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2

θ

思わず叫んだその声が父親のそれによく似てた
気持ち悪くなってその日は早く寝た
運命で片付けられるようになりたい

不潔 伏し目 小さなささくれに
絡まる糸由来の溜め息
震える手で書き殴るのは
遺書と呼ぶにはあまりに粗末で

譲ってはいけないものを譲ってしまった弱さを
認めて前に進もうとすると足がもつれて
その場に転げる お決まりの展開

人は一人で生きていけないらしい
その言葉の冷たさが
僕に失望して去ったあの人みたい
真面目であればあるほど損をするらしい
その言葉に救われたと思ってしまう甘さは
もはや僕の一部だ

共感されるのが条件の文化の隆盛に舌打ちを
幼馴染みに「君しかいない」と
言える図太さを身につけたい

負けてはいけない戦に負けた事実を
反省して備えようとすると
空回りして同じ結果になって努力を疑われる始末

僕よりも不幸な人間は大勢いるらしい
その言葉の冷たさがまかり通ったらいよいよ
全員不幸だ
人間たるものいずれは死ぬのが必然らしい
その言葉に救われたと思ってないけど それでも
武器にはなり得る

どうにもならないことはどうにもならない
流行りの漫画の主人公みたいな
才能も粘り強さも持ってないから
それでいいよ、もう
完璧を描いて挫折するくらいなら
この手に収まる丁度いい夢を

昔に比べたら今は平和な時代らしい
その言葉に隠れる無知を怒りの下に引き剥がせる
それが青さだ
どんな困難も終われば美談と化すらしい
その言葉が本当ならいいな
後悔だらけの今日をいつか誇れるといいな

2

η

要らない物と言えない 癒えない
時が解決してくれない 紅
友達と思っていたのは 自分だけだったよくある話
道端に捨てられた煙草の吸殻を見て立ち止まる午後
日常が奪われるって一周回ってもう日常だ

好きです付き合ってください一目見たときからあなたのことが頭から離れないんです
どうしようもない 救いようがない
いや、本当に救いようがないのは
そんな衝動さえない自分
強風で倒れた自転車を横目に俯いて歩いた

好きな人とやるべき事を
好きでもない人とやったのは
何にも好きになれないから
誰も好きになれないから

ぞんざいに扱った罰だ
触れる事もできないのはどうして
文字の羅列に 情報の信号に
揺さぶられない心を置いて

子供の無邪気な笑い声と不快指数との相関関係
そういえば家庭科の授業で習った事を全部忘れてた
ブランコからサンダル飛ばす
遠くを目指すにはコツがいる
ここからどこにも行けないのは
きっとそういうことなんだろう

好きな人に宛てる言葉を
嫌いな人に送ったのは
もう誰でもよかったから
でも誰かにいてほしかったから

ぞんざいに生きてきた罰だ
考えた瞬間に嘘になるのはどうして
ありふれたメロディーに いつもの夕陽に
揺さぶられない心を置いて

小さくても構わない 歪でも構わない
不良品でも構わない 粗悪品でも構わない
構わない 構わないって妥協したところで叶わない
流れ星が綺麗だった
この目で見れば綺麗だった

ぞんざいに扱った罰だ
触れる事もできないのはどうして
文字の羅列に 情報の信号に
揺さぶられない心を置いて

4

ζ

最近は朝が寒くて 起きるのも一苦労だ
みんな難なくこなしてるからさ
愚痴をこぼすこともできないし

幼稚園に通ってたとき よく蟻を指で潰してた
天国に行けないとしたら 原因はそれくらいかもね

ギター掻き鳴らす少年への憧憬
好きだったアーティストの盗作疑惑
頭の悪い学生のノリ
空気を読めという空気 頭痛 生理痛
もう充分頑張ったから 自分の中ではそうだから
だから誰か私を褒めてよ

吐き気がして 枕が濡れて
どうでもいい会話をして
普通になりきれない中身を嫌われないように隠して
相槌打って 音楽聴いて
困ったら愛想笑いをして
そこまでしてしがみつく意味をたまに考えて

電車の中で痴漢されたと 同じクラスの子が喋ってた
どことなく嬉しそうだった 男に生まれたら良かった

できることとできないことを説明する度に自己嫌悪
曖昧な境界の拠り所が自分であるという憂鬱
故に生じる身体障害者への歪んだ羨望を
未だに抱いてる私を殴ってよ

勘違いして 恥かいて
自転車に乗ったらふらついて
みんなが好きなものが薄っぺらいものに思えて
水を飲んで 昼寝して
自慢話と悪口を聞いて
何をやっても上手くいかないのを
誰かのせいにしたくなって

