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LOST MEMORIES ⅢCⅦⅩⅠ

「そうなるだろうな。
歌名が結構な案件をあげたから、こちらの話に戻ってもいいか?」
軽く同意した英人は起動を戻す。
そして、望の頷きを得たあと瑛瑠を見るので、瑛瑠はゆるく首を振った。英人がこちらを見たのには、促す意をもっていたから。
「やはり、考察は英人さんにお願いしたいです。」
文献を漁って、最後の考えに至ったのは英人だから。そちらの方が筋が通っているというものである。
少し目を瞬かせ、英人はわかったと頷く。
「何らかのプロジェクトだと仮説立てた理由だが、それは僕が漁った文献による。内容は、歌名の話した人間界への派遣プロジェクト。資料と当時の記憶が一致しているから、たぶん同じものと捉えていいだろう。」
そのあとは、瑛瑠にした説明をふたりにも繰り返す。毎年派遣されていたことや、歌名のいうように、10年前に終止符を打たれたこと。そして、なぜ今さら遣わされたのかということ。
「そもそも、何のための派遣だったのかははっきりしていない?」
しばらく黙って聞いていた望に問われると、英人は苦虫を噛み潰したような顔で
「何かの監視ってことしか。」
と答える。
お互いに、狐が大いに関わっていると思いつつ、繋がりが見えないため口に出せない。
重い空気が下りたとき、望が口を開いた。
「気になる点がひとつある。そこから、たぶん導ける。」

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LOST MEMORIES ⅢCⅥⅩⅨ

歌名の呟きにひどく食いついたのは、やはり瑛瑠と英人。今にも質問攻めにしそうな雰囲気にたじろぐ歌名を見て、望は一旦宥める。
「瑛瑠さんまでまわりが見えなくなっちゃうと、ぼくの役回り増えるから困っちゃうよ。」
望の穏やかな苦笑に、瑛瑠は落ち着くよう努めた。望ももちろん話を掘り下げたいのだが、進行が話をぐじゃぐじゃにしてはいけない。
英人といえば、多少の苛立ちと焦燥が見える。深いところまで関わってしまったであろう英人は、幼少期、大人に上手く誤魔化されたと検討がつく。さらに、漁った書類は重要か部分が抜き取られているときた。上層部の裏の顔を垣間見て、何が自分の本当に見たものなのか、覚えていることなのかわからないと、以前そんなことをこぼしていた英人が、はやくその情報を知りたいと思うのは当然のことでもあって。
もちろん、その苛立ちや焦燥の相手がこの場にいる3人ではないことは理解していた。
「わ、私だって10年前のことだから、詳細まで覚えてないし、もしかしたら間違ってるかもしれないし……!」
軽い気持ちでこぼしてしまった言葉に大きな期待を寄せられていることを悟り、歌名は一気に縮こまる。
望が、瑛瑠の役割だと目で訴えるから。小さく頷いて、歌名を呼ぶ。
「なんでもいい。間違えていたっていい。確かめる時間ならたくさんあるから。今は、情報がほしいの。」
ね,と崩した口調で言うと、歌名は口を開いた。