鬼ノ業~本章(伍)
なんとなく歩いている途中、朔が尋ねる。
「どうして僕の居場所が分かった?」
蒼は、なんだ急に、とでも言いたいような顔をする。
「あそこには、今まで誰も来たことがなかったんだ。だのに、蒼だけが来れるだなんて――。」
「朔、家からでていないのか?」
驚く蒼は続ける。
「朔と薊を捜している途中、沢山転がっていたぞ。
首の無い人間が。」
朔は顔をしかめて問う。
「どう云うことだ…?」
「だから、人間は訪れてはいたんだ。だが阻まれた。――今だから繋がった。朔も分かっただろ。」
薊の持ち出した大鎌にこびりついていた血。頭から離れない。薊は、普通なかんかじゃなかった。平静を装ってすらいなかったのだ。
薊は、鬼だった。
「薊っ…!」
呟く蒼の肩を叩く蒼。指差す先には――。
「またか。」
近づき手を合わせる。そして蒼は、遺体が身に付けているものを手に取ってみる。手懸かりもないが、高い確率で犯行に及んだのは薊だろう。もう一度手を合わせ、その場を去ろうとした瞬間だった。