「助手【ジーノ】」
管理人は強いと言っても常に命を狙われている、
例えそれが就寝時間であっても。
睡眠中は守られなければならぬ。
その為に居るのがジーノである。
『護王詩』
【素早さは無い、必要が無いから。
私がする事、それは命の賭す事。
命に無理矢理鑢を掛けて。
それしか出来ないから。】
「ジーノ、おはよう。」
「............。」
「ごめんね、お休みなさい。」
To be continued #56 『助手【ホルヘ】』
P.S.お絵描くのたのしい。
魔法使いがいなくても、私には友達がいる。好きな人がいる。それだけで私は変われる
遠くの足音のように 心臓が脈をうっている。
ようこそ僕の暗闇へ 今こそ僕は暗闇へ。
歩いていけるのかもしれない。 心臓を連れて。 心臓を連れて。
魂に酸素をあげよう。 窒息しないように。 燃え続けていられるように。
星が瞬いている。 月が綺麗だ。 散らばった欠片は 乱反射している。
空っぽのこの手も 実は世界と繋がっていて。
光には触れられないだろう。 掴めもしないだろう。 それがどうしたっていうのか。
歩いていけるのさ。 傷跡を連れて。 汚れた足で。
遠くで足音がしている限り。
明治神宮前駅に差し掛かり、君の素性をぜんぶぶちまけたくなった。寒い季節は魔が差すもの、止めないで。地下鉄はゴウゴウと走るので、私の胸もバクバクと果てて、東京はいつも通りの混雑で。
終いには、酸素を求めて大声を出してやるぞと決意したのは良いけれども、目を瞑ってしまって。薄い液晶をぎゅっと握りしめ。暖房の所為だ。厚着で。微睡んで。人の波で。「気付けば其処は天国だった、でしょう。お寝坊さん。」
大きく息を吐けば、てらてらと光る車内から、透き通るような真昼の空が見えた。私が知っている秘密なんてちっぽけなものに騙されているから。薄い液晶は青くちろちろと点滅して、私たちの目を潰すけど。明日になったら私はきっと、個人情報をぎゅっと集めて飲み込んで、夜になったらそっと棄てよう。
学校と、社会と、家族と。
弾かれてきた現在だから、帰る場所はどこにもなくて。
安心と、安全と、穏やかな日々を。
望むことさえ、重い罪なら。
熱ではない温かさに、包まれずとも、触れることさえ、できないなら。
未来へ伸びる足下さえ、断ち切られてしまうなら。
もう、いいかなぁ。なんて。
早くこの居心地のいいこたつから抜け出そう
今年は挑戦の年
カウントダウンはもう始まっている
「はい、相葉さん、ギリギリセーフですね。あと3分おそかったら、遅刻だったわよ」
教室に着くと、先生がイラついた口調で言った。
いつものホームルームで、終わるはずだった。
「えーっとね、今日は新しい仲間を紹介したいと思います。入って」
入って来たのは…朝バス停で出会ったあの人だった。
黒髪で、メガネをかけてる。いわゆる知的な感じのイケメン?
私は、こういうのに疎いからあんまりわからないけど、女子がさっきからざわついている。
「伊藤弘明です。」
「伊藤君は、愛知県から引っ越して来ました。仲良くしてくださいね」
先生が早く済ませたい、という調子でホームルームを終わらせた。
ホームルームが終わると、教室がざわつき始めた。
私は、仲のいい優里香の方へ行って、結局伊藤君には何も言わなかった。
「ラジ君ラジーーー!!」
「えーーー」
落ち着け落ち着け。これは夢だ。覚めろ。
おもいっきり頬を叩いた。
しかし、目の前にある、空中に浮いたラジオはそのまま。あたしの頬は痛い。
夢、ではない。
「なんであんたいるの?」
「君が選ばれし者だからラジよ。」
液晶画面みたいなところにラジ君のクリクリした目がうつる。
「ラジ君はリオのことよーーーーく知ってるラジよ。僕の名前を幼馴染みのユーイチ君に……」
「ユーイチって?ユースケだったら知ってるけど。」
そう答えるとラジ君の液晶画面は驚いた表示をして、くるくるまわりだした。
「なんで、忘れちゃったラジ?」
「はぁ?知らないし。」
「赤点のテストを押し入れの引き出しの一番奥にしまったのは知ってるラジよ」
……ーーー…
なんでそんなこと知ってんだ。
こんなよく分からないラジオの言うことを聞いていいんだろうか。
夜も遅くなり、ラジ君らしきものは空中に浮かぶのをやめ、ただのラジオに戻った。
その夜あたしは夢を見た。
リオと私の名を呼ぶ声。
小さなあたしと、ユースケとそのとなりに誰かもう一人…
けれどそこで、夢は途切れた。
もう一人の顔を思い出せない。
全ては一瞬、あたしはただの夢の中。
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