつくせ

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Flowering Dolly;STRONGYLODON Act 9

しかし逆に頭部分の皮膚はあまり硬くないため頭部を狙えば勝ち目がありそうだったが、このビーストは火球を口から吐くため簡単には攻略できなかった。
「アガパンサス」
不意にリコリスが名前を呼んだので、アガパンサスはどうしたのリコリス?と彼女の方を見る。
「貴女…ビーストを囲うようにバリアを張ることってできるかしら⁇」
急に聞かれてアガパンサスはえっと…と少し考える。
「多分できるわ」
「ならお願い!」
そう言うとリコリスはゼフィランサス!と声をかける。ゼフィランサスははいっ!と返した。
「貴女はアテクシと共にアガパンサスからビーストの気を逸らすわよ!」
「あ、はい!」
リコリスはビーストの後ろへ回り込むように走り出す。ゼフィランサスもそれに続く。
ビーストは2人を追いかけ始めたが、突然目の前の何かにぶつかった。アガパンサスがビーストの周りに光壁を張ったのだ。
「$~€|+{£|>|*{£_€_>‼︎」
ビーストは光壁を破壊しようと体当たりするが、光壁はびくともしない。
「今よ!」
2人共‼︎とアガパンサスが叫ぶと、リコリスは高く飛び上がって赤い2振りの刀を構える。そしてビーストがいる光壁の中に飛び込んでいった。
ビーストは口から火球を吐いて応戦するが、リコリスは火球を刀で弾く。そのまま彼女はビーストの脳天目がけて斬りかかった。
しかしリコリスはビーストの目の前で見えない壁のようなものに弾かれた。
「⁈」
何が起きているか分からないままリコリスは地面に落下する。ビーストがバリアを張った、そのことに彼女が気付いた頃には、ビーストが自らが生成した光壁でアガパンサスの光壁を破壊していた。
「…嘘でしょ」
ゼフィランサスが慌ててキャッチしたことでリコリスは無事地上に着地できたが、ビーストは逃げ出してしまった。
リコリスは思わず呆然とするが、不意にビーストは通りの真ん中で立ち止まった。ドーリィたちが見ると、ビーストの目の前には青緑色の髪で翡翠色のジャケットとスラックス、白いブラウスの少女が立っていた。その左手には青緑色の花の紋様が浮かび上がっている。
「貴女…まさか‼︎」
あの少年と!とリコリスは驚く。ゼフィランサスとアガパンサスも目を丸くした。
青緑色の髪の少女はビーストを見上げてやぁと微笑む。

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ドーナツのまんなか

無秩序に歪んだサークルの
みんなから同じだけ離れた中心

僕には良い匂いで
思い返すと虚ろ