切なく悲しく夜を舞う
あなたは何よりも美しい華だった
誰よりも
強く
真っ直ぐな
枯れることを知らぬ華
いつまでも夜に舞う美しい華のままで
枯れないように
いつまでも
守りたい
君は新しい風を感じさせてくれる
あの、天上の近くにいるやつとは違うんだ
決して縦に首を振らない
そんな意地っ張りな君も
大好きだ
チャールズは瑛瑠の前にハーブティーを置く。
「上出来ですよ。それでもひとり見つけたのですね。」
微笑むチャールズの様子を見るに、予想していたのだろう。魔力持ちを見つけることが困難だということに。
褒めるチャールズに、瑛瑠は首を振る。
「教えてもらったようなものだもの。私は何もしていない。私がウィッチだと相手は気づいて、話しかけてきたの。」
チャールズは驚く。
「すごいですね。この状態の、しかもウィッチの魔力をキャッチするだなんて。」
ウィッチ,ウィザードは人間に1番近い種。そもそも人間という存在があまり知られていないため、魔界でこのように表すことはないのだが、一部の上級貴族の常識ではある。
自制がききやすく勝手が良い、保守的であり、兼ね備えている。その分、力自体が弱い傾向にあるウィッチ,ウィザード。
だから、争いになる前に避ける方法を考える知力に長けたということができ、一方で力では押し負けてしまう。
このような特徴のため、相性の悪い種族からは、小賢しいなどと煙たがられることもあると耳にしたことがあった瑛瑠。そこらへん、チャールズは人一倍だと思ったことには口をつぐんでおこう。
全ての食器をさげ終え、もう一度いすに座ると瑛瑠は聞く。チャールズは慣れた手つきでお茶の準備をしている。ティーポッドにお湯を入れると、優しい香りが漂ってきた。
「改めて来た、高等部についての説明ですね。」
たとえ嘘だとしても、ここまで自然に振る舞うようなことは教えてくれない。そろそろ瑛瑠も学んだ。
だから、今は目の前のことだけ見つめることにする。
「じゃあ、私から報告するね。
今日の指令は2つ。魔力持ちを見つけることと、人間に馴染むこと。
後者は思っていたよりも平気みたい。私も人間も、ほとんど変わらないということを知った。いいえ、まったくといっていいほど変わりない。だからこそ、前者は相当難しいのだとわかった。ほぼ除外していい人たちを見つけるのは楽だったのだけれど、確信をもって魔力持ちだと言えるのはひとりだけ。……正直、侮っていた。」
なにもかも投げ捨てるように
勉強もせずのんびり寝ていたい
でもそれだと夢が叶わない
そんな葛藤に悶えつつ
扇風機の緩やかな風が愛しくて
頬を滑る緩やかな風に全てを委ねて
私はゆらゆらと揺れるカーテンを見ながら
深夜0時 月明かりに照らされた夜に
少し窓を開け 今宵も微睡む
薄青いひかりのなかで、只ずぶずぶと意識をどこかに残したまま、目を閉じて息をしていたい。
キミは太陽
ボクは月
キミは全てを照らす
ボクは全ては照らせない
キミは綺麗だ
ボクは赤黒く染まってしまった
キミは本当は弱い
ボクは強くない
キミは強がりだ
ボクはキミを支える
キミは歩く
ボクは後ろから背中を押すよ
キミは行く
ボクはここにいる
キミの、とまり木になるために