今日は、昨日の雷雨の残り香残っている雨。
ずっとベッドの中で人間関係について音楽を聞きながらかんがえてる。
高校の友達、知り合い、まだネットの世界しか会えてない推し友、中学の知り合い、先輩。なぜかわからないけど相手への関わり方が正しいかどうか嫌われてないだろうか、不快に思ってないだろうか色々
考えたらきりがなさそうでネットの世界へ現実逃避
起きてからずっとスマホいじいじしてる。
すると友達から電話がかかってきた。
『どうしたのよ?』
聞くと電話の向こうの友達は笑ってる
ほんとは行く予定が雨で行けないと思ったけど止んだらしくて行くことにした。
めちゃくちゃしゃべった。めちゃくちゃ笑った。笑いまくった。
私が悩んでたことぶっ飛んだ。
来週学校始まるし、少し不安があるけど頑張ろう。ずっと楽しみにしてる予定もあるし。
やっぱり友達らぶなんだよな。
「お前、どうしてそんなに保護者が“絶対”なんだよ」
別に無視したってよくねぇか?とナツィは膝に頬杖をつく。
「第一お前のきょうだいの露夏は年中その辺ふらふらしてるし」
お前だって自由にやってもよくね?とナツィは呟く。
その言葉に露夏が、ちょっ、ナハツェーラー、と声を上げる。
「うちの夏緒には夏緒なりの理由があるんだぞ?」
お前が文句つける筋合いなんかねーよ、と露夏はナツィを睨む。
ナツィは、はいはいと適当に答える。
「お前ん家は保護者が厳しいんだろ?」
「そ、それは語弊があるし…」
露夏はナツィに対し食い下がるが、ここで不意に夏緒があっ、と声を上げた。
人工精霊たちが夏緒の方を見ると、夏緒は公園の入り口の方に立つ長身のコドモに目を向けていた。
そのコドモは傘をさしながら木陰の方に近づいてくる。
「磨衣(まい)ちゃん」
夏緒がそう言うと、磨衣と呼ばれる赤い長髪で白いつば広帽を被ったコドモは夏緒、と声をかける。
「急に雨が降り出したから、心配してきちゃった」
磨衣がそう言うと、夏緒は、迎えに来てくれたんだ!と飛び跳ねた。
と、ここでキヲンが夏緒に歩み寄りつつ、だぁれこの子?と尋ねる。
すると露夏が、こいつは磨衣と紹介した。
君に出会ってから 毎日ドキドキしてる
君に出会ってから 自分のいいとこに気づいた
君に出会う前より、今のほうがずっといい
つまり、君がいれば人生は楽しくなる
だから、お願い 私とこれから永遠に
いっしょにいてほしいな
数十万や数百万では足りないほど大量の粒子を、樹木組織を削り飛ばせるほどの高速で回転させ続ける。その暴挙は、人間一人のキャパシティには余りある情報量だった。
「ッ……ぐ、ッァ……、……!」
脳の酷使と精神への重圧に苦悶する加奈の鼻から、赤い液体が垂れ落ちる。
(駄目だ、まだ止まるな、まだ残ってんだろ身体がァ……! 今止めたらそこから再生する! 削りきれ、殺しきれ、最期の一片まで!)
