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Tell us terrible Terrors:のろい、まじない、きりはらい キャラクター紹介②

名前:清瀬愛弥(きよせ・まなみ)
性別:女 年齢:15歳(高校1年生) 身長:163㎝
説明:能力者養成校への転入を固辞したことで“妖記廊”の目から外れている、野良の“語部”の少女。自分の能力の強さから全能感に支配されており、日頃から気に入らない相手は略霊能力を悪用して正面からボコボコにしたり、異聞能力で破壊行為を働いたりしていた。要するに不良。
イマジナリーフレンドである「なぜか顔を思い出せないお姉さん」は今も健在で、よく虚空に視線を投げたり何か独り言をしている姿が目撃されている。

能力:【ジャック・ザ・リッパー女性説】
・略霊:自身の人相を他者に認識させない幻惑効果を纏う。略霊能力使用中の”語部”は、他者から認識されこそすれど、その容貌が印象に残ることは無く、『そこに人がいた』という記憶は残っても『どんな人だったか』はまったく思い出せなくなる。
『切り裂きジャック』の正体不明性を現出したような能力。
・異聞:空間上に直線軌道で不可視の斬撃を走らせる。発動前に自身を起点として斬撃の向かう方向を指定することで、その上を斬撃が通過する。斬撃の移動速度は最大で約300㎞/h。最大射程は約40m。一度に出せる本数に限度は無いが、軌道をイメージするための”語部”側の思考力には限界があるため、基本的には数本ずつ用いる。
また、斬撃は軌道上の物体に接触するまでは『存在しない』ため、実体をぶつける以外の手段では干渉できない。
『切り裂きジャック』の殺傷性を現出したような能力。

備考:『切り裂きジャック』自体は歴史上の実在する未解決事件であって、厳密には『都市伝説』ではない。しかし『切り裂きジャック女性説』という派生説の物語性を借りたことで、『都市伝説の怪異』の領域に上ることが可能となり、能力として昇華されたのである。

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Tell us terrible Terrors:のろい、まじない、きりはらい キャラクター紹介①

名前:足立清嘉(あだち・すみよし)
性別:男 年齢:16歳(高校1年生) 身長:170㎝
説明:東京の能力者養成校の1つに通う少年。能力の覚醒自体は13歳とかなり遅かったが、元となったイマジナリーフレンドとの付き合いはかなり長く、3歳の頃から『自分にしか見えないお人形の“ハナちゃん”』が一番の友達だった。名前の由来は、『お洋服にたくさんついてるヒラヒラ(フリル)がお花みたいだったから』。
能力覚醒後、進学による多忙などもあり長らくハナちゃんのことは存在すら忘れていたが、“メリーさん”と交流することで、小さい頃の一番の友達を思い出し“浄霊”の才能を開花させた。

名前:野火止燿子(のびどめ・ようこ)
性別:女 年齢:13歳(中学2年生) 身長:150㎝
説明:東京の能力者養成校の1つに通う少女。通っているのは清嘉とは別の学校。
能力に目覚めたのは5歳の頃。幼稚園で平仮名を覚えてすぐ、当時既に覚醒しかけていた“コックリさん”の使い方を理解した。イマジナリーフレンド時代の“コックリさん”は、よく分からないひょろ長い獣の姿をしていた。今思えばイタチ系の動物だったかもしれない。
“語部”としての経験値は同年代と比べてもかなり高く、将来有望なルーキーとして“妖記廊”からも注目されている。
よその学校の生徒と協力して依頼に臨むと聞き、最初は「えーなんでー。同じ学校の子どうしでやれば良いじゃん」と思っていたが、別に嫌ってわけではないので素直に推薦に応じた。

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【再掲】Tell us terrible Terrors:設定 能力者の組織

・”妖記廊”
日本の”語部”支援機構。公的文書に名前が挙がることは無いが、政府や皇室にも存在を認可されている公的秘密組織。日本各地への能力者養成校設置、組合運営、国家規模での対怪異防衛戦略などを一手に担う、日本の”語部”のトップ。ちなみに日本の能力者支援の手厚さは世界トップクラス。2位が中国で3位がイギリスらしい。

