薔女造物茶会 Act 2
「…ただ、通りすがっただけ」
黒い人物はそっぽを向いて答えた。
ふーんと少女は頷く。
「それにしても貴方、異様な魔力の気配がするけれど…何者なの?」
黒い人物はハッとしたように振り向く。
「お前何でそれを…」
黒い人物がそう呟くのを見て、少女は笑う。
「分かるのよ、わたしには」
魔力の気配が、と少女は続ける。
「ただそれがあまりに異質だっただけで」
「それ以上言うな」
黒い人物は少女の言葉を遮る。
少女は驚いたように目をぱちくりさせる。
「…それ以上は言うな」
黒い人物はまたそっぽを向いた。