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鉄路の魔女 〈企画要項(追記)〉

どうも、テトモンよ永遠に!です。
昨日から企画「鉄路の魔女」が始まりましたが、要項に書き忘れていたことがあったので追記します。

・参加作品にはタグ「鉄路の魔女」を付けてください(あとでまとめる際に役立つので。もちろんまとめられたくない方は付けなくて結構)。
・参加したいけどどうしても内容が思いつかない方はキャラクター設定だけ作った上で、(一応)開催中の企画「テーマポエムを作ろうの会」のタグ「テーマポエムを作ろうの会」を本企画のタグと一緒に付けて投稿してくだされば誰か(企画者かもしれない)が作品を作ってくれるかもしれません。よかったらどうぞ。

ちなみにこの企画でぼくはこの手の企画開催を最後にしようかなと思ってます。
もうネタがあんまりないし…
なので今まで見る専だった方!
参加するなら今しかないですよ‼︎
未完になっても設定だけしかなくてもいいのでよかったらご参加ください!
よろしくお願い致します!

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鉄路の魔女:夢破れてなんちゃら その②

“鉄路の魔女”は基本的に、子どもにしか感知できない。鈴蘭が腕を失う原因にもなった大災害の頃、少年期にあった人間でも、十数年を超えた現在、社会人になった者も少なくない。ただ不老不死の魔女である鈴蘭には、時間経過による変化が理解しきれず、かつて交流し共に遊んだその人間が自分を無視している理由が理解できなかった。
専用道路の上をぽてぽてと歩き、2駅分ほど歩き続けたところでふと足を止める。
「………………や」
目の前の黒い影に、右手を挙げながら声を掛ける。人間の赤子の頭部程度の大きさだったそれは、鈴蘭の声に反応して全高数mほどにまで膨れ上がった。
「駄目だよ。こんな風に道を塞いじゃ。迷惑になるんだよ」
幻影は首を傾げるように変形し、目の前の魔女に突進を仕掛けた。
鈴蘭は右手だけでそれを受け取める。幻影の質量と速度が生み出すエネルギーは破壊力として機械腕を軋ませ、装甲の随所からは損傷によって火花が飛び散る。
「む…………」
空いた左手を大きく後ろに引き、軽く握った形に固定する。その手の中に、六連装グレネードランチャーが生成される。
「そー……りゃっ」
射撃では無く、銃器そのものの質量を利用し、幻影を殴りつける。
幻影を引き剥がし、煙の上がる右手を開閉する。
「まだ……動くかな。よし」
その手を強く握りしめ、それと同時に機械腕が爆発し、装甲が弾け飛んだ。

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深夜の迷子 宵_3

ゆずの身体が曲線を描いて飛ぶ。…こんな感覚は人生初のバンジージャンプ以来だ。喉が痛むほどの叫び声をあげたのはちょっと前のお化け屋敷以来だ。
「痛っ」
混乱状態のゆずを正気に戻したのは、ゆずの身体をせんちゃんが受け止めたときの痛みだった。
「雑に扱ってすまんな。"あれ"は光が苦手だから、ゆずが月の光を受けてれば追ってこないだろうと思ってつい」
「ついって…」
せんちゃんが見下ろす先には、こちらを見失ったのか『神隠し』が忙しなく動いていた。
「木の上を移動するのは疲れるから、やっぱり普通に逃げた方が良いな」
「それ大丈夫なの?」
「正気、あれ以外にも面倒なのはたくさんいるから…運だな」
「ええ…」
「夜明けまでには山を出よう」
「うん」
ゆずがせんちゃんの手を握ると、向こうも握り返してきた。

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崩壊世界見聞録 2

「う〜ん...」

バスッ、と言う音とともに、藍色のテントが開く。
カナはそれを地面におろし、
それをハンマーとペグで固定する。
相変わらず、周りは異様な程静かで、ペグをハンマーで打つ音のみが響いていた。

何故、年端もいかない少女が、
崩壊したビル群の中で野営をしているのか。

理由は1つ。

数年前、世界は崩壊した。

戦争によって。
争いに発展した訳は至って簡単、資源の不足。
資源の奪い合いが激化した結果、机上に収まらなくなった、ということである。
様々な兵器の登場、民間人への無差別攻撃。
平和条約、その他諸々のルールは
意味を成さなくなった。
食糧難、治安の悪化、戦災孤児の増加。
そんなこんなで紆余曲折あり、呆気なく世界は崩壊した。
こんなに簡単に崩壊するものだとは、誰も思っていなかっただろう。
いつか戦争が終わって、いつかいつも通りの日常がかえってくる。
そう、信じて疑わなかった筈だ。
世界の崩壊。
言ってしまえば、原始時代に戻った様なものである。

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鉄路の魔女 「眠り」 1

「おねぇちゃんはさ、どうしてさいきんへんになっちゃったの?」
「そう?変、かな?」
「うん、なんか、つかれたおとーさんみたいになっちゃってるよ。」
「そうなの?」
「うん!だから、きっと、びーるのんだらなおるね!」
「そっか。」
「うん!じゃあ、おねぇちゃん、またね〜!」

山吹は小さな男の子に軽く手を振って見送り、溜め息を一つ吐いた。
そのまま振り返り、黙って線路へ飛び降りる。
ふわり、とスカートのリボンが揺れる。
山吹の身につけているものは、どれもこれも少し古いものだ。が、不思議と不潔感や古臭さを感じない。
早朝のほぼ無人の駅。
唯一人のいるホームへ目をやる。
白髪混じりの頭の、和服の女性。
今度は、そちらのホームへと歩き始める。

(...どうせ見えていないのだろうな。)

山吹たち「鉄路の魔女」は、子供にしか認識・接触できない。
稀にできる大人も居るそうだが、片田舎のこの駅では会えないだろう。