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ハブ ア ウィル ―異能力者たち― 番外編 サマーエンカウンター ⑥

「にゃんこ」
少女がそう言って玄関先でしゃがみ込んだのでパッと彼女の目線が向く足元を見ると、自分のすぐ側に濃い灰色のネコが座っていた。
自分は驚いて思わずそのネコ…ロヴィンを抱きかかえる。
それを見て少女はかわいいねぇと笑った。
自分はどうしたらいいのか分からずロヴィンを抱えたまま黙り込んでいたが、不意に少女の後ろに立つ少年がなぁネロ、と彼女に話しかける。
「暑いから早く回収しちゃおうぜ」
「それは分かってるけど~」
ネロと呼ばれた少女は立ち上がりつつ少年に対し口を尖らせる。
「ネコちゃんかわいいからその話をしてるのー」
「そんな事はどうでもいいから」
「どうでもよくない~」
2人が言い合う様子を自分は呆然と見ていたが、やがて終わりが見えなくなってきた。
そのため自分は思わずこう言った。
「…ねぇ、長話するなら上がったら?」
2人は話を止めてこちらを見ると、驚いたようにまばたきした。

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頭に

良いことをすれば頭にお金が貯まる。

そしたら快楽は人一倍あると聞いた。
そしてよく眠れると聞いた。

頭のお金が無くなると不眠症になると聞いた。

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Specter children:人形遣いと水潜り その⑭

森の中は、動物の気配すら感じられない不自然な静寂に満ちていた。蒼依は“奇混人形”を人型に変形させ、自身の前方2mほどを先行させながら慎重に進む。耳を澄ませ、夜闇に目を凝らすが、“鬼”の気配は無い。
不意に、背後から草を踏む音が近付いて来た。まだかなり距離があるようで、耳に届くのは極めて小さな摩擦音のみである。音の感触は軽やかで、足音を潜めようという様子はなく、蒼依はその音の主を冰華であると判断し、構わず前進を続けた。
『おーい、蒼依ちゃーん』
しばらく前進していると、背後をついて歩く気配が蒼依に声をかけた。
(冰華ちゃん……?)
声に反応して立ち止まった蒼依は、“奇混人形”を自身の傍に呼び寄せてから振り返った。
「……冰華ちゃん?」
小さな声で呼びかける。しかし、返事はない。
「…………冰華ちゃん……じゃ、ないな?」
『冰華だよー』
蒼依の呟きに対して食い気味に、再び声がかかる。
(やっぱり違うな)
蒼依は“奇混人形”に手を繋がせると、それを音もなく短槍の形状に変化させた。
「冰華ちゃんならさぁ……さっさと姿見せるよね?」
闇の奥から聞こえた声に向けて呼びかける。数秒待った末に、『声』が返答した。
『アオイ、ちゃーン…………ヒョーか、だ、ヨォ……』
その声は明らかに異質で、冰華どころか人間の声ですら無いと容易に確信できるものだった。その声が止むのと同時に、荒々しく草木をかき分ける音と共に、気配が接近してくる。
(正体隠すの止めたか)
短槍を構え、短く息を吐き出しながら気配の方向へ投擲する。槍は木々の隙間を縫うように飛んでいき、硬い衝突音を鳴らした。木の幹に着弾したらしい。
(外した。そして、私は武器を失った……)
徒手のままに暗闇に向けて構えを取り、相手の出方を待つ蒼依。
数瞬の間を置いて。
『ク……クカカッ』
灰白色の皮膚を持った痩躯の“鬼”が、木の枝を掴み折りながらゆらゆらと現れた。

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ありがとう

辛い時に心が痛むんだ。
あなたの笑顔が見れた時には心が弾むんだ

多分、心は感情が行ききして忙しいと思う。

私のこの痛みに耐えた心は、多分最強だ。

ありがとうね