Tell us terrible Terrors:のろい、まじない、きりはらい その④
タイプライターのキーボードに両手の十指を置き、燿子は一度瞑目して息を吐き出し、再び目を開く。
「それじゃ、始めるんで……」
「うん」
「…………」
「…………」
「何してるんですか先輩。早く手ぇ出してください。10円玉には参加者全員が指を置かなきゃならないんですよ? 今回はタイプライターですけど……ほら、早く私の手に」
「え、お、おう」
清嘉は燿子の背後に回り、彼女の両手に自身のものを重ねた。
「離さないでくださいね? 危ないんで」
「りょ、了解」
「それじゃぁ……『コックリさんコックリさん、今回のターゲットである娘のプロフィールを教えてください』」
数秒の沈黙の後、蝋燭の火が小さく揺れ、燿子の十指がゆっくりと打鍵を始めた。
その運指は少しずつ速度を増していき、流れるように数行の文章を打ち出してから唐突に停止した。
「……出力完了っぽいですね」
「これ何語だ……? n,a,m,a,e……あ、これローマ字だ読みにくっ!」
「しょうがないですよぅ、ブツが英語のやつなんですから」
「うえー……これ素直に10円玉使ってた方が楽だったんじゃ……」
「文字として残ってくれた方がじっくり読めますからねぇ。どれどれ……名前はキヨセ・マナミちゃん。高校1年生の女の子。……ふーん、センパイ、この『よくいる場所』のこの地名ってどこでしょ? 私田舎者なんで、こっちの土地勘とか無いですよ」
「んー、電車で15分くらいかな」
「はぇー。んじゃ、センパイも何か質問してくださいよ」
「え、なんで?」
「当然でしょう。私はもう1回質問しちゃったんですから、次はセンパイの番ですよ。何か適当に質問してください。『コックリさん、コックリさん』って頭につけるんですよ」
「おう、えっと、じゃあ……あー……こ、『コックリさんコックリさん、キヨセさんの能力について教えてください』」
再び燿子の指がキーボード上を動く。
「どれどれ……じゃっく、ざ……」
「じょせ…………『ジャック・ザ・リッパー女性説』……? なんで『切り裂きジャック』じゃなく『女性説』……?」