「ヴァンピレス‼」
何で出てきた⁈とネロが怒号を上げる。
「何でって、わらわは異能力を奪いに参りましたの」
貴方がたの、ね‼と不敵な笑みを浮かべながら、ヴァンピレスはその右手に白い鞭を出してわたし達に向けて振るった。
ネロは咄嗟に目を赤紫色に光らせて右手に黒い鎌を出し、それでヴァンピレスの鞭…具象体を受け止める。
「ネクロ‼」
耀平が思わず声を上げるが、ネクロマンサーは皆逃げろ!と叫ぶ。
「コイツはボクが、ここで食い止める‼」
ネクロマンサーは具象体の黒い鎌を振るって白い鞭を弾いた。
弾かれた白い鞭はヴァンピレスの元へ縮むように戻っていき、持ち主のヴァンピレスは不機嫌そうに顔をしかめる。
「あら、抵抗すると言うのね?」
その言葉にネクロマンサーは、当ったり前だぁ‼と言い返した。
「ボクらの大切な一部を、奪われてたまるかぁ!」
ネクロマンサーはそう声を上げると、ヴァンピレスに向かって駆け出す。
「…よし、今の内に逃げるぞ!」
ネクロマンサーがヴァンピレスを食い止めている姿を見てから、耀平はわたし達4人に声をかけた。
わたし、黎、師郎は静かに頷く。
しかし霞さんは状況が飲み込めていないのか、あ、うん…とぎこちなく返した。
そんな霞さんを見た耀平は、行こう!と彼の手を取って走り出し、わたし達もそのあとに続いた。
そういう訳で、わたし達は皆で霞さんを駅まで送っていく事にした。
寿々谷公園から寿々谷駅までは少し離れているので、わたし達はその道中ずっと話しながら歩いていく。
そんな中でも、黎は何かを気にしているようなそぶりを見せていた。
「へー、耀平くん、中学校では軟式テニス部に入ってるんだ~」
「まー適当にやってるだけだよ」
霞さんと耀平が楽しそうに話し、ネロと師郎はその様子を暖かく見守っている。
しかし黎は何かを気にしているようで、わたしの意識はそちらに向いていた。
一体何を気にしているのだろうとわたしが気にする中、黎が急に足を止める。
「黎?」
わたしがつい立ち止まって尋ねると、黎は後ろを向いてあれ…と呟いた。
「あれ?」
一体な…とわたしが言いかけた時、不意にうふふふふふと高笑いがわたし達の後方から響く。
わたし達がそちらを見ると、そこには白いミニワンピースにツインテール、そして赤黒く輝く瞳を持った少女が立っていた。