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言葉に愛が溢れているこの場所が、いまもここにあって本当に良かったなあ。

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勿忘草


青い夜、つめたい夜、うすい布団にくるまってきみの声を聞くのがすきだ。少し眠たげなやわらかい声で、言えずにいたことを吐き出してくれる、あの瞬間がすきだ。
布団にまもられてぼくらは抱き合って、未来へのおびえを忘れようとして、いつもそれの繰り返し。あっさり明けてしまう夜のせいで、行き場のなくなった身体を押し付けあうしかない。
いつもいつも。

眠れない夜には天使が子守唄をくれるんだって、そう言ってきみは笑っていた。
目の奥でうつくしい紅色が燃えていた。
あれがきっと命の灯だろう。

重い身体だってきみのためにあると思えば、もう少し生きていたいような気もするよ。いのちの使い道を見つけてしまったからには、生きていかなくちゃいけないな。

だからきみ、どうか笑っていてよ。いつまでもいつまでも、そんなふうに笑っていてよ。きみはきみのままで、ずっと幸せでいてよ。

ぼくの幸せなんて、実はどうだっていいんだ。


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LOST MEMORIES CⅩ

望の言葉を思い出す。望から距離を置くために放った解釈違いの言葉を。
「いや、あの、ひとりがいいってそういうことではなくて!」
慌てて弁解する瑛瑠に、微かに笑う。英人が笑った顔は初めて見た。
「そうじゃない。自己犠牲を躊躇わないコケットだったってこと。」
思わず英人の顔を見つめてしまう。
「……馬鹿にしてます?はたまた貶していますか?」
それにはなんとも答えず、英人から礼を言われる。
「さっきはありがとう。かばってくれようとしていただろ、目をつけられないように。」
「かばったことがバレるほど恥ずかしいことはないですね。」
「結果的に嫉妬心を逆撫でただけだけど。」
「……うるさいです。」
ふて腐れたような瑛瑠の声にくすりと笑みをこぼす。
「それだけ言い返せる元気があるなら大丈夫だ。ほら、保健室。」
入ると、微かな薬品のにおいが漂っている。
英人が状況の説明をし、瑛瑠は言われたように熱を測る。
一回お休みしましょうかとベッドへ促され、英人とはここで解散となるも、養護教諭の先生が何やら必要なものがあったらしく保健室を出る。それと一緒に出ていこうとした英人は、思い出したように振り返り、まだ椅子に座っている瑛瑠の元へ。瑛瑠は不思議そうな顔をする。
「手、出して。」
両手を出すも、英人がとったのは左手。さらに、その薬指へ、自身が付けていたリングネックレスの指輪の部分を外してつける。
「僕の大切なものだから、なくしたら許さない。」

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ふるさと

私といえば、此処なので

やはり此処にも書き込みします。

~~~ふるさと~~~


ただいま、と云える心のふるさと


ひとつあるというのは


ありがたくて


幸せだ


たとえ今悲しくても

前を向ける欠片がある。


少しだけ休んで


また発つよ、


2008/12月~2018年8月の
卒業生より。


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3行ポエム

俺の声は、みんなに届かないかもしれない、多分届かない。でもまあ、それもいいかなって。俺の大切な人に、しっかり伝われば。

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LOST MEMORIES CⅨ

英人が咄嗟に瑛瑠の腕を掴んで抱きとめていなければ、今頃机の海にダイブだっただろう。
「瑛瑠!?」
「大丈夫、です。」
意識はある。さすがにクラスメートもざわつき始める。
立てるか?という英人の問いかけに、英人の腕につかまりながらも はいと応える。
目眩は一瞬。今はたぶん大丈夫。
瑛瑠に手を貸す英人は、厳しい目付きで望を見る。
「長谷川、クラスメートに落ち着くよう伝えてくれ。瑛瑠なら大丈夫だから。」
黙りこむ望を睨む。
「委員長だろ。」
保健室へ連れていくと言葉を残し、瑛瑠は英人に連れられて教室を出る。
「すみません……。」
何か言わなければと思って口をついたのがその言葉。足取りはしっかりしている。本当に、先の一瞬だけだった。
「いや、ごめん。僕が悪い。まだ君の性格をちゃんと把握しないで不用意に近づいた。」

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爆弾 【3】-2

「これは爆弾ではありません」


「......は?」
 Dにはその意味が暫くわからなかった。
「何をいっているのだ、こんなに大騒ぎをして、それは爆弾ではなかったというのか!」
「じゃあ、私たちは偽物の爆弾に踊らされたってこと...?」
 Sも当惑した表情で小さくそう言ったが、この運転手は首を縦に振らなかった。
「確かにこれはダミーです。がしかし、これには発信器が付いています」
 そう言うと、運転手はひどく怯えた表情になって再び言った。
「そしてこの発信器は、半径一メートル以内の物としか電波を交信できません。そしてその対象物は...」
 そこで言葉を切ると、運転手はスウッと息を吸い込み、こう言った。
「それは、明らかに爆発物です」
 黙って話を聞いていたDは、その言葉にひどく恐ろしくなった。それでは爆弾はまだ解除されておらず、しかもこの近辺にあるというのか...?!
「あの残り時間の数字は、その爆発物が爆発するまでの残り時間です」
「あり得ない!この車の近辺はくまなく探したはず。何処にもそれらしきものは...」
 そのとき不意に、隣に停めてあった車の後方から、小さくパンッと何かが弾ける音がした。
 その瞬間、Dは思い出した。この隣の車が駐車してきたときに、どこか見覚えがあると思ったことを。この車を何処で見たか。それは確か...。
「首長官邸だ」
 Sと運転手がぎょっとした顔で振り向く。その瞬間、Dは激しい光と音に包まれた。

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爆弾 【3】-1

 数分後。既に残り時間は一分を切り込んでいる。
「おい、大丈夫なのか...?」
 そうDが訊いた矢先、

 ピピピッ、ピピピッ

「解除、できました」
「何、本当か!」
 運転手の言葉に、DとSの顔がほころぶ。
「ああ、良かった...!」
「良かったですね!」
 二人はしっかと手を組み合い、喜びを分かち合った。先程までの緊張感とはうって変わって、朗らかな笑い声が響く。深い安堵感に包まれてDは運転手に言った。
「君は本当に優秀な運転手だ。ぜひ昇進を考えよう。なんなら...」
「ちょっと待ってください」
 運転手は、なおも爆弾を分解しながら、厳しい声で言った。Dは、誰に向かって口をきいているのだ、と少し不愉快になったが、この際なんだ、と特に言及はしなかった。それよりも、彼のその口調が気になった。
「何だ、まだ何かあるのか」
「ええ」
 運転手は手を止めない。Dは少し不安になってきた。この男は何を言おうとしているのか。その思いに気づいたかのように、運転手は小さく、しかし強い語調で言った。

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三行ポエム

年を取るにつれて、時間の流れは速く感じるようになるものらしい。僕らはもう、人生の半分を生き終わったんだって。