・能力者養成校
各都道府県に最低1つ以上設置されている私立学校。ほとんどの都道府県には1校設置されており、例外として人口の多い東京と歴史のある京都には3校、面積のある北海道と妖怪伝承が多い岩手には4校、出雲大社のある島根と伊勢神宮のある三重には2校設置されている。日本全国で合計59か所。
いずれも幼稚園から大学までのエスカレーター式。中途編入や進学時に学園外に出ることは可能だし、一応“語部”と無関係の外部生も入学できる。最大の特徴として、文部科学省が定める通常の学習課程に加えて、『怪異学』と『能力制御』のカリキュラムが組み込まれていることがある。通常教育でカモフラージュされているため、一般人からは普通の私立校として見られている。
日本国内で新たに誕生した”語部”は”妖記廊”所属のある”語部”の能力によって即座に存在を把握され、進路を養成校に誘導される。
”語部”を取り逃さないために、入学者及び家族には手厚い支援が為される。

能力設定
【チェンジリング】
略霊:『赤子の誕生』を感知する能力。『赤子』の定義を『特定概念に新規に該当するようになった存在』と再解釈することで、日本国内における新たな”語部”の出現を察知することができるようになった。
備考:”妖記廊”所属のとある”語部”の能力。この力によって国内における能力者の誕生を感知し、即座に保護工作を講じることができる。

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Tell us terrible Terrors:のろい、まじない、きりはらい 補記&テキスト外設定

・実は『召喚系能力』は語部全体で見ても比較的レアな能力です。特殊能力は本来、『怪異の性質を独自に昇華して武器とする』ものなので、怪異そのものの存在性を保ったまま実体として使役する召喚能力は、結構レアなのです。その中でも、清嘉の”メリーさん”はかなり自我が強く、召喚体自身の意思で形態を変えたりもするため、本当に異質な存在です。

・本来、怪異存在とイマジナリー・フレンドは別存在です。何故か清嘉の”メリーさん”はイマジナリー・フレンドとしての自認がかなり強いようですが、原因は不明です。いろいろな要素が噛み合った結果の奇跡の産物としか言いようがない。

・燿子の”コックリさん”も語部の能力としては珍しく、『異聞形態でも殺傷能力がほぼ皆無である』という性質をもっています。剰霊形態でようやくまともな戦闘能力(それですら攻撃力は燿子のフィジカルに依存してかなり低い)を獲得するという、あまりにひ弱な語部が燿子。

・実は一番ベーシックな語部は、3人の中だと愛弥(攻撃能力の無い補助用の略霊・攻撃能力の高い異聞・剰霊/浄霊未到達)。その愛弥ですら、一般的な怪異が元となった語部ではない。全員が全員特殊事例。

・能力の各形態(略霊/異聞/剰霊/浄霊)の併用可否は、各人によって異なります。たとえば清嘉の場合、1体の召喚体が段階ごとに形態変化しているため、同時使用はできません。清嘉のようなパターン以外だと、『略霊能力の使用をトリガーとして異聞能力以上が発動する』ものや『一形態の使用に集中しなければならないほど負担の大きい』といったパターンの能力がこれに当たります。燿子や愛弥は、各形態の効果が競合していないため、同時使用も可能です。

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Tell us terrible Terrors:のろい、まじない、きりはらい その⑱

清瀬愛弥の捕縛成功から数日後。清嘉のスマートフォンにビデオ通話が着信した。
「もしもし?」
『もしもーし、足立センパイ。お疲れ様です燿子ですー』
「野火止さん……あ、腕は繋がったんだ……良かった」
『いやぁ、友人にすごい“語部”がおりまして』
何事も無く繋がっている左手をひらひらと振りながら、燿子はカメラ越しに笑顔を見せた。
『センパイ、お給金は振り込まれましたか?』
「うん……何か、すごい額だった……」
『中高生がいきなり6桁のお金もらったら、金銭感覚壊れちゃいますよね~』
けらけらと笑う燿子に、清嘉も苦笑して頷く。
『そういやマナミちゃんってどうなったんですっけ? そっちの校長に引き渡してからのこと、私知らないんですよねぇ』
「何か、うちに転入することになったらしいよ」
『ふーん。周りに強い能力者がたくさんいる環境で鼻っ柱へし折られちゃえば、マナミちゃんも大人しくなりますかね?』
「だと良いなぁ……」
『あ、センパイセンパイ。私、“メリーさん”にご挨拶したいですー』
「えー……まぁ良いけど……」
略霊形態の召喚体を呼び出すと、“メリーさん”は物珍しそうに画面に顔を寄せた。その様子に、燿子は黄色い声を上げる。
『きゃーメリーさん画面越しでももちもち可愛い~! メリーさんこんにちはぁ』
『こんにちはぁ?』
『ご挨拶出来て良い子ですねぇ……』
「……もう良い?」
『あっはい、ありがとうございました』
“メリーさん”を膝の上に乗せ、清嘉は会話を再開する。
「それで、用事はそれだけ?」
『んー……腕が治ったのは見せたし……』
「あ、やっぱりそれも目的だったんだ……」
『ま、私相当な深手負ってたらしいですからねー。“コックリさん”から解放してもらったの、あれから三日後だったんですよ? あとそれから、マナミちゃんのその後も聞いたし……あっそうだセンパイ。打ち上げしましょう打ち上げ。祝勝会ですよ。私がそっちにお出かけするんで、一緒に遊びましょう』
「えー…………まぁ良いけど……」
『なんで女の子が遊びのお誘いしてるのにそんな微妙な反応してるんですか。まあ了承してくれるならそれで構いません。日程決めちゃいましょう。スケジュールは私が組みますから』
燿子の勢いに押されながらも、清嘉は休日の予定を確認し始めた。

