パンチのない甘ったるい透明だけが取り柄みたいな17歳に浸かってふやけてのぼせてる。気のぬけた僕の青春、一生の思い出なんて気が重いやい!
雨のち曇り、
街をを丸洗いした雨雲が、
雲だけを置いていった。
花曇りね、なんて君がふわり笑うから
その透明な頬をほのかに染め上げる季節は、
君の為に来るのだと
そう思わずにはいられない僕を、
桜の蕾が笑った気がした。
ジェラシーと嫉妬がセットで。
妬みと嫌味もセットで。
ひとつしか注文していないのにサービスでふたつもらえたわ。
飲み込んで、溺れる私は真っ黒よ。
それはあまりにも欲望にまみれていたし、いつ砕け散ってもおかしくないほどに無防備で、ちゃんと抱きしめておかなければ季節と共に移ろってしまいそうで、きっと愛だ恋だと呼べるようなこころではなかった
だけどそれでも、僕はきみがすきだった
太陽の光を閉じこめたような瞳で、星で溶かした月が零れていくような声で笑う、せかいのようなきみが
負けたくない 悔しい
思うばかりで行動に移せてないのかもしれない
成功した人に嫉妬する前に
自分の努力の足りなさと向き合っていかなきゃ
ねぇ、死んだら人ってどうなるのかな
キミはいつかの僕にそう聞いたよね
僕は答えられなかったよね
でも、もう答えを伝えることさえできなくなった
あたりまえにある日常なんて
いとも簡単に崩れ去ってしまうんだね
そして、崩れ去ってから
その大切さに気づくんだね
また明日、
そんな言葉をもう一度キミに言いたいよ
また明日、
そんな日常をもう一度キミと送りたいよ
あなたは言った
綺麗なことばって人を変えれるのよ、と
だから僕は綺麗なことばを集めた
あなたに見せたくて、あなたに聞いてほしくて
でも、たくさんたくさん集めたら
なにが本当に綺麗なのかわからなくなったよ
きっと、こんな僕をあなたは嗤うのでしょうね
綺麗なことば、にそそのかされた僕を
はなぐもり
夢の中
きみで良かった
メールの言葉 とくとく
綱渡り
落ちたって また
足下 確かめられる
お守り
いまだに忘れられない景色が幾つかある
ときが経っても鮮明に思い描くことの出来る景色
それは学校の三階から見た
世界が燃えているかのような夕焼け
それは大切な仲間と見た
夕焼け色の大きな望月
それは晴れ渡った蒼空にみた
何処までもつづく真っ直ぐな飛行機雲
何時までも何処までも私の心に在り続けて
世界に絶望した時に思い出させてくれる
この世界は美しいと
「ねえ、一つ言いたいことがあるんだ。」
ユリは口を開く。
ユリ自身もこうするつもりは無かった、出来ればこれは回避したかった、けれど回避する事はユリにとって困難な事であった。
「ごめんなさい、ボクはどうも君の力になれそうにない。」
少女は何故か残念とは思わなかった。
それどころか「出来なくて当然」という感情さえ湧きつつあった。
何故なのか、少女にも解らなかった。
「でも、いつか......できるかもしれないからさ。
ボク......頑張るからさ......。」
少女にはユリがとても愛おしく思えた。
この感情が何処から沸き上がってくるのかはやはり少女には解らないのだが。
少女はこう声をかけた。
「ユリ、人生は長いのよ?」
「これまでも、たぶんこれからも。」
第二章『魔道書の魔女と摩天楼の灯り』完