呼吸は乱れ、心拍数は張り裂けんばかりに上昇し、目の前に火花が散る。
「づ……ッ……?」
一瞬、意識が途切れる。無数の砂粒が制御を逃れ、重力に引かれて降り注ぐ。
(駄目だ、駄目だ、回れ脳味噌、あたしが殺らなきゃまず後輩が死ぬ! ここが崩れりゃもっと死ぬ! 動かせ、早く、再開し、ろ……)
「もう終わりだ、相棒」
「……ぁぇ?」
恐らく気を失っていたのは数瞬であったのだろうが、気が付くと陸斗が後ろから身体を支えていた。ぼやける視界の中、敵の姿を探すと、数m先で“ハグレイ”に抱き着く“ドッペルゲンガー”の姿があった。分身もまた砂嵐に削り飛ばされ、衣装は破れ全身を血に染めており、片脚も千切れ落ちている。
「あとは“ドッペルゲンガー”が、消し飛ばす!」
分身の体表に発生する無数のブロックノイズが、“ハグレイ”を一口ずつ飲み込み、消失させていく。“ハグレイ”は両腕を再生させて抵抗しようと藻掻くが、その動作の一つ一つが削り飛ばされていく。やがて体幹部は完全に消滅し、残った両腕も投げ上げられた後、振るわれた掌に走るノイズに一片残さず削ぎ消された。
「……おわった?」
「ああ、終わりだ」
「…………そ」
加奈は消え入るように呟くと、陸斗の腕に完全に体重を預けた。
「重い」
「…………」
「……おい? “騒霊”?」
「だっこ」
「幼児退行してんじゃねえか」
「うっさぃ。めんどぃ。あたまきかない。はこんで」
「……車呼ぶから」
「やだ。『ててまるくん』とりいく」
「……俺が行くからお前はさっさと帰れ。コインロッカーの鍵寄越せ」
「ん」
ポーチから取り出した鍵を陸斗に押し付けると、加奈はそのまま意識を手放した。
あの星空に沈もう
あの青空で散ろう
あの草原で交わした約束
私だけは覚えてるよ
あの星空に包まれ
あの青空の下で泣き
あの樹のように私は
美しく散って君につなげる
どんなに挫折を繰り返しても
どんなに高く厚い壁でも
どんなに長い道でも
必ず再生しましょう。 (by先生)
いい言葉だぁ(*´∀`*)
君に出会ってから 毎日 Heartbeatしてる
君に出会ってから 自分の Good placeに気づいた
君に出会う前より、今のほうがずっといい
つまり、君がいれば人生は楽しくなる
だから、please 私とこれから forever
いっしょにいてほしいな
あなたがこの世のすべての憎しみを消してくれてるのですね。
銃を花に変えてくれた人
苦しみを安らぎに変えてくれた人
あなたの計り知れない優しさに
私は心を打たれたのです。
前の私は創造したことが本当になっていた。
言葉の力を喉に、たくさん集めすぎたんだ。
例えばでっかいカップラーメンを想像したとする。それが本当に出てくる。勿論、幽体だけど。
昔は【癖】が抜けなくて大変だった。
デカイ虫を想像したらそれが出て来たりした。
ほんの一瞬、頭に浮かんだ事まで現実になった。
大変だったよ。
今は其れを制御出来る【言葉の力の宝庫】があるから助かってる。寧ろ、この宝庫は無限だからいっぱい言葉の力を貯められるから、私は集めた言葉の力で宇宙を2つ作ったんだ。
あとは夜、寝ているときにみんなを助けてる。
あとは、この言葉は払いの力だから覚えていて欲しい。名前を言ってから【はい】と言う。たったそれだけであらゆる悪を払えるよ。
私が作った言葉の力の内容だ。
勿論言葉の力を持っている人だけ効果があるんだけどね。
“ドッペルゲンガー”の体表に、無数のブロックノイズが発生する。『同一人物』との対面によって発動する副次的効果だ。
(これこれェ、こいつが欲しかったんだよ……この『触れたものを全て消し去るノイズ』が!)
「前衛は任せるぞ、“あたし”!」
“ドッペルゲンガー”が頷き立ち上がる。振り返り相対するは“コードネーム・ハグレイ”。躊躇なく駆け出した人型が土の地面に触れたと同時、“ハグレイ”は『大顎』でそれを捕食した。しかし次の瞬間、大顎は内側からノイズに削り飛ばされて崩壊し、中から無傷の“ドッペルゲンガー”が現れる。その後も木の枝や蔦草の迎撃が差し向けられるが、その全てがノイズに呑まれて削ぎ消える。
彼女の全身に走るノイズは、決して『常に全体を覆っている』わけでは無い。しかし、全体に不規則に発生しては消えるノイズを回避して直接攻撃を命中させることはほぼ困難であり、結果として彼女に向けられた攻撃の悉くが防がれるのである。
遂に“ドッペルゲンガー”は“ハグレイ”の眼前にまで接近した。“ハグレイ”は徒手格闘による抵抗を試みたが、その手足も消し飛ばされ、対応を回避に限定される。
(っし、捉えた……!)