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Tell us terrible Terrors:のろい、まじない、きりはらい その⑰

「ふむ……小僧、成長したのう……その呪い人形もな」
清嘉の背中に負ぶさるように抱き着いた“メリーさん”は、その背丈が160㎝ほどにまで伸びており、体つきも幼い少女のそれから成人女性と同等の頭身にまで成長している。
「うん……って“コックリさん”腕ぇ!? そ、もげ、取れてる!?」
「案ずるな、接ぐ宛てはある」
「そ、そうなんだ……?」
「燿子の自我は沈めておるから、あの娘がこの痛みを感じることも無いぞ」
「あ、やっぱ痛いんすね……」
「そんなことよりもほれ、敵前じゃぞ」
“コックリさん”の言葉に、清嘉は改めて愛弥に向き直る。
「ふーん……何か強くなったっぽいけど……木偶人形如き、私の斬撃の敵じゃないんだよッ!」
愛弥は同時に十数本の斬撃軌道を展開した。一斉に迫り来るそれらを、“メリーさん”は背負われた態勢のまま身を乗り出し、材木質を思わせる両腕を振り回して次々と捌いていく。斬撃がその両腕に触れる度に硬質な衝撃音が響くが、それらの一つとして召喚体表面に傷をつけることは無く、受け流されたり弾かれて周囲の地面や壁を切り刻むに終わってしまう。
「あー……“メリーさん”曰く……」
斬撃の弾幕に冷や汗を流しながらも、清嘉は不敵に笑って言い返す。
「『クソガキの刃物遊び如き、メリーさんの敵じゃない』ってさ」
(煽りでめっちゃ脚色したけど……)
その言葉に、愛弥の殺気が更に燃え上がる。
「ブッ殺す!」
激情のままに無数の斬撃を雪崩の如く撃ち出し続けるが、“メリーさん”の両腕がそれらを全て叩き落とすため、清嘉たちより後方にその破壊が及ぶことは無い。
「あと……“メリーさん”、滅茶苦茶硬いってだけでさ……」
次の瞬間、清嘉と“メリーさん”は5m近く開いていた愛弥との距離を一瞬にして詰め切り、愛弥の顔面を人形の掌で掴むように捉えた。
「パワーも割と、あるんだわ!」
そのまま渾身の力で振り下ろしたことで、愛弥は押し倒され後頭部を地面に衝突させた。
「がッ……っ……」
愛弥の身体から力が抜け、動かなくなる。
「……一瞬、じゃったのぅ。流石じゃな、小僧」
「“メリーさん”がすごいんだよ。それに、野火止さんと“コックリさん”も足止めしてくれてありがとう」
「うむ。燿子には妾から伝えておいてやろう」

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Tell us terrible Terrors:のろい、まじない、きりはらい その⑯

