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生まれ変わって撞波再くん

ガンガンガンガン…
はぁはぁと僕は息をしながらもこの長い鉄でできた階段を登っていく。
ふと顔を上げると陽の光が入ってくる。さっきまで雨が降っていたのになと思いながら最後の階段を登る。
〜第一章〜
 ここは、この街にある結構高めのビル、と言ってもどこもかしこも錆びていて、誰もいないので時々空き巣が入ることもあるのだが、ここにはもう一つ噂があるそれは、「自殺の名所」とも呼ばれている。
僕は大空 撞波再(おおぞら つばさ) 17歳。家は母子家庭だったけれど小学生の頃突然母は姿を消してしまった。そこからはおばあちゃんの家で過ごしている。
僕は、屋上のはじまで行きふと下を見下ろした。
…やっぱり高いなぁ
でも、こんなバカみたいな世界と今日でおさらばできるんだと思うと、もう何も考えられなくなった僕は目を閉じた。
この世界で最後に言うことは?
…バカだな。こんなこと聞いても対して答えることがないのに。
まぁ、一つ思うとしたら…。
母さんにもう一度会いたかったよ。おばあちゃん今までありがとう。
僕は最後にこう思い、飛び降りることにした。
って言っても高いなぁ。本当に飛び降りたら死ねるのかな?
あぁ覚悟が決まんない。ここで出てくる僕の優柔不断はクソみたいだ。
さっさと死ねるんだぞ、次の地平線へ飛んでいけるんだぞ。さぁ、早く降りろ!
「これでもう、何も感じない そんなこと思っていませんか?」
「うわぁぁぁぁぁ!」
声が聞こえた。そんなはずはない。だって足音もしなかったから。
僕はぎこちなく後ろを向く、そこには綺麗な瞳をした男の子が立っていた。

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プロ野球物語〜タイガース編〜①

大正から昭和に時代が移ってまだ然程時間が経っていない横浜の港に野球の母国・アメリカのプロ野球選手団が日本の学生野球選手と親善試合をするために日本プロ野球の歴史は始まった。。
当時から野球が盛んで有名、かつ東京の学校ということでのちに東京6大学という独自のリーグを構成することになる6校からそれぞれの代表と全日本代表が交互にアメリカ代表と対戦した。
結果は、日本代表の全敗。
米国から取材に同行した新聞記者を中心に発行された新聞記事を通じて日本の学生選手のプレー能力の高さが明るみに出たことで日本側は学生とお金に絡むスキャンダルが起こることを危惧して海外からのプロ選手との試合を禁止する規則を設けた。
しかし、そんな規則ができるのと同じ頃当時の主要メディアの新聞会社を中心に「日本にも職業野球を」という声が高まった。
そうして当時から有名な新聞社の一つを中心に発足したのが日本初のプロ野球チーム、東京野球倶楽部と日本初のプロ野球リーグだ。
この東京のチームこそがアメリカへ遠征試合をしに行った際、最初の試合で対戦相手の監督から球団名が分かりにくいと言われてチームの英語名を「ジャイアンツ」とし、それから90年以上が経ったこの令和の世でもジャイアンツやその日本語訳の巨人という名前で親しまれているあの球団の前身だ。
ジャイアンツの遠征は日米選手の実力の差を如実に現したけれど興行としては大成功を収め、当時から「大学野球の聖地・明治神宮野球場」と対になる学生野球のもう一つの聖地とも呼べる「阪神甲子園球場」を抱える関西でも職業野球チーム発足を求める声が高まった。
そうしてジャイアンツの1年後、西暦で言うと1935年に大阪で生まれた日本プロ野球第2号のチームがこの物語の主人公だ。
その名は大阪野球倶楽部、英語での愛称は「タイガース」でのちに親会社の名前を冠したチーム名に改称されるも90年と言う歴史や伝統を誇り続ける日本屈指の人気球団、阪神タイガースだ。
関西の猛虎、タイガースの90年の歩みを振り返ってみよう。

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プロ野球物語〜広島カープ編〜①

舞台は戦後間もない年の広島県内某所。
職業野球,のちにプロ野球と呼ばれる野球リーグの選手団の試合を観るためにこの街の運動場に多くの観客がやって来た。

つい数年前まで行われていた戦争により投下された爆弾で家も勤務先も,そして人によっては家族まで失った広島の人々を元気付けてきたものは、戦争が激化するまでの間この地にあった多くの会社の工場や学校で学んだり働いたりする男性を中心に娯楽として浸透し、県内から多くの名選手や強豪校を輩出するまで発展した球技,野球。
しかし,戦前からそんな野球を職業とする選手が集まるリーグが日本にはあったけれど、肝心の広島にそのリーグに所属する球団がない関係で野球王国,広島県出身の名選手の多くが地元の広島を去り遠く離れた関西や関東でプレーするという悲しい現実があった。
それゆえ,多くの広島の住民が満員の観客に形を変えて地元で行われた野球の試合に訪れたのだ。

その試合から2年と経たないうちに広島の人々を元気付ける平和の象徴として、野球チームを新たに結成すると言う朗報が広島を駆け巡る。

新球団の名前には2つの候補があった。
ひとつは、戦争という名の暗雲から平和になって晴れた空に輝く虹のようになって欲しいという意味から付けられたレインボーズ。
そしてもう一つは,地元・広島を流れる川がコイの名産地であることや広島城の別名が鯉城であることにちなんで魚のコイという意味を持つカープス。
話し合いの末にカープスという名前に決まったが、現地の学生から英単語の文法上の誤りを指摘されて球団名はカープに改められた。

