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墓想造物茶会 Act 32

ナツィをかすみたちが見つけてから暫く。
ナツィ、かすみ、キヲン、露夏、ピスケスの5人は、ナツィと露夏がケンカをしていた公園のすぐ傍にある、鉄道の車両基地の上を通っている歩道橋の上にいた。
歩道橋の下にはさまざまな形式の鉄道車両が停まっており、キヲンと露夏は近くのコンビニで買ったアイスバーを片手に、歓声を上げながらそれらを眺めている。
その傍で、ナツィはぬいぐるみを抱えたままかすみとピスケスに挟まれて、歩道橋の柵を背に座り込んでいた。
「“学会”の結界監視システムを使って俺を探し出すとか、ズルすぎだろ…」
ナツィはうなだれつつ呟く。
ピスケスは仕方ないわよと笑った。
「かすみときーちゃんがお前を探したいって熱心にいうから、私も折れちゃったのよ」
「なんだそりゃ」
ピスケスの言葉にナツィは引き気味で答える。
「そもそもお前は俺の監視役とはいえ“事情”を知っているから見逃してくれると思ったのに…」
ナツィはがっくりとまたうなだれた。
ピスケスはそれを見てうふふと笑うが、かすみは不思議そうに、ねぇとナツィに話しかけた。

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でも

自分から連絡取るの
もうやめようって思うのに
忙しいとこ申し訳ないし
自立しなきゃだし
心配かけたくないし
めんどくさくなっちゃうのもやだし
子供っぽいって思われたくないし

でも寂しいもん
声聞きたいし
大好きなんだもん

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Broken

この世は常にバグってる
この世の定義は変わりすぎている
隠れたものは明日には消えてる
忘れ去ろうとする人が憎いの

所詮 同じ日々さ
そんな中でも人は
何かをおかしくして生きてる

「飽き」ってもんを
捨て去ろうとしてさ

また人はすれ違って
画面が狂う
鮮やかになるはずの愛も
違いが産まれはじめてる
スクリーンに映る景色は
どれもこれもが古くなってる
小さいはずのものは
膨らんでいき
見えないものに
潜んでる

この世は常にバグってる
この世の定義は狂ってる
大事なものは明日には変わってる
思い出せない人が憎いの

所詮 同じ場所さ
そんな中で人は
何かを変えようとして生きてる

「冷め」ってもんを
忘れようとしてさ

また人は擦れ合って
画面が壊れる
鮮やかになるはずの日々も
全て逆に映し出してる
スクリーンに映るものは
どれもこれもが分からなくなってる
気付けないはずのものは
吸い込んでいき
いつか全てを
知ってしまう

本物が映らなくなってしまったの
それは致命的すぎるの
変わり果てたこの世は
これ以上何が変わるというの?
嘘で覆われてしまっても
それには真が隠れてる
ただ一つのものを探すにも
これ以上何をすればいいの?

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終末

地底洞窟にて

ある石版が見つかった

それは人々にこれから起こる出来事を記した記録

いいや、大昔の出来事がこれから繰り返し起きるであろう記録だ

記録には大昔の出来事が繰り返されるのなら世界には終末が訪れると書かれてある

周りを見て欲しい

争いは絶えず続いている

この、何処に安住の地があるのだろうか

世界は再び滅びの道を辿るか

または、違う道を

世界がひとつとなり戦争が無くなり

再生の道を切り拓くかは

あなた次第だ

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心に傷を負ったことのある人は優しい

あなたの悲しみをいつも心に感じている

どことなく、私と似ている あなた

あなたは一切、悲しみを見せない

時折、懐かしく感じる



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ファースト・テンプレート 3

『おぉ済まんな中木』
「いいぇ、なにかあったんですか?」
迂回路はかなり正解だった、30分ほどで会社に戻れた。あとでこのSUVを洗車にでも連れてってやろうと思った。
会社に着くなり、私は会議室に来るよう言われ、数時間前のデジャヴのような感じがした。
本来私がいるべき場所ではない。私の地位は社内では上の方とは言え、次長。この社内で会社の重要なことを決める『本会議場』にいるはずがないのだ。
パンっ!
副社長の来栖が一つ手を叩く。
『今回、社長、専務、営業管理部長の三名をのぞいたみなさんに集まっていただきました。結論から言いますと、先の三名は来週書類送検される予定です。』
あまりに急すぎる、会議室がざわめき出した。
『緊急で先ほどここのメンバーでのグループLINEを作りました、そこに音声ファイルが共有されているはずです。』慌てて他の役員がスマホを取り出す。取り乱しているのだろう、普通は会議が終わった後に確認するはずだ。
ん?
なんだろうか、来栖が私に視線を送った。冷静だと思っていた自分が冷や汗をかいていたことには、そこで初めて気がついた。
走馬灯のようにめぐる思考。払い切れていないローンに、会社の規模からに起こる明らかなイメージ低下、それによる減給。転職か?それしかないだろ。どこに転職か?妻にはなんと言えば良い?
とりあえず、この会議、嫌な予感がする。私の転職を許さない何か、また、これからの現実を押し付けられら何か。