焦がれたら 離せないほど、焼きつけて。 天を見ていた君の横顔も 白かった翼も すべて、蜃気楼だった 握り締めた、その手は 透き通るような青
まん丸お月さま あなたの目の中ぐるぐると 渦を描いてる星がいる 魔法の呪文こそこそと耳打ちで教えて 打ち上げられた魚にも めぐみをください 愛を、雫を、 青い夜の中ちかちかと 回る星が言っている 「願ってもいいさ、タダで出来る」 飛び出した希望にも めぐみをください でも待って、タダより高いものはないって言うでしょう? 魔法の呪文は空中で 形を変えて消えていった 溶けるお月さま はちみつ味 あなたの目の中きらきらと 未知の光が踊ってる
お腹が空くから涙が出るんだ 歌いたい歌を歌ってよ 行きたいところへ連れていってよ 立ち止まっても足元を見ずに 眠くなったら目をつぶって 好きな本を思い出そう ひとつふたつ数えたら オムライスのことでも考えよう お腹がいっぱいになったら 幸せだって口に出た あなたが確かに微笑うから 大好きだって口に出た
一息を一息と数えないで 手放せないのは、あなたの声 肩越しの未来 どうやったって掴めない 最後の言葉がフェードアウト ああ、明日も明後日も何にもなかったように過ぎるんだろうな 刺さった棘はなかなか抜けない 気取った顔もどろどろ落ちる ふらつく夜道 悲しいって形だけ 伏せたまぶたに何を思うの とっくに目は覚めていた
想いも溶かして 糸も解いた ベットライトに透かしたカーテン 風に揺れる 背中に羽はあった 見上げるあなたの瞳の中 背中に羽はあったのに 白が霞んで見えなくなった ベランダに立つ ただ、振り返ったとき 肩甲骨がうずめいた 代わりにはならない あなたの体温、ひとつ奪って行く
飛んでいって 遠くで咲いてる どこにだって いけるはずだよ ピアスの穴 気になって あなただって 息してるのに 群青が視界を覆って 途端なくなる体温 明日とか明後日のことは あなただって 知らないくせに その口癖 気になって どこにだって いけるんでしょう 遠くなって いるのは あなただって 知ってるくせに
泣かないでと頰を撫でて 泣かないよと笑った 丸みが指から伝わって 君の目の中は春の蕾 双葉を額に携えて 君は一瞬、 まばたきをした 星屑がぽろぽろこぼれ落ちて 明日だってなんだって ハートマークをくっつけた 頬に花が咲くと 君は笑む 丸みが指から伝わって 心臓はずっと、恋の形
涙が降るとき、 景色は灰色になる 瞼を閉じるとき、 今日にお別れを告げ、 もう会えない 足あとが残る、砂浜で 遠い汽笛が聞こえる 地球一周回ったって、 それでもどうしてこんなにも あなたがいるとき、 景色はきらめく
息がだんだん途切れ 手足がばらばらに千切れ 目蓋がちくちくと刺され 喉がきりきりと焼かれ 私の中がいっぱいに 溺れ 掴めな い 何も ない 涙が体を重く 沈め た
君は夢を見ていた もう、眠くなって 微睡みの中 沈んでいく 身体 重りのようだ 泡になって 人魚の気分になる 目を瞑って 潜った浴槽 深海に沈んでいく 飛べない魚だった 幽体離脱、カーテンが尾を引く 月明かりだけ、もう、 涙のあとは忘れて 君は飛べない 背中に羽はない ただ君が振り返ったとき 肩甲骨が震えていた 気がした