これはそんな広島のカープというチームが地元の人から愛されて支えられていくつもの困難を乗り越えて成長するまでを描いた物語。

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空想少年要塞都市パッセリフォルムズ:告鳥と悪霧 その⑦

カズアリウスの言葉に、男性は平然と答えた。
「知っているさ。だからこそ、こんな『地下』で、ひっそりと生み出したんじゃあないか」
「なッ……!? テメェ、確信犯かよこの野郎!」
「そうだね。しかし、悲しいことに私は研究者でね。憧れは止められない、というやつさ。エクトピステス・ミグラトリウス。君の力を見せてやりなさい」
男性の命令に、少女クミ――エクトピステス・ミグラトリウスは静かに頷き、右手を前方に翳した。
「動き出せ――“プリンセプス”」
クミの足下から黒い霧が噴き上がり、空中に吊られたアリエヌスの残骸に吸い込まれていく。
「……プリン、何?」
困惑するカズアリウスに、白衣の男性は溜め息を吐いた。
「まったく、呆れたね。アヴェスのくせにラテン語も分からないのかい? 群れを統べるもの、“Princeps”。意味は――」
男性とクミの背後で、アリエヌスの残骸が「ごとり」、と音を立て、動き出した。
「『支配者』さ」
アリエヌスの眼窩に赤い光が宿り、身体を伸ばして咆哮をあげる。
「安心し給え、防音対策はしっかりと取ってある。外に騒ぎを聞かれる恐れは無いよ。さて、“プリンセプス”について説明してやろうか」
男性は意気揚々と、説明を続ける。
「彼女の使う“プリンセプス”、その正体は『ナノマシン』だよ。無数の超小型機械を操作し、アリエヌスの体内に潜り込ませる。体内で“プリンセプス”を操作することで、そのアリエヌスを強制的に使役し、最後には内側から食い破って破壊する。実に効率的だろう。『支配』と『殺戮』、二段階で敵を減らせるのだから。しかし唯一欠点があってねぇ……」
大型アリエヌスは咆哮を止めると、3人のアヴェスに目を向けた。
「試験回数が少なすぎるのだよ。どれ君達、1つテスターをやってくれるかい? 何、この残骸が内側からズタズタに崩壊するまで、死なずに粘ってくれるだけで良いんだ。良い戦いを期待しているよ」

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空想少年要塞都市パッセリフォルムズ:告鳥と悪霧 その⑥

エレベーターから下りた4人は、薄暗い廊下をゆっくりと進んでいく。
「電気くらい点けとけよな……」
カズアリウスの呟きに応じるように、闇の奥から男声が響いてきた。
「それもそうだ。すまないね、ここには他人を驚かせるものが色々とあるものだから。……しかし、娘の『友達』だというなら、心配することは無いだろう。少し待ってい給え」
その声は、上階でスピーカー越しに聞こえてきたものと同じだった。
一瞬の後、辺りを電気照明が一瞬にして真っ白に照らし、3人のアヴェスは思わず目を細めた。やがて視界の正常に回復した3人を出迎えたのは、空中回廊、半径100m近くはあろう球状空間、そして、その中空に鋼線で吊るされた、全長50m近い『大型アリエヌスの残骸』だった。
「なっ……何だこれ……!?」
「あ、アリエヌス……!? ここは、処理施設の一部だったのか……?」
「それにこんな広い場所が地下にあるなんて、聞いてねえぞ!」
3人の驚愕の言葉に、男声が答える。
「ここは、私の個人的な研究施設だよ。そして……3人の戦士たちよ、よく私の『娘』を連れ帰ってくれたね」
その声の方向に3人が目を向けると、いつの間にかサルペンタリウスの手から離れていた少女クミを抱える、痩せこけた白衣の男性が、空中回廊の突き当りに立っていた。
「ほら、挨拶してやりなさい」
男性に促され、クミは頷いて3人と正面から相対する。
「“迦陵頻伽”所属、アヴェス“エクトピステス・ミグラトリウス”」
少女の口から放たれたその言葉に、3人は眉を顰めた。
「“迦陵頻伽”……? 知らねェ名だなァ……少なくともこの要塞都市に、ンな名前のカテルヴァは存在しねェ。それに、そいつが“アヴェス”だァ? 馬鹿言いやがれ、アヴェスは野郎と相場が決まってんだ。女のアヴェスは禁忌って話だろうが!」

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空想少年要塞都市パッセリフォルムズ:告鳥と悪霧 その⑤

クミの案内で3人が辿り着いたのは、路地裏の隙間に隠れるように置かれた、地下入口だった。
「ここ」
クミに言われてカズアリウスがインターホンを探す。
「あいてる」
その言葉に、カズアリウスがノブに手を掛けると、扉はあっさりと開いた。屋内は何かの機械や骨董品が並んでおり、照明もついておらず陰鬱な空気を醸している。
「本当にここなのか? そもそも人住んでんのか?」
カズアリウスが呟きながら中に入ると、天井の方からスピーカー越しの音声が降ってきた。
『お客様かい?』
男声のようである。3人のアヴェスが突然の出来事に動揺していると、クミがサルペンタリウスの腕の中で声を上げた。
「んーん、お友達!」
彼女の答えに反応するように、暗い廊下の奥に小さく明かりが灯る。長方形のそれは、どうやらエレベーターのようであった。
『入って来てもらいなさい。』
それだけ言うと、ノイズが途切れ、スピーカーからの通信は終了したようだった。
クミがエレベーターを指差し、サルペンタリウスを見上げる。
「はやくー」
3人は顔を見合わせ、しばしの逡巡の後、意を決してエレベーターに進入した。
4人が入ると同時に扉が閉まり、エレベーターは自動で下降を開始する。
そして約1分後、エレベーターが重い金属音を立てて停止した。