「どうしてそんな事になったんだ⁇」
「えっ、いや、ヴァンピレスのお兄さんって人が、あの子を止めようって提案してきて…」
「あーなるほど…」
ミツルはわたしの説明に納得しているのかしていないのか、自らの顎に手を当てる。
「…それで、ヴァンピレスを倒すって、具体的にどうするんだ?」
ミツルがわたしに向き直ってそう聞いたので、わたしはあー、と呟いた。
「ネクロマンサーがヴァンピレスを追い詰めて、最終的にヴァンピレスのお兄さんが異能力でヴァンピレスの異能力を取り上げるって…」
「結構派手にやるな」
ミツルは少し驚いたように続ける。
「で、ネロ達はそれに乗り気なのか?」
「え、まぁ、うん…」
「本当に⁇」
わたしのあやふやな返事に、ミツルは神妙な顔で聞き返した。
わたしは思わず言葉に詰まってしまう。
「…違うのか?」
「どう、なんだろう」
ミツルの問いにわたしはつい首を傾げてしまう。
どうって…とミツルは呆れたように苦笑した。
ファナが叫んだときには、口論に気を取られている間に体勢を立て直したディソーダーの熱線攻撃が、アッドの右腕に直撃した。勢いで後方に吹き飛んで、地面に身体中を打ち付ける。そのたびに、肺の空気が圧し出される音が口から洩れた。かろうじて地面にトバルカインを突き立てて勢いを相殺する。
しかしアッドの右腕はもうダメそうだ。当に皮一枚で繋がっている状態。右腕は力なくぶら下がっているだけである。熱線によって切断された部分はすぐに溶けて固まって、血は出なかった。代わりに治癒は遅くなる。
「ああああクッソいってえなあぁ」
アッドは痛みというよりもいらつきで低く唸った。役に立たなくなった邪魔な腕は無理やり引きちぎって、いらつきを発散するように投げ捨てた。
「ちょっとアディくんっ、大丈夫なのっ」
「心配してる暇ねえだろーが!」
「そんな言い方ないじゃない!」
「無駄口叩くなよ、またぶん殴られてえのかっ」
「それはっ」ファナがひるんだので、彼女の様子を無視して指示する。
「ファナは目玉狙え、俺はこっちで動き止める」
アッドはそのままディソーダーの脚元に滑り込んでいった。上半身を狙うと熱線攻撃が危ないが、それも砲塔のような機関が1つあるだけなので、8本もある脚の攻撃を捌きながら無力化するよりは安全なものである。
ファナもそれは分かっていた。
黙って足を伝って上半身に登って、砲塔を振り回すのを避けながら、ナアマを充血した目玉に振り下ろした。
『ンンンギイィアアアアアア!』
ディソーダーが耳をつんざくような悲鳴を上げて頭部を振った。ナアマは目玉に刺さったままで、ファナはそのまま振り回される。飛ばされないようにナアマを強く握るも、華奢な少女はすぐに振り落とされてしまった。
「やっ」短く悲鳴を上げたファナの手からナアマが離れる。ファナは受け身を取りながら、少し遠くで愛機が固い地面にぶつかる音を聞いた。
「やばっ」
私はたくさんの手によって支えられている。
あなたがいるから私は生きていける。
ありがとう。
守ってくれて、ありがとう