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暴精造物茶会 Act 8

「ナツィ! かすみ!」
金髪のコドモは笑顔で2人に駆け寄るが、ナツィはうっ、キヲン…と気まずそうな顔をした。
「何してるの?」
でーと⁇と金髪のコドモことキヲンは首を傾げる。
ナツィはい、いや違…と恥ずかしそうな顔をした。
「そ、そういうお前こそ、何してんだよ」
どこかに遊びに行くのか?とナツィが尋ねると、キヲンはうん!と大きく頷く。
「この後“学会”のち…」
キヲンがそう言いかけた時、背後からバッと紅色の髪のコドモがキヲンの口を塞ぐ。
キヲンはもごもごもごと声にならない声を上げた。
「ご、ごめんなさい、クロミスたち、急がなきゃいけないから…」
ほら、行こと水色の髪のコドモは緑髪のコドモと紅色の髪のコドモを促すと、キヲンを連れてそのままナツィとかすみの傍を通り過ぎていった。
ナツィとかすみはポカンとした様子で4人を見届ける。
「なんだったんだろうね」
かすみがナツィに目を向けると、ナツィは少し考え込むように俯いていた。
「ナツィ?」
かすみがナツィの顔を覗き込むと、ナツィはちらとかすみの方を見る。
「…ちょっと、ピスケスん所行って来る」
かすみはえ?と驚く。
「ピスケスの所って」
かすみはそう言いかけるが、ナツィはスタスタとかすみを置いて歩いていく。
「あーちょっと待ってよ〜」
かすみは慌ててナツィの後を追った。

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子供は適切な保護者に安全に教育されなければならない 前編

〈ブラックマーケット〉のとある夜。元より陽光は〈地表面〉に遮られ、昼夜の区別など殆どつかないこのエリアでは、クォーツ時計と体内時計だけが日時を示す。
下品なネオンライトの輝く路地を遠くに眺めながら、男は『学校』を囲む塀――もはや『城壁』と呼ぶべき規模のそれ――その上、半ば私室化した空間でアルコールバーナーを操作していた。
「………………」
青白い火を眺めていた男はふと、塀の下、『学校』敷地内に視線を送る。
闇に紛れるように黒色の布地に身を包んだ小柄な影が、前庭を駆け抜けようとしている。
「……はァ。クソガキがよォ…………」
男は溜息を吐きながらアルミ・ケトルを火にかけ、わざとらしく物音を立てた。それに気付き、影がびくりと身じろぎして足を止める。
「よォ。夜更かしか? ガキは寝てるべき時間だろうが」
影は答える事無くじっとしていたが、不意に布の下から腕を突き出し、男に向けた。男が合金製のライオット・シールドを引き寄せるのとほぼ同時に乾いた破裂音が響き、男の構えた盾に何かが高速でぶつかる。
「……なるほどなァ…………。『武器庫』から火薬銃が1丁無くなってると思ったら、お前か。どうせなら熱線銃の方パクっときゃ良いものをよォ。ま、隠し持つならそっちだよな」
軽く笑いながら、男は『武器庫』と呼んでいる木箱から目的の道具を手探りで取り出し、地面に向けて放り投げ始めた。
目的の品を出し尽くした後は、ライオット・シールドも地面に放り、自身も飛び降りる。一連の動きを、影は身動きできずに眺めていた。
「さァて…………と」
着地の衝撃を殺すために大きく曲げていた膝と腰を伸ばしながら、男は口を開く。
「よォ、不良のクソガキが」
「…………ミネ、先生」
影が羽織っていた黒色の布を解き、地面に投げる。その下から現れたのは、まだ幼さの残る少年だった。

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企画「鏡界輝譚スパークラー」世界の後から思いついたキャラ

・名雪 桃鋼(なゆき ももこ)
性別:女
身長:158cm
所属:アザレア高等学苑東鏡校
学年:1年
多くの名スパークラーを排出してきた名門“名雪家”の娘にして一族きっての落ちこぼれ。
小さい頃からスパークラーの才能に恵まれた兄と違い全くと言っていい程才能に恵まれず、家族や周囲の人々から白い目を向けられていた。
そのため中学生まで一般校に通っていたが、何としても娘をスパークラーにしたかった父親によって、高校進学の段階で半ば無理矢理、東鏡・親宿(しんじゅく)の新興STI・アザレア高等学苑東鏡校に入れさせられた。
性格は気弱でかなりのビビり。
周囲から蔑まれて生きてきたので自己肯定感がかなり低く、人付き合いが大の苦手。
スパークラーとしての才は全くないが、運動神経や学力はかなり平凡(しかしそれ故に周囲から蔑まれていた)。
父親が自分を“黒い噂”のある“アザ高”に入れさせたのは自分にさっさと死んで欲しいと願っているからと思っている。
上記の理由から実兄以外の家族・親戚を苦手としている。
頼れる知り合いのいないアザ高で1人みじめに3年間を過ごす…と思っていたが、様々な人々との出会いから少しずつ成長していき、最終的には自主結成部隊を結成することになる。
容姿は肩に付くくらいの長さの髪をツーサイドアップにしており(昔兄に結んでもらった髪型を未だに続けているそう)、制服はきちっと着こなしている。
兄は1歳年上で北界道(ほっかいどう)のSTIに所属しており、桃鋼の数少ない味方である。
名前の由来は「ピンクサファイア(“桃”色のコランダム、つまり“鋼”玉)」。

