LOST MEMORIES CⅡ
「特殊型のウィッチは、攻撃型のワーウルフとは相性が悪い。」
黙ってしまったチャールズを、横から盗み見る。すると、一見穏やかそうに見えるその顔から、目だけが後からつけたかのように浮いて見える。瞳だけが穏やかじゃない。
「チャールズ、お茶、溢れてるよ。」
完全に心がどこかへ行ってしまっていた。
慌てて、傾けていたティーポットを置き、すみませんと立ち上がった。
タブーだったのは、きっとワーウルフだ。あの瞳は、怒りか憎しみか。悲しみの色もあったかもしれない。聞きたいけれど、あんな顔させてはいけないような気もして。
布巾片手に戻ってきたチャールズに、何もいうことができなかった。
「あとは、ゴーレムとかもウィッチやウィザードとは力の相性が悪いですね。」
淡々と言うチャールズに、先ほどの色は毛ほどもない。
瑛瑠は言葉を探してしまって、沈黙が生まれた。
それを察し、チャールズは拭きながら笑みをこぼした。
「相性悪いなんていっても、私の友人にはゴーレムもレオもいますし、なんなら逆の立場のエアヒューマンだっています。関わる上で、種族に問題なんてありません。」