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無銘造物再誕 Act 4

朝、小鳥たちが囀り始める頃。
マンションの一室で静かに若い女…寧依が朝食のロールパンをかじっている。
パンを食べつつ彼女がスマホの画面を見ると、時刻は7時56分を示している。
そしてその様子を、ツノの生えた金髪のコドモがローテーブルを挟んで眺めていた。
「…」
金髪のコドモの視線が気になって、寧依はロールパンを口に運ぶ手を止める。
「どうしたの」
寧依が尋ねると、金髪のコドモはううんと首を横に振る。
「なんでもないよ」
金髪のコドモの言葉にそうと答えて、寧依はまたロールパンを口に運ぶ。
暫く2人の間に沈黙が流れたが、不意に寧依がねぇと呟いた。
金髪のコドモは?と首を傾げる。
「…あなたのこと、なんて呼んだらいい?」
「ふえ?」
金髪のコドモはどういうこと?と驚いたような顔をする。
寧依はいや、ね、とそっぽを向く。
「シンプルにあなたのことどう呼んだらいいのかなって」
寧依の言葉に金髪のコドモはえー、と返す。
「ボクの“お母さん”なのにそういうのも分かんないの〜?」
どうして〜⁇と金髪のコドモはじたばたする。

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無銘造物再誕 Act 1

夜、人々が寝静まった頃。
とあるマンションの1ヶ所だけ明かりの点いた一室に、若い女が呆然と立っている。
彼女の目の前には、小柄でツノの生えた、ストリートファッションに身を包んだ金髪のコドモが立っていた。
「…」
女は何がなんだか分からない様子で黙り込んでいたが、不意に金髪のコドモが彼女に近付き抱きついた。
「⁈」
女は驚いて思わずコドモを突き飛ばそうとするが、コドモは満面の笑みで彼女の身に頬擦りする。
ちょ、ちょっとと女は抵抗し、バランスを崩してコドモ諸共後ろに倒れ込む。
そこでやっとコドモは擦り寄るのをやめ、女の顔を覗き込んだ。
「“マスター”」
女は目をぱちくりさせる。
「…何」
「“マスター”」
よく分からない言葉に女はポカンとして、コドモは不思議そうに尋ねた。
「キミは、ボクの“マスター”じゃないの⁇」
その言葉に女は少しの間黙っていたが、やがて顔を背けた。
「…別に、わたしはそういうのじゃないし」
女がそう答えると、コドモはそうなの?と首を傾げる。
女はうんと頷いた。