「仕上げだコラァッ!」
“ハグレイ”の足元から砂塵が巻き上がり、“ドッペルゲンガー”諸共包囲する『結界』となる。範囲内では無数の砂粒が高速で循環し、領域内の物体全てを鑢にかけるように削り取っていく。
(0.1秒かからず再生するってんなら、それより早く間断なく! 塵も残さず削ぎ続ければ良い! あたしはこの『砂粒全て』を、ヤツが死ぬまで回し続ける!)
当然ながら“ドッペルゲンガー”も砂嵐に巻き込まれているのだが、ノイズが盾となり“ハグレイ”の受ける損壊よりも被害を軽微に留めている。更に彼女の放つ格闘攻撃が“ハグレイ”の肉体をノイズによって並行して破壊することで、敵の肉体は急速に崩壊していった。
「……へい後輩くん、本当に良いの? 昔馴染みなんでしょ? 割り切れないものとか無いの?」
「えぇ、まぁ……結局小さい頃から俺を狙ってたってのが分かったんで。それなら『敵』なわけで、別に気に掛けること無いなぁ……と」
「ドライだなぁ……まあ、そんなら私ら先輩組が全力で支えたるから、頑張って“八尺様”倒そうぜぃ」
「はい、よろしくお願いします」
方針決定後に吉継と交わした会話を思い返しながら、潮は深夜の山中を歩いていた。彼女の足元では小さな松明を掲げた30㎝程度の“コロポックル”が先導しており、その周囲にも大小様々なサイズの個体が護衛のように控えている。
「お仕事の一環とはいえ、器物損壊は罪悪感あるよなぁ……しかも道祖神。罰当たりだよねぇ?」
コロポックルたちに問いかけるが、彼らは首を傾げて歩き続けるだけだ。
三人の作戦は、次のようなものだった。
まず、王蕗を中心としたコロポックル部隊と潮を中心とした別働コロポックル部隊が、道祖神のうち『2か所』を破壊することで、結界に穴を開ける。その穴から侵入した“八尺様”は幼少からの『標的』である吉継が囮となって引き付け、二人と合流の後、討伐に取り掛かる。
「ねぇ“コロポックル”くんたち、移動の仕込みは済ませてあるんだっけ?」
隣を歩いていた160㎝程度の“コロポックル”が頷く。王蕗の略霊能力が産み出すフキの傘の下から現れた個体だ。
「へぇ、器用だねぇ……」
先導する“コロポックル”が立ち止まると、苔むした崩れかけの古い道祖神が松明に照らされた。
「おぅ……それじゃ、時間が来たら叩き割れば良いんだよね」
対怪異汎用近接武装“霊凛”を竹刀袋から取り出し、スマートフォンで時間を確認する。破壊タイミングは、0時ジャスト。
「残り1分…………30……」
残りが20秒を切ったところで、竹刀を振り上げた態勢で停止する。
「…………ぜろっ!」
【ダイダラボッチ】異聞能力による怪力と“霊凛”の機能である刀身強化が重なり、石塊を粉砕した。
「よしっ、こっちは破壊完了! 移動だよ!」
“コロポックル”達は力強く頷くと、木々の間に隠していたトレビュシェットのような装置の下に潮を導いた。
「ははっ、なるほど人間投石器! 良いよ、思いっきりお願い!」
潮が飛び乗ると、根元に待機していた個体が留め縄を叩き切った。
毎日こいつの あとをつけても
かなり意味がない
ぼくだってわかってるけど
あきらめきれず 今日も寝床まで
ついてきてしまった
毎日ぼくを つけ狙うように
ジロリ見てるのは
ぼくだってわかってるけど
ふりはらえず 今日も寝床まで
ついてこられてしまった
2人で眠ろう 朝が来るまで
2人で眠ろう 朝が来たら
意味がないってわかってるけど
出ていかないってわかってるから
揉めごとばっかりだ
最愛の人を守る為に
僕はどんな汚名でも背負うよ
と言える人に憧れる
私には汚名を背負う覚悟はあるか?
