霧が覆った景色
実在しない男の子たちの、月を望む声につられて見上げた窓には、月などなくて。それでも、男の子たちがいる世界に私も行った気がした。
ああ、なんで忘れていたんだろう。そこには、満天の星が広がっていて、夜の匂いがして、自分なんてちっぽけで。願わくばその隣には、大切な君がいてほしい。
そうだ、世界はこんなにも美しい。
男の子たちは星空のベールを纏い、数分前へと消えていく。
この美しい世界を、私も作れたのなら、どんなにいいだろう。そう思いながら私は今日も、絶えず流れる川へと、一編の詩を垂らすのだった。