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ハブ ア ウィル ―異能力者たち― 23.オウリュウ ⑫

そういう訳で、わたし達は皆で霞さんの事を駅まで送っていく事にした。
寿々谷公園から寿々谷駅までは少し離れているので、わたし達はその道中の細い道でずっと話しながら歩いていく。
そんな中でも、黎は何かを気にしているような素振りを見せていた。
「へー、耀平くん、中学校では軟式テニス部に所属してるんだ~」
「ま、適当にやってるだけだよ」
霞さんと耀平が楽しそうに話し、ネロと師郎はその様子を暖かく見守っている。
しかし黎は周囲を気にかけているようで、わたしの意識はそちらへ向かっていた。
一体何を気にしているのだろうとわたしが気にしている中、ふと黎が足を止める。
わたし達も思わず足を止めた。
「黎?」
わたしがつい立ち止まって尋ねると、黎は後ろを見て、あれ…と呟く。
「あれ?」
一体な…とわたしが言いかけた時、不意にうふふふふふと高笑いがわたし達の侵攻方向から聞こえた。
わたし達がそちらを見ると、そこには白いミニワンピースにツインテール、そして赤黒く輝く瞳を持った少女が立っていた。
「ヴァンピレス‼」
なんで出てきた⁈とネロが怒号を上げる。

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ハブ ア ウィル ―異能力者たち― 23.オウリュウ ⑪

「あの子は昔から明るくて、何だかこんな僕にも良くしてくれるから、すごく嬉しかった」
だから僕も、人が怖くなっていったんだろうね、と霞さんは言った。
わたしや師郎は黙ってそれを聞き、隣のベンチに座るネロと耀平は静かにこちらを見ている。
黎もちらと霞さんの方を見る。
「ま、そういう訳で僕は変われたんだ」
霞さんは微笑んだ。
わたし達はそんな霞さんの事を見ているばかりだったが、やがて彼はさて!と呟く。
「そろそろ日も暮れてきているし、帰る事にしようか」
霞さんがそう言ってわたし達に背を向けると、え~もう帰るのー‼と耀平が不満気に声を上げる。
霞さんはそうだよ~と振り向いた。
「君達だって、そろそろ帰り始めないと親に心配されるでしょ?」
「まーそうだけど…」
耀平は不満気な顔をするが、霞さんはじゃーあー、と彼に近付き顔を覗き込む。
「僕の事、寿々谷駅まで送ってくれない?」
その言葉に、耀平の顔がパッと明るくなる。
「え、いいの?」
「うんもちろん!」
ギリギリまで一緒にいたいし~と霞さんは続けた。
「やったぁ!」
耀平はそう言って嬉しそうに立ち上がる。
霞さんはふふと笑った。

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現実味のない 願い事シリーズ3

洗濯バサミが
嫌いな上司を食べてくれますように!

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7月

ちょっとこんな時期なんで、七夕をさせていただきますね

お空にエアコンができますように!

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「感謝します」

この言葉は人の心を暖かい何かで包む言葉だ。

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勇者

大海原を泳ぐ

現実は甘くない

勇者の剣はダイヤで出来ていたら?

ここぞとばかりに研ぎ澄まされていく盾