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バタフライ

世界の可能性とは
この世界に存在する
全原子のベクトルの組み合わせ

シナプスを行き来するフォトンも
朝から降りしきる雨も
未だ膨張を続ける宇宙も
多くの可能性の中から生まれた結果である

それはつまり
蝶がふわりと羽ばたいただけで
世界は変わってしまえるということ
僕が無意識のうちに息を吸って吐けば
僕の掴みうる可能性もまた
変わってしまえるということ

だから、
掴んだら二度と離すな。
その可能性を。絶対。

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笑顔と笑顔

友達はお喋りが上手でクラスのみんなと仲がいい。いわゆるムードメーカー的な感じ。
私はコミュ障だけど仲良くなれた
もう遊びにも何回も行ってる。
けど、
暗く笑ってる時がある。
楽しそうなのに何処か悲しそうだった。
後々原因は悪質な手紙だったのは分かったんだけど、この笑顔の違いを答えが出るまでわからなかったのが嫌な気持ちを発芽させた。
まだ犯人もわかんないまま。

笑顔を黒く染めるのは楽しいのかい?

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LOST MEMORIES ⅡCⅤⅩⅣ

だいぶ記憶から消えかけている夢を思い起こしてみると、ジュリアは口数の少ない人物だというイメージがあった。抑揚のない声も、感情の出ない表情も、彼女だ。
「お久しぶり、ですよね?」
するとジュリアは、少しだけ目を細める。
10年前は、助けていただき、ありがとうございました。
伝えなければいけなかったことだ。思わぬタイミングではあったけれど、忘れてはいなかった。
しかし、それを伝えると、ジュリアは目を伏せた。
「チャールズの馬鹿。」
開かれた口からは予想もしない言葉が飛び出す。
「あ、あの、」
「ごめん。」
瑛瑠に何か言う隙さえ与えず、そう一言残し、席を立ってしまった。
何か気に触ることでも言ってしまったかと不安になり英人を見るが、彼もわからないようで。
ふたりにだけはされたくなかった瑛瑠は、完全に困ってしまった。

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日記

ふと 好きなひとが以前、眼鏡をかけていたことを思い出す

まあ ぼんやりとしか思い出せないのだけど。

いつからかけなくなったのだろう

その境目を見つけようする僕の帰り道を、照らす灯りがぽつぽつ

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LAST MINUTEと私

あの日聴いた音楽が頭から離れない
あの日聴いた音楽が耳から離れない
初めて聴いたはずなのに懐かしいような気がして
何度でも聴きたくなる

涙が出るほど好きになって
こうつぶやいた
「早く発売しないかなぁ」



数ヶ月前の私の話

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No music No life #3 インビジブル

美月視点


結月姉はよくわからない病気を患っている。それもそのはずAI が作ったのだから。どうすれば治るのかも、どんな病気なのかも、わからない。健康的なものの時々体調不良を訴えている。




そんな体でも、結月姉はいつだって優しくしてくれた。



【続く】

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鏡の向こう(つまり黒鴉白鶴の始まり)

あなたが境界線を指でなぞる
これだけ毎日見つめ合っているのに

二重幻影

ドッペルゲンガー

あなたを殺さないのは、この境界があるおかげ

……でも、あなたが望むのなら

鏡の向こう、視界の端に
「あなた」を「殺し」に、やってきましたよ?

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鏡の向こう

鏡の中の私を指先でなぞる
これだけ毎日見ているのに

二重幻影

ドッペルゲンガー

私を殺しては、くれないみたい

鏡の向こう、視界の端に
薄暗がりの中で黒羽が舞い、微笑う

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LOST MEMORIES ⅡCⅤⅩⅢ

「紛らわしい言い方はよしてください……。」
恥ずかしさが限界値を超えた瑛瑠は縮こまるしかない。
そもそもデートという言葉を否定せず、さらに代名詞とはいえ彼女との約束なんて言うから、思考回路もそちらへ繋がってしまうのだ。
瑛瑠がそう言うと、英人はバツの悪そうな顔になる。
「あー……ジュリアとのやりとりがいつもそんな感じだったから、引っかからなかったんだな。」
そして瑛瑠は、チャールズとのやりとりを思い起こす。
彼ともし買い物に行くとしたら、デートに付き合ってとおかしく言うかもしれない。
そんな自分にため息が出る。少し考えればわかる事だ。
そしてもうひとつ。夢が、淡いものになっている。
10年前、彼女と顔を合わせているにも関わらず、気づくことが出来なかったのは瑛瑠の落ち度。
瑛瑠は、目の前にいる金色の髪を持つ彼女へ向き直る。
「挨拶が遅くなってしまい申し訳ありません。
祝瑛瑠と申します。改めて、よろしくお願いします。」
たれ目がちな黒い眼を細めたジュリアは、抑揚のない声で、よろしく,とそう言った。

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月が一番側にいて、なんて……

幼い頃は何も思わないで眺められたあの三日月。
今ではとても憎くて仕方ない。
なんでそんなに満ち足りた様に光っているんだよ。
…なんて……ごめんな。お前に何も罪はないのに。
でも、羨ましいよ。何も言われずに、時間に任せていられるだけなんてさ。
俺は、今にしがみ付いて行くのにしんどくて仕方ない。
嗚呼、お前みたいになりたいよ。
歩いていれば付いて来る。雲隠れして暗くなる。
なに?俺がこんなんだから慰めようと同情してくれてんの?
……はあ、俺って本当、なんなんだろう。
今さっきまでクリアに見えていた景色が、ぼやけていく。
自分の黒いプライドの宝石がお前の光がかすかに当たって、原石になって落ちていく。

ありがとう。一人にしてくれなくて。

贅沢かもしれないけど、これからも、側で俺を見ていてくれないか?

………なんてな。