汚名を背負えば人から後ろ指さされる。
散々なんだ
もう
だから
私は憧れる
僕はどんな汚名を背負うよと言える人を
「きーちゃんは元々、高度な人工精霊として作られていないのだから」
オーパーツめいた存在であるお前とは違うのよ、とピスケスがナツィに目を向けると、嫌味かとナツィは口を尖らせた。
「…にしても、なかなか止まないなぁ」
木陰の外へ手を出して雨の様子を見る、赤髪にキャップ帽を被ったコドモ…露夏はここでそう呟く。
「てっきりにわか雨だと思ったんだけど」
なぁ夏緒?と露夏が隣にしゃがみこむ小柄でパーカーのフードを被ったコドモに尋ねると、そのコドモ…夏緒はそうだねと頷いた。
「テレビの天気予報では雨は降らないって言ってたんだけど…」
外れちゃった、と夏緒は残念そうにこぼす。
「…夏緒ちゃん、今日は久々に外で遊んでいいよって言われてたんだっけ」
ふと、露夏や夏緒の後ろに立つジャンパースカート姿のコドモ…かすみがそう言うと、夏緒はうんと言って振り向く。
「“お父さん”がね、この日は遊んでもいいよって言ってくれたから出てきたんだけど…」
雨が降っちゃうなんて、と夏緒は俯く。
一同はつい沈黙するが、不意になぁ、とナツィが口を開いた。
私は誰かに救ってもらいたかったんだと
気付いた
結局自分を救えるのは自分だと思ってたけど
私は他でもないあなたに救ってもらってたんだ
時には深い理が存在する。
主に一般に知られている【時の遡り】がある。
時を巻き戻して過去を変えるといったことが可能だ。
だが【時を越える】ことは禁忌とされている。
誰もが先の未来を見たいと思うはず。
だが、これは御法度なのだ。
言葉の力の使い手たちもこの行為は固く禁じられている。
しかし、稀に先を見通す力を持った人も存在するらしく、そういう力はタブーとはされていないらしい。
しとしとと雨が降る午後。
住宅街の片隅にある小さな公園の木の下で、どこか異質なコドモたちが雨宿りをしている。
先ほどまでは空は曇っているくらいだったのに、急に雨が降り出してコドモたちが公園で遊べる状況ではなくなったのだ。
しかも誰も傘を持ってきていなかったので、公園の片隅にある大きな木の下で雨宿りをすることになったのである。
「ねー、この雨いつ止むかな〜?」
雨宿りをするコドモたちのひとり…短い金髪に白いカチューシャをつけたコドモ、キヲンが、後方で木の根本に座り込むゴスファッションの黒髪のコドモに尋ねる。
黒髪のコドモ…ナツィは、知るかよとそっぽを向いた。
「魔術をもってしても自然の摂理に干渉することは基本できないんだし」
「えっそうなの?」
そう言って首を傾げるキヲンに対し、ナツィはそうだよと冷たい目を向ける。
「お前、人工精霊の癖に知らないのか」
「えー知らな〜い」
キヲンはそう言って笑うと、仕方ないわよとナツィの傍に佇む青い長髪のコドモ…ピスケスが付け足す。
なれない なれない
私は、あの大好きな人のようには絶対なれない
なのに、なぜ、なれる気がする
私は本当に愚かだ 自分が絶対なれないものになれると思っている
そんな愚かな私が
いつかなにかになれるといいな
あなたは
すべての希望を生み出すのだろう
私はその希望に満ちた世界を目に焼き付けよう
あなたは
すべての光を生み出すのだろう
私はその光に照らされた世界を永遠と語り継いでいこう
「おい後輩……コンクリからは絶対出るなよ。さっきは油断したが、もう破らせねえから」
加奈は血の滴る左腕を押さえながら、絞り出すように静かに言う。
“ハグレイ”は既にコンクリートに覆われた橋の下から出て、土壌が露出した地点に立って二人を睨んでいる。
「おい、その傷処置した方が良いだろ」
「お前『腐敗傷』なんてものの手当の仕方知ってんの?」
「知らねえけど、出血止まらない抉れ方してんだろ」
「圧迫止血はしてるわバーカ。どうせ離脱のしようも無いんだし、さっさとあいつ倒して帰んぞ。取り敢えず『殺し方』は思い付いた」
話している間にも、全方位から生えだした草木が二人を襲うが、加奈は【ポルターガイスト】で川の水や周囲の土、コンクリートの破片などで迎撃し続ける。
(どうやら、あの“大顎”は直接足元に出さなきゃならないっぽいな……でなきゃこのラッシュに混ざってるはずだ。けど……流石にこの怪我抱えた状態で、コンクリ割られないようにするのと攻撃全部迎撃し続けんのはキツいな……)
加奈はその場に膝をつき、思考と精神のリソースを可能な限り能力行使に回す。
「おい、『殺し方』って何だよ」
「ま、面子が足りないから今は使えないんだけど」
「はぁ!? じゃあどの道無理じゃねえか!」
「るっさいわねェ……『全方向から削がれ続けても問題ない前衛』なんてものがいなけりゃどうしようも無ェってのよ。あたしの【ポルターガイスト】は『全手動』なんだから」
「……!」
(あんたの能力は聞いてる、“二重身”……あんたの【ドッペルゲンガー】なら、このクソみたいな作戦が成立する!)
