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思い出

電車の扉際で1人再生ボタンを押す
頬を伝うのはなに?
あぁ、また逆方向に乗っちゃった
脳裏にはあの日のこと
「そっちで用事があるから」って
嘘ついてまで電車に乗ってさ
君の最寄り駅まで20分
いちばん長い帰り道なのに、いちばんはやく感じた
『さんぶんのいちじかん』

ハンバーガーを手に持って1人
手を震わせるのはなに?
あぁ、またこれ買っちゃった
脳裏にはあの日のこと
「今日はハンバーガー食べよ」って
君が珍しく誘ってくれてさ
食べ終わるまで20分
いちばんはやく食べたのに、いちばん味を覚えてる
『さんぶんのいちじかん』

あの街には
数え切れない位の思い出があって
どれにも必ず「君」がいて
笑ってるんだ 勘弁してよ
全部忘れたつもりだったのに
全部置いてきてただけだった
この街のあらゆる所がドッグイヤーみたいに欠けてる
綺麗なままの本だと思ったのに 勘弁してよ

ホームに降りてため息ひとつ
この心の痛みはなに?
あぁ、昨日からこんな感じだ
脳裏には昨日のこと
「僕の方が」「私の方が」って
下手にいつもより冷静で
話終わるまで60分
いちばん長いのに、いちばん泣かせた
『こんないちじかんなんて、、』

きっと何かが違ったんだろう
でもいつずれちゃったんだろう
この街にいる頃の僕たちは
こんなにも青くて痛いのにね

あの街には
読みきれない程の思い出があって
どれにも必ず「幸せ」があって
つらいんだよ 近づけないよ
ほんとはわかってるんだよ
どうすべきかわかってるんだけど…

いっそドッグイヤーを全部直して
1本のテープにでも出来たらいいのに

久しぶりに降りたこの街で君がいない場所を探した
いつか2人で行きたいと言ってた喫茶店
カセットのオートリバースをかき消すみたいに
カランコロン、カララン。

2

思い出

駅のホームに伸びる影は一本
頬に光るのはなに?
あぁ、また思い出しちゃったな
脳裏にはあの日のこと
「今日は一緒に帰ろうか」って
逆方面なのに電車に乗ってさ
私の最寄り駅まで20分
いちばん濃くて いちばん甘かった
『さんぶんのいちじかん』

ハンバーガーを食べてるのは一人
喉につっかえているのはなに?
あぁ、また考えちゃったな
脳裏にはあの日のこと
「今日はハンバーガー食べよ」って
珍しく私から提案してさ
食べ終わるまで20分
いちばんの味で いちばんゆっくり食べた
『さんぶんのいちじかん』

この街には
数え切れない位の思い出があって
どれにも必ず「君」がいて
笑ってるんだ 勘弁してよ
何も覚えてないようで
何もかも覚えてたみたいだ
この街のあらゆる所に栞が挟んである
続かない物語なのにね 勘弁してよ

椅子に座ってため息ひとつ。
この心の痛みはなに?
あぁ、昨日からこんな感じだ
脳裏には昨日のこと
「私の方が」「僕の方が」って
いつもより感情的でさ
話し終わるまで60分
いちばん長くて いちばん泣いた
『こんないちじかんなんて、、』

何が悪かったんだろうね
どこでずれちゃったんだろうね
この街で見つける私たちは
どれも青くて澄んでるのにさ

この街には
背負えない程の思い出があって
どれにも必ず「幸せ」があって
つらいんだよ 居られないよ
何も忘れたくないよ
何もかも忘れられないよ
栞を全部集めて
始まらなかった物語に出来ないかな


初めて入ったこの街の珈琲店
私だけの思い出の栞を挟んで
からんころん、かららん。