「それじゃ、今日の目的は果たせたってことで、おれ達は引き揚げますかね」
ネロが折り畳み傘を受け取ったのを見届けてから、耀平はそう言って立ち上がる。
だね、と言ってネロも立ち上がった。
「じゃ、今日はありがとね」
えーと、アンタの名前は…とネロが言いかけたので、自分はまだ2人に対して名乗っていない事に気付いた。
「…黎、鞍馬 黎(くらま れい)」
自分がそう答えると、ネロはじゃあ黎、と笑う。
「またね」
それに続いて耀平もまたなー黎、と笑みを浮かべた。
家族以外の人間に下の名前を呼ばれる事が珍しすぎて思わず自分は呆然としてしまうが、そうこうしている内に2人は部屋の扉を開けて廊下へ出ていった。
自分は足元に座るロヴィンの方を思わず見やる。
ロヴィンはどうって事ない感じでこちらを見ていた。
深夜の森の中を、蒼依と冰華の二人は周囲の気配を警戒しながら慎重に進んでいた。
「っとと……」
「蒼依ちゃん大丈夫?」
「うん」
足元の小さな凹凸に足を取られて転びそうになった蒼依を、冰華が支える。鬼を逃がしてから、このやり取りは既に5度目だった。
「どしたの蒼依ちゃん。疲れた? ずっと戦ってくれてたもんね」
「いや、それは大丈夫。ちょっと注意力が散漫になってて」
「暗いんだから気を付けなきゃ」
「いやぁ……さっき、人形たちを先に森に突っ込ませたじゃん?」
「うん」
「私、あれと感覚共有できんのよ……人形たちの見聞きしてるものが、ぼんやりと分かるの。『ぼんやりと』ね」
「へー?」
「ただ……あまりにもぼんやり過ぎて、めちゃくちゃ意識集中させないと分からないんだよね。だからちょっと、足元に注意払う余裕が……」
「おんぶしたげよっか?」
「重いよ?」
「大丈夫、私の腕は“河童”なんだから!」
「おんぶって腕だけでするものじゃないじゃん」
「良いから! 蒼依ちゃんは鬼見つけるのに集中して!」
「……じゃ、お言葉に甘えて」
蒼依が恐る恐る、冰華の背中に覆い被さる。
「……重い」
「だろうね」
冰華がよたよたと歩き出して1分も経たないうちに、背中の蒼依が声を上げた。
「止まって」
「何?」
「来る」
最近、かの有名な東方Projectの割と最近(つっても8年くらい前になるみたいだけど)の曲「今宵は飄逸なエゴイスト(Live ver)〜Egoistic flowers.」のサブタイトル部分「Egoistic flowers」みたいなちょっといい感じのタイトルの世界観を作ってみたいなと思いまして、少しもじってみたんですよ。
それで「EgoistiC ElectroniCa」っていうタイトルだけができてしまったんですけど、まぁ話の内容が思いつかない。
という訳で“企画”とまではいかないけどちょっとしたお題です。
「EgoistiC ElectroniCa」というタイトルで、なんか文芸作品を作ってみてください。
形式・分量・モチーフなどコンプライアンスに反しない限りはなんでもOKです。
参加した作品にはタグ「EgoistiC ElectroniCa」をつけてくださいね(スペルミス注意)。
ちなみに自分はなにか思いついたら書くかも程度です。
激ムズお題だけど、よかったらやってみてね〜。