陸斗が加奈の背中に手を置いた。
「勝手に触んな変態」
「能力のために必要なんだよボケ。分かってんだろ」
「……ったくしょーがねェなァ~~~! やんぞコラ」
「おう」
【ドッペルゲンガー】異聞能力が発動した。陸斗の背後に現れたのは、加奈と同じ姿の実体が1つ。無言・無表情のソレは加奈の目の前にしゃがみ込み目を合わせた。
「よォ、“あたし”……一緒にあの先輩、弔ってやろうぜ?」
牙を剥くように笑う加奈に、“ドッペルゲンガー”は無表情のまま小さく頷いた。
「ただい……君たち何してるの?」
16時半頃。冷房の効いた吉継の部屋で毛布を被っている二人を見下ろして、王蕗が尋ねる。
「あっ菅原先輩」
あっさりと毛布を捨てて立ち上がった吉継に対して、潮は包まった姿のまま王蕗の足元にすり寄る。
「先輩ぃ~、やっと帰ってきたぁ~」
「菅原先輩、“八尺様”に遭遇しました。あと、昨夜窓辺にやって来たのも“八尺様”です」
「……なるほど。詳しく聞こうか」
3人はテーブルに各々が道祖神の位置を記録したマップを広げ、情報共有をすることにした。
「にしても王蕗先輩のマップ、マークの数多くありません? というかこの村道祖神多すぎません?」
「“コロポックル”達に探させたんだ。君たちの見つけた分も合わせると……こうなるね」
王蕗が描き足したマップには、赤いポイントが100以上、村内はもちろんのこと周囲の山中にまで刻まれていた。
「……多すぎない?」
「多いね。そして、永江くんの証言や遭遇した際の状況、それから僕の推測も合わせると……」
王蕗は定規を手に取ると、赤ペンを走らせてマップ上のポイントを一つ一つ結び始めた。
「……多分、『結界』はこういう形をしている」
「……かなり滅茶苦茶な形してますね? この辺とか異常に細いし……」
吉継の疑問に、王蕗が頷く。
「おそらく、村内に“八尺様”を留めつつも人間が行動圏を避けて生活できるように、建物や道、農地を上手く躱すようにしたんだろうね」
「じゃぁ……『あけて』ってのは……」
「……結界に“穴”を、開けてほしかったんだろうね。『獲物』である君を追うために」
「ぴゃぁ恐ろしい~」
「……秋津さんいつまで毛布被ってるの?」
「……いやほら、めっちゃ強いらしいオバケ相手だし、一人くらいはビビり役がいた方が良いかなって」
潮もあっさりと毛布を解き、畳んで膝の上に乗せる。
「あ、秋津先輩それ演技だったんですね……」
「そりゃそうだよ。いくら準擬神格級っても、私は【ダイダラボッチ】だよ?」
「自信家ぁ……」
「ははは、頼もしいことだ。ところで結構分かってきたところで二人に訊きたいことがあるんだけど」
王蕗に視線が集中する。
「この“八尺様”を、倒すか封じるか。どっちにする?」
ここにちゃんといます、と誰かに伝えたい気持ちになった。
あの頃の人々は元気なのでしょうか。
言葉を紡がないとお互いの存在を確認できない世界
大人になるって寂しいことだな、と思っていた自分も
あと少しで二十歳になるみたいです
あの頃の人々ともう一度話せたら。
そう願うことは今まで多々ありましたが
もう交わらないことも縁なのかもしれません。
また誰かに伝えたくなったとき
わたしの言葉をここに残すようにしようと思います
貴方がいたから私がいて
昨日があるから今日があって
この世の全てのモノがあるから
今私はここに居ます。
今日も明日も明後日も
感謝を伝えます
私がいたから貴方がいて
今日があるから明日があって
この世の全てのモノがあるから
今私はここに居ます。
今日も明日もいつまでも
感謝を伝えます
【あとがき】
