こんなに君を好きだったなんて気づかなかった 手を伸ばしても届かない君が 目が合う度に声をかけてくれたことが どれだけの奇跡だったか今更わかってしまう 私を呼ぶその声が心の奥を甘く痺らせた記憶が 私を揶揄うその仕草が 戻ってこない日々に閉じ込めた君への思いを こんなにも溢れさせてしまうのだ
君が手の届く距離にいるなら 私が恋を思い出すことも容易いのに
太く強く繋がっていた紐が 少しずつほつれていくように 時の流れとともに 迫ってくる未来が私たちを さよならに近づけている 来年の夏 私は1人 どんな風に生きていればいいのだろう
君とのことで笑うことが出来なくなって 心が壊れる時にはどんな音が鳴るのだろうか
泣いてしまいそうなほどに 丸くて明るい今夜の月を見上げた 来るはずだった未来が 起きなかった過去に移り代わって 私だけがそれを抱えたまま ぼやける街灯の光を眺めるともなく眺めていた
夕方になると思い出したように降り出す大雨が 都合のいい私の心のゆらぎのようで 遠くから眺める私のいない時間を 見ないふりしか出来なくて この寂寥感が心を埋め尽くす前に 自分勝手な私を捨てなくちゃ
君に焦がれたこの夏を 待ちに待ってしまった今を 私の大きな冒険を 踏み出しかけたその一歩を 今、ぽっきりと折ってしまう君は 涙を隠す私のことを この画面の向こうできっとまたすぐに忘れる
君がもうここにいないことが 私だけの特別でないことが こんなにもかなしい 交わした約束が叶わなかったことも いままでどおりいられないことも 壊れそうなくらいさびしくて 引き止められない君を ここで待っている意味なんか探しても仕方ないのか
きみがいれば 雨だって幸せと思えるのに
あなたを見ている わたしがいる