前をすっと向いて、 くちびるをきゅっと結んだ。 どうやらあなたは、 月をせがんだ私のこと、 まだ覚えていたみたい。 まぶたがおちるそのままに、 眠りにつくのはいつもあなた。 許してしまうのは、いつも私。 結局、 まるかばつかは、私が選んでいるでしょう。 なぜだか穏やかな心地で、 少しだけ浮遊感。 今度は星空を欲しがっても、 あなたは覚えていてくれるのかしら。
嘘、 涙に溶ける。 何度くちづけをしても、 残った苦い味はきえない。 言葉じりだけが、 耳から離れなくて、 それでもそれだけでもと、耳をふさいだ。 不透明な君を、 ただ、見つめていても、ちっともわかりはしないから。 いつまでも月をつかまえようとするなんて、 君も私もきっと、どうかしてる。
飼いならされた、魚みたい、だな。 なんて、水たまりを覗く。 隠した、言葉ばかり、並べたテーブルの上、向かい合った君と私は。 瞳、覗いたって。 嘘を、見抜いたって。 本当の気持ちなんて、引き出せないよ。 もっと、純粋に、ラムネみたい、なら。 なんて、叶わないな。 なんて敵わないのだろうね。 視線、交じったって。 肌が、触れたって。 素直な思いなんて、つかめないよ。
はっと目を開けたとき、 君と目があったので。 金魚が、瓶の中、ゆらゆら揺れ泳ぐさまを、 ただ見ていたいので。 夏なのだと、思いました。 ふとした瞬間に、また君を思うので。 鳴らない風鈴を、手を伸ばして、りんと鳴らしたくなるので。 これは恋ですかと、誰かに問うのです。