やることないからテレビを見た
コンビニのお弁当は美味しかった
こんな時間が幸せと思える私は不幸せだ

ビビりすぎ オドオドしすぎ 自信無さすぎと笑われた
自分を持てと言われても持ち方を知らなかった
会う人全て悪人に見えて外に出れなくなった
そんなのはメンタルが弱いせいだと一蹴された

パン食べて 化粧して
スマホいじって 時間潰して
頑張って我慢しようと
決意した矢先に泣きたくなって
他人の思考を推測できなくて
永遠に一人でいたくて
それでも何とかしないとって
手探りで明日を迎えて

0

ε

死にたくなったら私を思い出してね
それでも駄目なら電話していいから
この前うっかりスマホを落として
画面にヒビ入ったけど一応使えるんだ

あなたが何に苦しんでいるのか
分かってあげられなくて本当にごめんね
住む世界が違うって前に言ってたよね
やっぱり今でもそんな感じなの?

優しくされたくらいで
人を好きになるのは良くないよ
私が無味無臭で味気ない人だって
知らないでここまで来たんでしょう
こんな最低な奴のことを大事に想ってるのは
ちょっと可哀想だな

同じだね、だなんて
烏滸がましくて口に出来ないし
したところで何だか怒りそうだけど
私もそれなりの痛みとか傷とかあるから
だから、何だろう?
何言おうとしたか忘れた

誰にでも明日は来ると思うから、また明日
誰にでも明日は来ると思うから、また明日

死にたくなったからあなたを思い出すね
サラサラの髪の毛 割と羨ましいな
あなたの笑う顔が結構気に入ってる
ごめん、嘘ついた でも笑ってほしいな

優しくされたくらいじゃ
人を好きにならないからさ
簡単に満たされない面倒臭い厄介な
人間になってしまったな
こんなはずじゃなかったのに
どこを間違えたのかな
ちょっと可哀想でしょ?

大人になるときに
大事なものを色々失った気がして
あの時に戻りたいけど
昔の消えない過去とかと向き合うのも嫌だから
だから、今はただこうやっていたいの

誰にでも明日は来ると思うから、また明日
誰にでも明日は来ると思うから、また明日

理不尽だらけ 矛盾だらけ しがらみだらけの
今日を
放り出してどこか遠いところにでも
なんて嘆いて勇気が足りなくて
目に映るもの全てを壊して掻きむしって
すぐに後悔して
それでも生きるあなたが
狂おしいほど愛しい

同じだね、結局はみんな細胞の集まりで
生まれて消えるまでのたったそれだけの間
手でも繋ごうか
恥ずかしいからやっぱやめとこうか
手汗と周りの目を気にしてしまうしさ

誰にでも明日は来ると思うから、また明日
誰にでも明日は来ると思うから、また明日
誰にでも終わりが来る等しさが、神秘的で
誰にでも終わりが来る等しさが、神秘的で

2

γ

誰が悪いか決めたくなった
分かりづらい現実に分かりやすさを求めた
無口で地味な少年が
その捌け口になるのはよくある話だが

「お前はいつも何かに怒っているよな
そんな生き方して辛くないか?」
辛い辛くないの問題じゃないと
答えるのも辛かったから黙った

君は真面目で優しすぎるよ
ここで生きるのには向いてないくらいに
でも私は君のそんなところが好きになったの
って言ってくれてどうもありがとう

人を傷つける資格もない奴が
素知らぬ顔して人を傷つける
そんなのは珍しくも何でもないと
目を逸らし足早に去る
誰かの吐いたニコチンと溜め息を
君は深く大きく吸い込む
こんな社会とそれに汚される
君を守れない僕が嫌いだ

自分を大事にできない人が
他の人を大事にできるわけはないよな
今になってそんなことに
気付くなんてやっぱり僕は莫迦だ

卑屈で最低だったと思う
好きと言ってくれたのに疑ってごめんな
君は今何してるだろうか
幸せになってくれたらいいな

君は真面目で優しすぎるよ
って言われたけどどうしてもそうは思えないんだ
本当に優しい人は
そうやって気を遣わせたりしないんだろうから

目に見えるものばかりに惑わされて
何かを失う様は滑稽なんだろうな
女子高生の甲高い笑い声が耳障りだ うるせえよ
って呟いた後で歩いて
背広の男とぶつかり舌打ちされた
ああ、邪魔者は僕の方だったのか
僕を守れない僕が嫌いだ

もう全部嫌いだ