【コックリさん】の異聞能力によって張られた結界の中、燿子は少しずつ押され出していた。
「せやっ!」
獣の速度を乗せた、鋭い前蹴りを躱される。カウンターで放たれた愛弥の拳をどうにか腕を盾に受け止め、反動を利用して距離を取る。
「クカッ……お主、能力頼りかと思うたが、案外と空手もイケるクチじゃのう?」
「はッ、こちとら喧嘩慣れしてんのよ。雑魚がケモ耳生えた程度でイキんなよ?」
(ふむ……腹立たしいが事実。燿子の肉体は決して殴り合いに適した体格ではない。妾が速度と感覚を補ったところで、小さく、短く、軽い肉体は如何ともし難い……が!)
「それがどうしたァ!」
再び弾丸のように飛び出し、跳び蹴りを放つ。しかし――
「馬鹿じゃないの? 素手でカウンター取れるってことは……」
回避しながら愛弥の放った斬撃に身を捩るも、宙に置かれた身では行動能力に限界があった。斬撃を躱しきれずに左腕が飛ぶ。
「能力でも同じことができるってことなのよ」
「……クカカッ。面白くなってきよった」
(この損傷……身を裂かれる激痛如き、妾は慣れ腐っておるが、ただの人の身たる燿子には耐えられんじゃろう。悪いが眠っていてもらう他あるまいて……)
傷口を押さえながら、燿子――否、“コックリさん”は呼吸を整える。現在は彼女の手番であり、少なくとも自ら攻めない限り相手からの攻撃を受けることも無い。
(……それにしても『切り札』が『過去』になるのはいつじゃ! 随分と遅いではないか!)
“コックリさん”は愛弥との殴り合いの最中も、常に思考の隅で『再検索』を繰り返していた。求めていた情報が彼女の収集可能な『過去』となる瞬間を待っていたのである。そして、遂にその時が訪れる。
「ッ…………! ク、ククッ、クカカッ……!」
「……あ? 何がおかしいの? 痛みで気でも触れた?」
「クククッ……案ずるな小童よ。貴様を狩る『鬼札』が、最高速度でこの場へ迫っておる。最早この結界も不要じゃろて」
(小僧……! 出来るとは信じとったが……やはり“浄霊”を身に付けて戻ってきおった!)
結界をかき消すと同時、“コックリさん”の隣に一つの――正確には『一つに見えるほど密着した二つの』影が着地した。
「ごめん“コックリさん”! 遅くなった!」
『私メリーさん……今、所有者(あなた)の後ろにいるの!』

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Tell us terrible Terrors:のろい、まじない、きりはらい その⑮

『ん~……じゃぁ所有者ぁ、昔話して?』
「えっ何突然。さ、猿蟹合戦とか?」
『ん~んっ。メリーさん、所有者ぁのむかしのはなし、ききたいの』
「……俺の昔話? 俺が小さい頃のことを話せと?」
『うん。10ねんくらいまえの、むかしばなし』
「覚えてねえよ……ギリ小学校上がるかどうかの頃合いだろ?」
『……じゃぁもっとまえ?』
「余計覚えてねえよ…………」
『所有者ぁ、ちっちゃいとき、おにんぎょうあそび、したでしょ?』
「え……」
抱かれたまま清嘉を見上げる“メリーさん”を、まじまじと見つめる。彼の召喚体はただ、感情の読めない曖昧な微笑みを浮かべているばかりである。
「…………これは“メリーさん”の話じゃないんだけどさ」
『うん。きかせて?』
「俺、三人兄弟の真ん中っ子なんだよ。兄貴一人、弟が一人いてさ、そういうわけで家で遊ぶにも玩具の取り合いになるわけよ……そんな中、唯一俺以外の誰も持ってかない玩具があったんだ」
『……うん。どんなの?』
「女の子の人形。そう……“メリーさん”みたいに赤いフリルがたくさん付いたドレスを着てて……長い金髪で……」
『うん……うん』
「幼稚園時代は、比喩抜きに毎日それで遊んでたと思う。別に、可動部があるとか光るとか鳴るとか、そういう機能は一個も無かったんだけどさ……お喋りしたり、ごっこ遊びに使ったり……」
『それから?』
「小学校上がってからは勉強とかあってさ。毎日遊ぶって感じではなくなったんだけど……たまに偶然見つけた時には抱っこしたり眺めたりしたっけな」
『うん。そうだね』
「そういや、中学で【メリーさん】の力を使えるようになって、能力者養成校に転入した辺りかな……転校とか、勉強や部活で忙しくなって、あの人形で遊ぶことも無くなったなぁ……なんで今まで忘れてたんだろ。俺、あだ名も付けてたんだぜ?」
『うん……どんなの?』
清嘉は“メリーさん”を抱き上げると、目の高さを合わせて見つめ合った。
「……今思えば、あの人形は俺の頭の中にしか無かったから、俺だけの人形だったんだろうな……。……“メリーさん”、あれは“メリーさん”じゃない。それは承知の上で……」
『うん、メリーさん、またそうよんでほしいの』
「――“ハナちゃん”。ドレスのヒラヒラ……あの沢山のフリルが花みたいだって思ったんだ」

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Tell us terrible Terrors:のろい、まじない、きりはらい その⑭