最近、なぜ私はここに居るんだろうと、よく考えるんです。怖いとか、悲しいとかそういう問題ではなく、ただ単に。そうすると、家族はもちろん、ミセス先生、JAM'S、ネッ友、リア友、仲間、赤の他人、ここにある物体、動物など…挙げたらキリがないほど沢山のモノに支えられて生きている。なら、私はこの世そのものに感謝しなければなのではないか、この世の全てに感謝を伝えなければならないのでは、と。それらを「物」ではなく、「人」でもなく、「モノ」と表し、今回のポエムが出来ました。
長くなりましたが、最後まで見てくださりありがとうございました
このポエムが、この世の全てに届くことを願って。
みんなでじゃれ合った
片手には花火
真夏の通り道
角を曲がればすぐそこに
憩いの場所はあった
懐かしい痛みは
夜空に溶けて消えてしまった
あの日決めたゆめはどこへ消えた
あの日絡めた小指はどこへ消えた
私の本音と願い事は遠くへ行った
貴方の温かい手もどこかへ行った
なれない なれない
I can never be like that person I love so much.
なのに、なぜ、なれる気がする
I am truly foolish.You are convinced that you
can become something that you can never
become.
そんなfoolishな私が
いつかなにかになれるといいな
畑脇に無造作に立てられた道祖神の位置を地図にマークすること10体目。吉継は頭上に影が差していることに気付いた。
『て……けて、あけ、あ、て……あけて……あけ、て』
「あ、“お姉さん”」
長身の王蕗より更に頭一つ分程度背の高い、白いワンピースと帽子に身を包んだ女性が、吉継に覆い被さるように覗き込んでいた。
「『開けて』ってもなぁ……昔っから気になってたけど、何を開ければ良いんだよ……具体的に言ってよ」
『……あけて』
女性が緩慢な動きで手を伸ばしてくる。その時、奇妙な音が吉継の背後から飛んできた。打楽器と管楽器の中間のような『ぼ、ぼ、ぼ』という低い音が、どこか忙しない雰囲気を伴って鳴り、吉継は誘われるように数歩後ずさる。結果として女性の手は空を切り、女性はその場から動かず吉継と足元を交互に見やった。
『あけて、あけて』
「だから何を……」
女性の目の動きに釣られて、吉継も視線を下げる。女性の足元には、先ほどマークしたばかりの風化した道祖神が佇んでいた。
「……いや、でもなぁ……」
奇妙な悪寒を覚えながら、女性を見上げる。彼女の顔は長い髪に覆われている上に陰になっており、容貌や表情は伺えない。
(……そういやイマジナリー・フレンドって影できるのか? いや想像上の産物なら想像で補完はされるのか……?)
女性が再び手を伸ばそうとしたその時だった。
「どぉぉぉぉおおおおりゃああああああっ!」
更に後方から『飛んで』きた潮が、女性の後頭部に跳び蹴りを命中させた。女性の長身が吹き飛び、農道を転げ落ち畑の泥に叩き付けられる。
「えっなっ秋津先輩っ!?」
「入口の方の道祖神メモり終わったから様子見に来たら!」
「いや待っ、なんであれ蹴れたんですか⁉」
「そりゃ蹴るよ後輩が襲われそうになってたんだし!」
「ちが、あれイマジナリー・フレンドじゃなかったんですか⁉」
「私にも見えてたから違うね、あいつが“八尺様”だよ!」
潮は身体を起こそうとする女性――“八尺様”に目もくれず、吉継を抱え上げる。
「とりあえず退散! 逃げるよ後輩くん!」
自身の異聞能力で強化された筋力で踏み切り、トラクターが踏み固めた農道に深い足跡を残しながら、潮はその場を離脱した。