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言葉の刃

口から言葉が零れ落ちる。
最初は、美しく透き通った宝石。
沢山の人と関わる様になって、いつしか少しずつ歪みを生んだ。
今では、どす黒い血のこびりついた刃。
それを他人に向けるだけでは収まらなくなって、自分に刃を向ける。
鈍った刃で無理やりつけた傷は、自分の心情を表していた。
どこか遠くで、穢れを知らぬ幼子の言葉が響く。
鈴を鳴らすような美しい言葉。真っすぐな言葉。
見ていると気がめいってしまって、
・・・・・・・・・・・・自分があまりに憐れに見えて。
そっと目をそらして、空っぽな言葉の刃を、今日も投げつける。
それは、きっと明日も変わらない。
だけど、そんな自分を見てくれる人は案外そばにいるのかもしれない。
刃がいつしか宝石に還るように、少しだけ足を踏み出してみようか。


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そのこと

可愛いね、て言う君が
違う誰かに寄っていった

可愛いね、て褒めててくれたのに
あの子についていった



そのことは嘘だったの?

言葉も存在も、気持ちも。

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少年

きみはともだち
ぼくの大切
はなれているけど
意外とちかく
きみがすきだよ
はなしたいな
いますぐ
だけどこれは
恋じゃないことを
僕はちゃんと
わかっている
おとことおんな
ふたつにわけた神様
その間には

愛しか承認してくれないのですか。

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Stockholm

僕は、息をする。息をするように。
運命ね。
パズルの一ピース、海に放したような朝。
僕も、君もまだ、充たされない。
そんな答えがいいね。
そうね、いっぱいじゃ終わってしまうわ。
暖かさも、柔らかさも。
この悲しみさえ、消えてしまうの。
運命、ね。
私には、この雪の朝だけあればいいの。
君を待っているわ。その先で。

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半透明な夜

つるり、つるり
夜風が肌の上を滑っていく

大人のふりしてピンヒールなんて
うまく歩けっこなくて

それでも作り笑いは上手くなった

泣くのは下手くそになった

君に借りた傘を返せないまま
お気に入りの傘を見つけられないまま

水たまりを渡っても
誰かの特別にはなれないまま
愛を囁くふりをしている

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風呂上り即興詩。

まだ濡れた指で画面をなぞった。
軋むような音がした。

きみにはもう、とどかない。

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すなどけい

残り時間に追い立てられるように
恋をして
恋を終えた

最後から二番目の砂つぶがおちたとき
ちょうどふたりははじめてを終えてそして
目覚めない眠りについた
けれど
最後の一粒は天井にはりついて
底は机にはりついて

時間をころばす影なんか、もう

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生きてる間の恋の数

君はどうして泣いているの?
どうして後ろばかり見ているの?
君の愛情はこんなにも前に進みたがっているのに

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まっくろ

嫌い、
怖い、
触れたくない。

黒い黒い私の声。
押さえつけてる蓋の内側から、
どくどく、どくどく、溢れてくる。

いやだ、私に触れないで。
もう、何もしたくないんだから。

息ができなくなる。

私は生きているのか、泣きながら。

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メリバ

あなたが大切だから
一番だから
頼みたいの

コロシテチョウダイ
ウチニアルキョウキデ、アナタノホンノウデ

きっと答えは簡単だったんだ
血濡れなら一人で
望むなら二人で

アナタニオワラセテモライタクテ