燿子が愛弥との戦闘を開始したその頃、清嘉は両脚片腕を失った“メリーさん”を抱えて、ビル街を離れて住宅街を走っていた。
(デートっつったって……何しろってんだよ……?)
『うぅ~……私メリーさん……もうダメかも……』
「ごめんって、一回仕切り直そう」
『やだ~』
「なんでぇ?」
清嘉は道中に倉庫を見つけ、裏手に回りブロック塀との隙間に潜り込んだ。その場に腰を下ろして息を整え、膝の上に召喚体を乗せる。その姿は、『略霊』形態の最も小さなものに変化していた。
『私メリーさん……いっぱいがんばったから、所有者ぁからごほうびほしいの』
「ご褒美?」
『ぎゅーってしてほしいの……メリーさん今、片手がないから、その分ぎゅーってつよく……おねがい?』
「はいはい……」
“メリーさん”の姿勢を調整して、抱きしめる。“メリーさん”はくるくると喉を鳴らして、頬擦りをした。
『メリーさん、頭もなでてほしいの……わしゃわしゃー、ってしてほしいの……』
「なんでそんなに甘えんぼさんなの……」
苦言を呈しながらも、言われた通りに頭を撫でる清嘉。
『んゃ~……メリーさん、今よわってるからあまえたさんなの……』
「そっかぁ……」
『あとあとぉ……えらいねーってほめてほしいの』
「あぁうん、よく頑張ってくれたな、“メリーさん”。ありがとう、マジで助かった」
(庇ってもらわなきゃ俺らが真っ二つになってたし)
しかし、“メリーさん”は清嘉の腕の中でいやいやと首を横に振る。
『そっちの名前じゃなくて、所有者ぁのつけてくれた名前でよんで?』
「……俺のつけた名前?」
『私メリーさん……“メリーさん”じゃなくて、所有者ぁが私のためだけにつけてくれた、あっちの名前でよんでほしいの……おねがい?』
「どっちのことだよ……?」
(俺、“メリーさん”のこと『メリーさん』としか読んだこと無いよな……?)
『……むぅ……所有者ぁがにぶちん……』
「えぇ……?」

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Tell us terrible Terrors:のろい、まじない、きりはらい その⑬

(……“野火止さんの身体は”、か……。お主、なかなか悪くない男と組んだものじゃのぅ。のう、燿子や?)
(ちょっと頼りない人ですけどねー)
精神下で燿子の魂と話しながら、彼女の身体を奪った“コックリさん”は愛弥と相対する。愛弥は雰囲気の変わった燿子に怪訝な目を向けた。
「何だお前、そのケモ耳……それがアンタの力?」
「えぇまぁ、そんなところで……あれ」
(コックリさん、身体返してくれたんですか?)
(動物霊は気紛れなのじゃよ。ほれ、敵前でぼさっとするでない)
(はいはいありがとうございます)
「さて……マナミちゃん」
「誰がマナミちゃんだコラ。気安く呼ぶな」
「まぁまぁ。あなたに勝てる人が戻ってくるまで、私に足止めされといてくださいよ。あなたの力じゃ今の私は殺せないので」
「あー?」
愛弥が1本の斬撃を飛ばす。燿子は膝の力を抜き地面にへばりつくようにして、その攻撃を回避した。
(ククッ、素人め。殺意が丸見えじゃ。これでは力を使うまでも無く狙いが見えるぞ)
(コックリさんの知覚能力とスピードが無かったら普通に私食らってたと思いますけど……)
(ええい煩い! 今はそれらが揃っておるのじゃから良いのじゃ! ぐちぐち言う童には仕置きじゃ!)
(あっ)
燿子の目が一瞬据わり、直後怪しげな金色の輝きを湛えて見開かれる。
「クカカッ! では始めようかの……“コックリさん”をなァ!」
燿子の『異聞』能力が発動する。両者を取り巻くように黒煙の渦が現れ、やがてそれは半球状の結界へと変化した。
「……何よこれ。こんなもので閉じ込めたつもり?」
「『つもり』も何も、もう貴様には抜け出せんよ」
燿子は滑るような動きで距離を詰め、愛弥の頬に裏拳を当てながら駆け抜けた。
「ぐッ……クソガキがァッ!」
愛弥の放った斬撃の軌道を、燿子は軽く身を捩るだけで回避する。
「クカカッ、鈍い鈍い!」
「クソッ、ならもう一発……!」
愛弥は再び能力を使おうとした。しかし、斬撃は発生しない。
「は? なんで……」
「決まっておろうが」
再び燿子が詰め寄り、跳び回し蹴りを放ちながら反動でそのまま飛び退いた。
「“コックリさん”は『順繰り回し』じゃぞ?」