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常勝のダイヤ#7

夏の高校野球選手権大会予選抽選会の日が近づいてきた。毎年、主将がくじを引いてどのブロックになるかが決まる。県予選のくじなど、普段は気にしていないが今年は、ものすごく緊張する。俺らに余裕はない。自分の運が勝ち上がりに直結する。今日は練習終わりになんとなく最寄りのスタバに滑り込んで、スマホをながめていた。視線の先には春の甲子園ベスト4の山桜高校の4番、谷口。豪快なスイングから白球がレフトスタンドへ叩き込まれている。こいつを抑えなきゃ甲子園にはいけないな、、、
「おつかれ。」後ろから声をかけられて、俺はドキッとした。
「なんでいるん?」私服の水色のパーカーの女子。瑠奈だ。
「自主練で近くの公園行ってた帰り。うちらも夏近いし。」
「そうだよな。」瑠奈は何も気にしない様子で、俺の隣にすわった。
「これ。あげる。」綺麗に包装された袋を渡された。
「え、くれるん?」
「うん。帰ってから見て!」そういって、さっさとでていってしまった。
なんだったんだろう?家に帰って開けるとそこには、水で濡らすと冷たくなるタオルに綺麗な刺繍で、俺の名前が筆記体で書かれている。そして、小さな手紙が。
「甲子園で優勝してね。甲子園いったら、応援しに行く。」
もう、引けないようだ。瑠奈はバスケの大会日程の関係で、県大会は来れないというのを知っていた。必ず甲子園へ。そして優勝。日本一を取りに行く覚悟を俺は決めた。

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常勝のダイヤ#5

空の氷色がそのまま降ってきたような、澄み切った寒さ。朝の河川敷のランニング。野球部の中でスタミナがある俺は、後ろにほかの部員を突き放し、独走状態だった。ふと、前に黒と水色のフリースを着た小さな背中が見える。
「女バスの練習って、8時からじゃないのか?」
河川敷の古い柵にもたれかかって話すことにした。
俺ら野球部の練習は6時半から。
「自主トレだよ。冬の努力が大事じゃん。」瑠奈はそう答えた。
瑠奈は、バスケ部のエース格。まあ、似たもん同士なのかなぁ、、、
「へ~。すげえな。バスケ部、秋も全国行ったんだろ?」
「野球部ほどほかで勝ち上がってないし、まだまだだよ、、」
(ああ、俺みたいに調子に乗らずに、常に上を目指してるんだな、、
 前見に行ったバスケの試合可愛、、、すごかったもんな)
「野球部の秋の大会、見に行ってたんだけど。」
(え!?~---俺が打たれたところ見てたのか、、、やべえ、俺かっこ悪い!)
「常勝って周りから言われるのって、怖いよね」
(、、、、、、。)
「だって、一生懸命に勝っても{あたりまえ}ですまされちゃうし、負ければありえないだの、前の代と比較されたりで重圧だよね。勝負だし高校生だし常勝っていわれながら努力するってすごいと思うよ。」
「え、あ、、、」(なんて言えばいい?)その時、かすかに足音が、、
『キャップ~追いつきましたよ~ー』向こうから突き放したはずの部員たちが追い上げてきた。
「わりい、じゃあな!」急いでその場を離れた俺の頬と、校舎にに隠れていた太陽が昇る東の空は、さっきよりすこし明るくなっていた。