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〜二人の秘密〜長文なので時間があるときに読んでくださると嬉しいです!

今日は体育祭。
青春を楽しむには大事な1ページだろう。
私の学年は優勝していたが、冴えない気持ちのままいつもの窓辺に座っていた。

『今日は大人しくここに座ってるんだな。』
私は振り向く前に口を開く。
「先生に会いたくなったときはここでしょ(笑)?」

『せめて、私かどうか見てから行ってほしかったな(笑)。』
先生は笑いながら、隣に座る。
「声だけで先生ってわかるんだもん。見る必要ないでしょ〜(笑)?ってか、先生、体育祭の片付けしなくていいの??」
『あぁ、アルも手伝ってるし、私はいらないだろう。』
「ふ〜ん。」
『君こそだろう?今日は体育祭なんだぞ?ここにいていいのか?』
「いや〜、ここにいたいから、ここに来たんだよ(笑)?最近来れてなかったし、丁度いいじゃん!」
私はそう言うと、あくびを一つする。

『君はこういう行事が嫌いだな。』
「別に嫌いな訳じゃないよ?ただ、次の日になると、いきなり現実に戻される感じが嫌いなの(笑)。」
『そうだな。君のクラスは“良いクラス”だもんな…?』
「そう、いろんな教師から見れば良いクラス。だけどほんとはそんなんじゃない。ただ、行事とかはみんなでやろう!って盛り上がるだけで、普段はそんな団結してるわけじゃない。そういうクラスなんだよね。」
『懐かしいな(笑)。』
「笑い事じゃないんだけどな(笑)。先生が高校生の頃のクラスのこと?」
『よくわかったな?。私も君のようなタイプだったからな(笑)。』
「私には先生と違うところもあるよ?」
『例えば…??』

私はいつもの窓辺から立ち上がると振り返る。
「そんなの秘密!!じゃ、HRあるし、クラス戻るからね〜!!」
私は駆け出すと、途中で振り向いて手を振った。

先生と私の違うところ。
それは、私には先生がついてるってこと。
もちろんこれは、私とあなただけの秘密。

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『だーれだ。』
いつもの窓辺に行こうと歩いていると、ちょうど同じタイミングで窓辺に行こうとしていた先生に目隠しされる。

「ねぇ、声を変えないってありえないでしょ(笑)?先生ってバレバレ〜。」
『バレたか〜(笑)。』
先生が手をほどいたので、振り返る。

『誕生日、おめでとう。』
先生は花束をさしだしながら、キラキラと眩しい笑顔で笑う。
「はっ?」
『え、嫌だった?』
「いや、なんで知ってんの?誕生日。」
『教師をなんだと思ってるんだ〜?学校に提出してる書類見た。』
「それ、犯罪……?」
『大丈夫だろ、生徒の誕生日を祝っただけだ。』
「まぁ、訴えないけど(笑)。」

『なぁ、受け取るのか?受け取らないのか?』
「ありがたく、いただきます。」
私はニカッと笑った先生から花束を受け取ると匂いをかいだ。

「うわ〜、いい匂い。」
『カルミアって言う花。花笠シャクナゲ。』
「シャクナゲってこんな形なんだ、凄く可愛い。」
『気に入ってくれたみたいで良かったよ。』
「ありがとう(笑)。」
私は耳に髪をかけながら、お礼を言う。
『ほら、ずっと持ってたらせっかくの花が枯れてしまう。部屋に戻って花瓶に入れよう。』

部屋に戻ると、アルがケーキの準備をしていた。
“お誕生日、おめでとう。”
私達は、このひとときの時間を楽しんだ。
一年にたった一日しか来ない日。
この日を大切にしながらも、「来年もまた今日みたいだといいな」と笑った。

カルミアの花言葉のひとつが『笑顔』だと言うことは、先生だけの秘密。
そして、怖い花言葉がある事は私だけの秘密。

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『何見てるんだ?』
いつもの窓辺で、窓を閉めたまま外を必死に見ていると後ろから先生が声をかけた。

「ねぇ、見て。雨が止んだから燕が飛んでるの。」
『燕?』
「うん、ほら雨で虫の羽が駄目になってるから、低空飛行してる。」
『それを一生懸命目で追っていたのか(笑)?』
「うん(笑)、だって可愛いんだもん(笑)。」
『何羽くらいいるんだろうな?』
「う〜ん、屋根の死角に入ったりしてわかんないけど、4、5羽くらい。」
『それは、キョロキョロするな(笑)。』
先生は体を窓に少し傾けて座る。

「私、生まれ変わるなら鳥になりたい(笑)。」
『どうして?』
「この子達は狩をしてるだけだけど、とても優雅に見えるから。」
『確かに、燕は特に優雅に見えるな。』
「梟でもいいな〜。あ、鷹とか?」
『君のセンスがわからないよ(笑)。』
「え〜?そう?優雅に見える鳥を言ったつもりなんだけど。でもまぁ、渡り鳥がいいな(笑)。」
『なんで?』
「たくさん飛ばなきゃいけないけど、冒険できるじゃない?」
私は窓ガラスを2回、コンコンと指先で叩いた。

『君らしい考えではあるな(笑)。』
「とにかく、生まれ変わるなら空が飛べる方になりたい!!地を這う方じゃなくてね(笑)!」
私は先生の前に立ち振り向くとニカッと笑った。

『言い方に皮肉が入ってる気がするよ(笑)。』
「あ、また雨降りそうだよ?部屋に戻ろ?」
私は先生の手を引いて立たせると廊下を進んだ。

梟になれたら、先生に郵便を持ってこられるのになと考えていたことは私と貴方だけの秘密。