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元人間は吸血鬼(仮)になりました #0

目を開けると、真っ暗だった。なにこれ。狭い箱のようなものの中に入っているらしい。そして、寝転んでいる。体を動かすことはできるので、はこを揺らしてみた。すると、
「うるせぇ!」と怒りのようなものを含んだ声が聞こえた。しかしその声は男のように低いものではなく、女の子のような高い声だった。
その声が聞こえてから、私の方に足音が近づいてきた。そして、視界が開けた。
「大丈夫〜?」と聞いた声の主はふにゃふにゃした口調の女の子だった。さっきの声とは違う。
とりあえず、「大丈夫です。」と答えると彼女は
「よかった〜」と言った。だが、彼女の見た目はよくテレビとかで見る、キョンシーに似ている。額にはお札をつけて、中華服を着ている。
私は戸惑いつつも彼女に尋ねた。
「ここはどこですか?」すると、
「知りたい?」と先程、私が怒らせたと思われる女の子が聞いた。私はまたもや戸惑いつつも頷いた。戸惑った理由は彼女が先程のキョンシーの子と同じように、人間とは思えない見た目だったからだ。その姿はまるでゾンビだった。火傷のような傷のある肌、ギラリと光る紅い目、ところどころ破れた服。その服は警官服のようだ。
そして彼女は私の手を引いて歩き出した。この頃の私は、現実味のある夢だなぁ、としか思っていなかった。


【続く】

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No music No life #6 フィクサー

結月視点


涼香からの手紙には、こう書かれていた。
『御影結月様 中村時雨様
元気ですか?きっと、この手紙を二人が読んでいるということは私はもうこの世にはいないのでしょう。

さて、なぜ二人に手紙を書いたか教えましょう。
それは、二人がこの先生きていく中で、約束してほしいことがあるからです。
それは、「強く、優しく生きること」です。』
その手紙はなぜか敬語で書き綴られていた。
そして、僕は、約束の内容を見て、昔のことを思い出した。

それは、僕が時雨ちゃんに拾われてから間もない頃のことだった。その当時、施設に慣れていなかった僕は、時雨ちゃんにいつも付いて行っていた。
そんなある日、時雨ちゃんが「仲のいい子のところにいく。」と行っていたので、僕は付いて行った。

時雨ちゃんの話によると、その子は体が弱く、部屋にこもりっきりなんだそうだ。

しばらく歩き、その子の部屋に着き、ドアを開けると、ピアノで美しい音色を奏でる、女の子がいた。

そして、時雨ちゃんが言った。
「久しぶり、涼香。」
どうやらこの人の名前は、涼香、というらしい。
そして、時雨ちゃんは続けて、
「この子が、前に話した、結月ちゃん。」
と言って、僕を紹介した。
僕は、
「はじめまして、御影結月です。」と言った。
すると、涼香は、僕を抱きしめて、こう言った。
「あなたが、結月ちゃんね!時雨が、最近会いにくる度に楽しそうに結月ちゃんのことを話してたから、会いたかったの!」
まるで、さっきまでお淑やかにピアノを弾いていたとは思えないくらい、明るい人だったので、少し驚いた。

時雨ちゃんが、涼香にこう言った。
「そんなにはしゃいだら、また具合悪くなるよ。
あと、楽しそうに話してないから。」
そう言った時雨ちゃんの顔は赤かった。何照れてんだ、といいたかったが、言わなかった。

そして、急に涼香にこう言われた。
「結月ちゃん、ギターに興味ある?」
僕は黙って頷いた。

すると、涼香は、部屋の奥からギターを持ってきて、「じゃあ、さっそく弾いてみよっか!」と言った。

その時、時雨ちゃんのため息が聞こえたような気がした。

【続く】