プラダを着た悪魔→しまむらを脱いだ天使
痩せ我慢→デブ大暴れ
こどもちゃれんじ→おとなギブアップ
おかあさんといっしょ→お父さんは別居
「それにしても俺がネクロマンサーに化けている事に気付かないなんて、お前さんもまだまだだな!」
「っ‼」
その言葉にヴァンピレスは怒りの表情を露わにする。
「貴方、わらわを馬鹿にするなんて…!」
許さないわ…とヴァンピレスは白い鞭を棒状に変化させて、師郎と黎の方に突きつけようとした。
しかし今度はそこへ、おいお前ぇ‼と聞き馴染みのある少年の声が響く。
わたし達が声の聞こえた方…ヴァンピレスの後方を見ると、赤い上着を着て両目を黄金色に光らせた少年と、黒いダッフルコートを着た高校生くらいの男の人が立っていた。
「コマイヌ! 逢賀さん!」
わたしがそう声を上げるとコマイヌは、ってなんでお前いるの⁈と驚く。
それに対し、ネクロマンサーは説明はあとだ!と言ってヴァンピレスから離れるように飛び退いた。
その一方、ヴァンピレスは逢賀さんの姿を見て、目を丸くする。
「…お兄、さま」
どうして、ここに…とヴァンピレスは震える声で呟いた。
対して逢賀さんは”ヴァンピレス”と静かに口を開く。
お誕生日おめでとうございます。
生まれてきてくれてありがとう(^-^)
私がこんなに頼れるのは貴方だけです
人のために尽くせる貴方を尊敬致します。
ファナは、アッドが腕を振りほどくとよろけて倒れた。
「ちょっと何すっ……!」
反論しようとしてアッドの顔を睨んだが、その瞬間声を失った。彼が冷たい目で見降ろしていた。――静かに眺めているしかなかったのだ。
ファナはその、少しの関心もないような、虚空を見るような目に、反射的に言葉を並べ立てた。
「ごめんなさい! ごめんなさい! 許して、ごめんなさい!」
しかしアッドの『関心』は戻ってこない。彼はかがんで、低くつぶやいた。
「なんでこんなことになってるか分るよな」
ファナが必死に頷く。しかしその一挙手一投足に気が立って仕方がないのだ。質問の形をとってはいるが、今は、何の反応もいらなかった。むしろ、何もしてほしくなかった。
アッドはファナの髪を掴んで顔を近づける。またファナが短く悲鳴を上げる。
「俺、ファナのこと傷つけたくないの。分かる?」
「分かってる、から、ごめ、なさ」
「ぁああクッソ! ちげえんだよ!」
ファナの口から漏れ出た謝罪に、余計に腹が立った。謝らせたい訳じゃない。むしろ自分の方が謝らないといけないのに。自分への怒りが全て外部へのものに変換されていく。
低く唸るように息を吐く。感情的な力をすべて吐き出そうとする。それと同時にファナの髪を掴んでいた手からも力を抜く。
地面に這いつくばって耳を塞ぐ少女を一瞥すると、俯いたその表情に明らかに苦痛とは違う、異物が交ざっていることに気付いた。
「あ、ご、ごめん、なさ、ぁ、や、やくに、やくに、立たなくて、が、あ、……なさぃ」何か決められた呪文のように文字を絞り出す口元が、三日月形に歪んでいる。アッドを見上げる瞳は異質な光を帯び、涙が妖艶なその表情の上を伝う。
アッドはそのあまりに悲惨な表情に、我に返って腕を力なく下した。
「あ……」
アッドの目から殺意が消えると、ファナの顔から笑みが消え、不安そうに口角を下げた。
「あ、あでぃくん……?」
アッドは返事をせずに、逃げるようにカナンに向かって歩き出した。
「アディくん? ねえ、なんで、見捨てないで、ごめんなさい、お願い、いい子にするから! 見捨てないで!」
ファナの悲痛な叫びを聞かないふりをして、アッドはその場を後にした。
東京から1時間と少し、新幹線を使う。
切符の買い方すら忘れていたようで、ぎこちない朝だった。
越後湯沢
「涼しい」
全く感性の貧しい感情である。
一歩、一歩、その音だけが心地よかった。東京より遥かに遅いテンポの走行音。ただ、脳をもみほぐす。
未読のメッセージが溜まる。とっくに電源は切った。
「あ、これ、店内で飲めますか?」
-高千代-
『可能ですよ、少々お待ちください。』
木製の椅子に腰をかける、麹の匂いがほのかにする。
『お待たせしました。』
楽しそうだ、店員が。
酒はまっすぐだ。美味いか、それ以外か。あくまで私の舌の話だ。
アイロニーなんぞ言葉はこの酒造所には何も見当たらない。アルコールの刺激はほのかで、優しかった。ただ、それだけだった。
寂しい。ほんとだろうか。
あ、ここにいた。
柔らかいトーンはアルコールの入った私にはあまりなもの優しかった。