「耀平?」
他の皆も足を止める中、わたしはつい彼に聞く。
耀平はあの人…と駄菓子屋の店先で品物を眺めている男の人に目をやった。
あの人?とわたし達は不思議がった時、その男の人がわたし達に気付いたようにこちらを見た。
「霞(かすむ)?」
耀平が思わず呟いた時、男の人は、もしかして耀平くん?と驚いた顔をする。
耀平はパッと笑顔を浮かべると、その男の人の元へ駆け出した。
「久しぶり~‼」
元気してた⁇と耀平は彼に近寄りつつ声をかける。
霞と呼ばれた男の人は、うん元気してたよ~と笑った。
「ねぇ耀平」
誰この人?とネロが耀平に近付きながら尋ねると、耀平はあぁと振り向く。
「彼は雨水 霞(うすい かすむ)」
おれが小さい頃に近所に住んでいた年上の友達、と耀平は彼を紹介した。
「へー」
ネロはそううなずく。
「この子達は友達?」
一方、霞さんがわたし達の方を見やりながら耀平に聞くと、耀平はそう!と明るく答えた。
今年も冬が来た。
気付けば暦も12月にさしかかり、街路樹の葉も落ちて道行く人々の服装も厚着になってきた。
学校も学期末テストの時期が近付いて学生達は焦り始めるし、今年もあとわずかという事で大人達も心なしか慌ただしい。
この1年も、とうとう終わりが来るのだ。
そんな中、わたし達はのん気に商店街の裏路地を歩いていた。
「もう今年も終わるなー」
「受験も近付いてるなぁ」
いつもの駄菓子屋に向かいながら、耀平と師郎はそう話す。
「そういえば、黎と師郎は受験大丈夫なの?」
ふとわたし達の前を歩くネロが、後ろを振り向きつつ尋ねた。
それに対し師郎はまー大丈夫だよと笑う。
「黎は頭いいし、俺はなんとかなる」
「師郎の方が心配だな」
師郎の言葉に対し耀平がそう言うと、わたし達は思わず明るく笑った。
…と、ここで耀平が駄菓子屋を前に足を止める。
田舎の人間と都会の人間の違いはなにか?
この疑問はもう多様性の時代の世の中では古いかもしれないが
思うことはある。
よく母と話すから。
私は父は都会の人間で母が田舎の人間で生まれて来た僕だが、
田舎の人間の遺伝子が濃いのかもしれない。
なぜなら母はドがつくほどの田舎で育ったから。
その影響で
ど田舎のばあちゃんちで遊んだり、泊まったりしていたからか
よく自然に触れていたからだと思う。
私は父が都会の人間なので地元の都会といえるところに住んでいるため
都会と田舎の違いがわかる気がする。
特に学校で。
都会は忙(セワ)しくセカセカした感じで育っているようで
田舎はのびのーびと見守られながら育っているように感じる。
(私の偏見すぎるかもしれないけど)
だけど学校生活を送ってきて感じることが多い気がする。
田舎と都会の人間の違いが。
それも私の中学校の学年生徒と合わない原因の1つかもしれないと感じている。
都会も田舎もいいところだよ?
でも違いを感じちゃうんだよなー…
と思う都会っ子の血をもつ田舎っ子。