〈アザレア高等学苑東鏡校〉
東鏡・親宿にあり全国各地に分校を持つ新興STIの本部校。
“一般校や普通のSTIに適応できない子や家庭環境に問題のある子、素行の悪い子”などを受け入れ、“そういった子どもたちの健全な精神”を戦いを通して育てることを掲げて全国各地から生徒を集めている。
…が、その実態はあの手この手でスパークラーになれそうな子や才能はないけどスパークラーになりたい子をかき集め、無理にでも戦場に駆り出して戦果ばかりを追い求めているようなSTI。
戦果を追い求めて事前通告なしに他のSTIの管轄地域への遠征を繰り返しているので、色んなSTIと仲が悪い。

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鉄路の魔女 〜Megalopolitan Witches. Act 2

「お前らいちゃいちゃばっかしやがって、何だよ」
気持ち悪りぃ、と駅舎の柱に寄りかかる銀髪の少女は白い目を彼女たちに向ける。
「あーら“シルバー”、貴女もあたしによしよしされたいの⁇」
「ンな訳ねーよ‼︎」
スカーレットの言葉に対し、“シルバー”と呼ばれた少女は強く言い返す。
「私はお前らみたいに“魔女”同士で馴れ合うのとかしたくねーんだよ!」
ホント気持ち悪い、とシルバーはそっぽを向く。あららーとスカーレットはシルバーの姿を見て笑った。
「…まぁそんなことは置いといて!」
そろそろ行きましょ!とスカーレットはみんなの顔を見る。4人はそうだねとか言って頷く。スカーレットはその様子を見届けると、駅舎の出入り口に向けて歩き出した。

大きな駅から少し離れた所にある、人気のない路地裏にて。
色とりどりの衣装を着た4人の少女たちが路地の道幅いっぱいの大きさの、頭部に無数の目が付いた爬虫類のような怪物と対峙している。怪物は少女たちを前に威嚇するように唸っていた。
「いやぁ手強いねぇ」
水色の髪を二つ結びにしたセーラー襟ジャケットを着ている少女が大剣を構えながら呟く。
「みんなもそう思わない?」
ねぇと少女は周りの少女たちに目を向けるが、3人の少女たちは今一つな反応をした。
「ちょっとー、みんな反応薄いよ〜」
ここはそうだねとか答える所でしょー?と水色の髪の少女は口を尖らせる。
「…別にどうでもいい」
不意に3人の内の1人、ウグイス色の髪で軍服のような格好の少女がポツリと呟く。
「私たちは目の前のアイツを倒せればいいの」
そんなことを気にしている暇はない、とウグイス色の髪の少女は右手から大きなチャクラムを生成する。そして彼女はチャクラムを目の前の怪物に向かって投げつけた。
しかし怪物は咄嗟に近くの建物によじ登りそれを避ける。少女たちが驚く間もなく怪物は建物伝いに彼女たちの方へ突進していった。

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鉄路の魔女:Nameless Phantom その④

ミドリちゃんの方に向き直ってみると、彼女は回り込むようにして私と一定の距離を保ちつつ、倒れたアオイちゃんに駆け寄った。
「アオイちゃん! 無事?」
「何とか……威力はそんなに無かったっぽい」
「良かった……」
ミドリちゃんがこっちを睨みつけてくる。
……しかし、これ以上撃たれるのも嫌だし、いつまでも戦い続けるのも面倒だな……。
「…………もう、終わらせようか」
私に残ったイマジネーションを確認する。貯蓄は十分。
棍棒を投げ捨てる。4脚を開いて強く踏みしめ、機械腕を大きく真横に広げる。
「……〈Iron Horse〉」
脚部と両腕の機械装甲が捻じれ膨らみ、私の全身を少しずつ覆い隠していく。『鎧』として、そして、敵を殺す『刃』として。変形しながら形成されていく。
「〈Bicorne〉」
最後に頭部が完全に覆われる。額からは大きく湾曲した悪魔のような角が2本。鋼鉄故の黒色の装甲も合わさり、これじゃあ丸っきり見た目が化け物だ。
「ま、良いか。今日のところはここで退散してね」
全力を4脚に注いで踏み切り、機械装甲の補助によって全身のバネの力が100%乗った加速で2人に接近する。
アオイちゃんが咄嗟に前に出て防御しようとしたみたいだけど、今の私には関係ない。闘牛の角のように構えた腕の片方で引っかけるように轢き飛ばし、ついでにその後ろにいたミドリちゃんも巻き込んで吹き飛ばした。
「…………ふぅ」
2人が見えなくなるまで飛んでいくのを待ってからブレーキをかける。
「ひゃく……いや300mくらいは飛んだかな?」
〈Iron Horse : Bicorne〉を解除し、2人の飛んでいった方を眺める。これだけ痛めつければ、今日のうちくらいはこれ以上突っかかってこないだろう。刃は立てなかったからきっと生きてるだろうし。そんなことより、散歩を再開しようか。