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墓想造物茶会 Act 24

「…それなら、探しに行きましょうか」
“黒い蝶”を、と言ってピスケスはソファーから立ち上がる。
キヲンとかすみは顔を見合わせて、嬉しそうな顔をした。
「でも、そのためには歳乃に手伝ってもらわないとね」
ピスケスはそう言って部屋の奥の椅子に座る歳乃に目を向ける。
歳乃は眺めていた書類を机の上に置いて1つため息をついた。
「ナハツェーラーはそう簡単に見つからないと思うよ」
ただし、と歳乃は続ける。
「“学会”の結界システムを使えば話は別だけど」
歳乃がそう言うと、キヲンはやったね!とかすみに笑いかけ、かすみはうんと頷いた。
ピスケスはそれを聞いて、じゃあ行きましょうかと言って部屋の扉の方へ向かおうとするが、相変わらずソファーに座って不満げな顔をしている露夏に対し行くわよ、と声をかける。
露夏は少しの沈黙ののち、へいへいと返して立ち上がった。

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「好きな道」

朝、学校に行く時、いつもとは違う道を通ってみた。人通りが少なくて落ち着く。その道は空がよくきれいに見える。青空を見上げて、深呼吸をする。今日が始まる匂いがして、なんでもできそうな、そんな気持ちになる。この瞬間が、私は大好きだ。

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臆病で、しかも卑屈で陰険で。

あなたに会う理由をいつも探してる
あなたと話す口実をいつも探してる

何も気にしなくていいはずなのに
私ばっかり意識して
電話とかLINEしようって思うけど
指が動かない

声聞きたいよ

なのに怖くて
嫌われるのとか
引かれるのとか
バレちゃうのとか
怖くて

動けない

分かんないよね
きっと分かんない

みんなにも
あなたにも

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墓想造物茶会 Act 23

「アイツはそういう肝心なことを言わないし…」
「ピスケスは知らないの?」
「一応知っているけど…こういうのはアイツに直に聞いた方がいいかもね」
ピスケスはポツリと呟く。
その言葉にキヲンは目を輝かせた。
「じゃあ、ナツィのこと探してくれるの⁈」
「まだ言ってないわよ」
ピスケスは少し微笑む。
「確かにアイツの発言は、あなたたちにとって引っかかるものがあるでしょうね」
そこの露夏も引っかかってるみたいだし、とピスケスは隣の露夏に目を向ける。
露夏はちらとピスケスに目を向けて、また目を逸らした。

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ファースト・テンプレート

夏は早く長く、アブラゼミはしぶとく生きている。おそらく蝉の寿命が一週間だなんて嘘だと思う。猛暑、猛暑、猛暑…。三寒四温からの真冬日からの春後半、初夏の気温は当たり前だ。まるで今が夏みたいな言いぶりだが間違えない春だ。今言ったのは忘れてほしい、去年の話だ。

変な気温は、頭でわかっていても体は追いつかないみたいだ。
「あれ、沢本は?」
「風引いたって、なんかあれだよ、寒暖差アレルギーか。」
ふーん。
現代人は働き過ぎだ。
「あ、じゃぁ銀座の方まで行ってきます。」
おぅ、と一言言われ、資料だけ取ってすぐさま私は駐車場に戻った。初任給と貯めてきたバイト代で5年前に買ったSUV。ラジオは今日の渋滞情報を流す。
午前8:25分

ー海老名IC付近を先頭に上りに10kmの渋滞………ー
今日は三連休の月曜日。皆は帰宅ラッシュとやら私とは無縁の物にまんまとはまっている。

「まじか…」
一部が高速から時間短縮のために一般道に流れたらしい、少し混んでいる。
……………
完全に止まってしまった。私は今日の契約先と、会社に事態を知らせ1時間ほどの遅れを許してくれた。なんと心の広い。
周りをチラチラしていると車窓の向こうの車窓の向こうから手を振る人がいた
「あ、!さか…」気づいて窓を開ける
「酒井さんじゃないですか!」
『久しぶりだね』
学生時代のバイト先の店長である。
「混んでますねぇ。」一拍置いて酒井は懐から一本のタバコを取り出す『まぁ仕方ないよ。』足を組んで答えた。「酒井店長、タバコ変えたんですね。」ようやくこっちを見た。『あぁまぁ、あんまりうまくないけど、ニコチンとか少ないヤツにしてね、まぁいつかは、タバコを辞めたいな。こんな調子じゃ無理そうだけどな笑。』私は愛想笑いをする。
車が流れ出し、私は会釈をして窓を閉じようとした。
『あ!中木!』
「なんですか?。」すっと酒井は私を指さした。『今を生きろよ、じゃ元気にやれよ。』
「酒井さんこそお元気で。」
こんどこそ窓を閉め、アクセルを踏んだ。

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鰓呼吸

大したものである。
夢を捨ててもなお現実に生きることはしない。反面教師というものだろうか。しかし、それは何も知らないからこそ出た単語であり、私たちにはそれを言う権利すらないのである。
犬が猫の子に文句を言おうと、猫の子には猫の子の理屈があるのは当たり前であり、言わずとも皆わかる。
現実、人間は戦争だの何だの同族嫌悪しているクセに、その応用が効かない生物だ。

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夜の心

「報われてほしい」って 何回思ったかな
言ってみるだけじゃ 意味はないんだよ
やってみなけりゃ 時は動かない
そんな事を考えながら 思いにふける夜

「ねぇ、また今日も独りなの?」そんな事しっていたよ 夜の祈り
また 忘れないんだろうな 覚えて いって ほしんだ

「報われてほしい」って 何回思ったかな
やってみることに 意味があるんだよ
その決意こそが 今日を動かせる
そんなことを歌いながら 進んでいける夜